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本編
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アナスタシアは男物の服を受け取り、寝室で着替えながら話をする。
「リラ様、わたくし本来はお喋りが大好きですので、煩わしければ仰って下さいね?リラ様に嫌われたくは有りませんもの」
「嫌うだなんてっ!!そもそも、わたくしのような平凡以下の顔立ちと、何の取り柄も無いような小娘の相手なんて、王妃様の方が大変なのではないですか?」
リラの発言に、アナスタシアは一瞬固まる。普通であれば、リラ程の容姿の娘に言われると、嫌味としか取れないからだ。しかし、リラは真顔でアナスタシアに問い掛けている。
「……リラ様、その評価はどこから?」
「子供の頃に、散々不細工だの醜いだの言われましたし、見掛けだけ着飾っても中身があれではと、社交の場でもよく言われますので……。家族はそんな事は無いと言ってくれるのですが、それはやはり家族だからでしょうし、エドワルド様は奇特な方なので論外です!」
その場にいた全員の空気に冷気が漂う。
(あら?何故か寒いような?空調が悪いのかしら?ですが、ここは陛下と王妃の寝室で、不備は無い筈なのだけれど???)
冷気の出所が、リラ以外の全員とは思って無いリラは、気のせいだろうかと首を傾げた。
「リラ様、今度そのような事を仰る殿方が居りましたなら、是非ともわたくしにお知らせ下さいな。わたくし、リラ様はとてもお美しいと思いますわ」
「わたくし、今は別人に見えるように、メイクを施しているからだと思いますわ?本来と随分違うように見えますもの。レベッカの化粧技術はそれ程凄いのです!」
目立たないよう、目を付けられないように、母娘共々、別人地味メイクで、本来の美麗さを台無しにするよう、泣く泣く仕立てたと言うのに、それを、本来より美しいと勘違いするなんてあんまりだと、レベッカはショックを受ける。
そんなレベッカをリリーが可哀想にと背を優しく撫でているが、リラは全く気付かない。しかし、アナスタシアはレベッカを見て、レベッカが言いたい事が何となく伝わり、リラは天然なのかと理解する。
「リラ様、わたくしは知りもしない、どこぞの馬の骨よりも、エドワルド様の評価を信じますわ。ですから、リラ様もエドワルド様の事を信じてあげて下さいな。エドワルド様はリラ様をお美しいと評価なさるのでしょう?ならばそれで良いでは有りませんか。リラ様は、エドワルド様の事をどう思っていらっしゃいますか?」
アナスタシアにそう聞かれて、リラは本心を口にする。
「とっ、とてもお慕いしております!!」
頬を赤く染めてそう言いきるリラを見て、アナスタシアはエドワルドがリラを選んだ事に納得した。
「リラ様、わたくし本来はお喋りが大好きですので、煩わしければ仰って下さいね?リラ様に嫌われたくは有りませんもの」
「嫌うだなんてっ!!そもそも、わたくしのような平凡以下の顔立ちと、何の取り柄も無いような小娘の相手なんて、王妃様の方が大変なのではないですか?」
リラの発言に、アナスタシアは一瞬固まる。普通であれば、リラ程の容姿の娘に言われると、嫌味としか取れないからだ。しかし、リラは真顔でアナスタシアに問い掛けている。
「……リラ様、その評価はどこから?」
「子供の頃に、散々不細工だの醜いだの言われましたし、見掛けだけ着飾っても中身があれではと、社交の場でもよく言われますので……。家族はそんな事は無いと言ってくれるのですが、それはやはり家族だからでしょうし、エドワルド様は奇特な方なので論外です!」
その場にいた全員の空気に冷気が漂う。
(あら?何故か寒いような?空調が悪いのかしら?ですが、ここは陛下と王妃の寝室で、不備は無い筈なのだけれど???)
冷気の出所が、リラ以外の全員とは思って無いリラは、気のせいだろうかと首を傾げた。
「リラ様、今度そのような事を仰る殿方が居りましたなら、是非ともわたくしにお知らせ下さいな。わたくし、リラ様はとてもお美しいと思いますわ」
「わたくし、今は別人に見えるように、メイクを施しているからだと思いますわ?本来と随分違うように見えますもの。レベッカの化粧技術はそれ程凄いのです!」
目立たないよう、目を付けられないように、母娘共々、別人地味メイクで、本来の美麗さを台無しにするよう、泣く泣く仕立てたと言うのに、それを、本来より美しいと勘違いするなんてあんまりだと、レベッカはショックを受ける。
そんなレベッカをリリーが可哀想にと背を優しく撫でているが、リラは全く気付かない。しかし、アナスタシアはレベッカを見て、レベッカが言いたい事が何となく伝わり、リラは天然なのかと理解する。
「リラ様、わたくしは知りもしない、どこぞの馬の骨よりも、エドワルド様の評価を信じますわ。ですから、リラ様もエドワルド様の事を信じてあげて下さいな。エドワルド様はリラ様をお美しいと評価なさるのでしょう?ならばそれで良いでは有りませんか。リラ様は、エドワルド様の事をどう思っていらっしゃいますか?」
アナスタシアにそう聞かれて、リラは本心を口にする。
「とっ、とてもお慕いしております!!」
頬を赤く染めてそう言いきるリラを見て、アナスタシアはエドワルドがリラを選んだ事に納得した。
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