氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「エドワルド、あまりその男を責めてやるな。悪いのは全て、自分の子供に祖父の無惨な最後を伝えてやらなかった、ドレファンの前国王陛下で、我が国に手を出して来た愚王と、その世継ぎだった男の所為だ」

「ですが陛下、この男はディーランの村を襲撃した一味の者。いくら被害が少なかったとは言え、和平条約を破った罪人。選りにも選ってこの時期に、下手をすれば私の結婚式が延期になっていたかも知れなかったのですよ?」

「えっ?!!」

「……何故それ程に驚く?そんなに意外か?私が結婚する事が」


 エドワルドは、捕虜の男にブリザードを発する。


「ちちちちっ、違います違います違います違います!!!わっ、私が驚いたのは、断じて違う意味でですっっ!!!!」


 ガタガタ震え、真っ青になりながらも、何とか意識を飛ばさずに喚き声を上げる男。


「エドワルド、そのぐらいにしておけ。でないと話が聞けん。お前のそれは、古狸にすら有効なのだから、一般人では凍え死ぬ。それで?違う意味とはどういう意味だ?」


 エドワルドのブリザードが止まったものの、いつ再発し、再び向けられるのか、恐くて堪らず、男は震えているだけで、ちっとも口を開こうとしない。


「黙っていると、もっと酷い状況になるだけだぞ?エドワルドは美しい婚約者と離され、機嫌が悪くなる一方なのだから」

「わわわわ……私が言った訳ではありません!!これはあくまで第一王子や他の者達が話していた事を聞いただけですからっっ!!!」

「勿体振るな」

「エドワルド、少し抑えなさい。それで?何を聞いた?」

「そっ……そのっっ、万が一この襲撃が失敗して、ドレファンの仕業だとバレた時は、ディーランに王女達を嫁がせる、と……」


 その言葉を聞いた瞬間、エドワルドとアレクシスの纏う空気が、殺気に替わった。


「私の大切な弟に、どうしようも無い愚王の娘を嫁がせる、だと?」

「達、と言ったな。甥のレオンも入れているのか?」


 先程のブリザードなんて、可愛い威嚇だったのだと、その身で知る羽目になる男。

 今ここで意識を失えば、殺されるかも知れないと、背中から大量の脂汗を流し、必死で意識を繋ぎ止める。


「王弟公爵と、王太子は独身なので、本妻と平民の妾、国王陛下には、妾を与えてやれば良いのだと!かっ、神の血筋を継ぐ娘だ、一人であろうと勿体無いが、莫大な支援と血縁を深め、内から壊してやれば良いと仰ってました!!おっ、王女は美女も多いので、げっ、厳選した美女ならば、どの国の王族だろうと男は男!喜んで受け入れるだろう、とっ……!!」

「陛下!公爵!!泡を吹いていますから!その男、一般人ですっ!!鍛えてる軍人ではありませんからっ!失神だけじゃなく、失禁してるじゃないですかっっ!!」


 エドワルドとアレクシスは同時に舌打ちし、二人揃ってドレファン上部の刑罰に、晒し首は勿論だが、生きている段階でとことん地獄を見せてからにしようと決意した二人だった。
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