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本編

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 エドワルドが王都を出て、一ヶ月近く。

 リラはその間、エドワルドからの手紙と、ジーンからの情報で近況を知る。

 エドワルドが率先して木を伐り溝を掘り、土嚢を作ったりしていたようだ。

 王弟であるエドワルドが率先して働いているのに、他の者達が黙って見ていられる訳も無く、兵だけでなく、村人達まで協力し合い、雨の日も作業を続け、一週間程で仕上げ、水攻めにし、遠目から、侵入者達が流されて行く姿も確認したそうだ。

 濁流に流される事無く、命辛々運良く中洲に取り残された者が、たった一人だけいたのだが、雨が降り続き、食料も火も無く、足場がじわじわと濁流に削り取られていく恐怖を目の当たりにし、逃げ場も無く喚き続けるも、仲間も持ち物も全て流された男に助けの手は無い。

 運良く水に流されずに済んだが、助かって良かったのか悪かったのか。

 中洲に取り残されて三日三晩放置され、エドワルド達が河川を塞いでいた木々や土嚢を取り除き、ディーラン国の者達に捕まった時には衰弱し、高熱を出して生死の堺を彷徨っていたが、一応最低限の治療を施された為、何とか命を取り止めるも、ディーラン国の者達からすれば、村を襲撃し、土地を荒らした侵入者の一人だ。

 良い顔をされる訳も無く、生き証人として生かしているが、ドレファン国は知らぬ存ぜぬで通す気でいるだろう。

 まぁ、そんな事を通す気なんて、エドワルドには毛頭無いが。

 一先ず、捕虜にした男を連れ、後はバルトに任せて数十人の兵と一緒に王都に帰り着く。

 捕虜にした男は王宮の牢に入れ、エドワルドは一度帰宅する。

 本当は、今直ぐにでもエヴァンス侯爵家へと赴き、リラに会いたいのが本音だが、先ずは身嗜みを整えてからにする。

 馬でクルルフォーン邸に着くと、ジェフとランドールが出迎え、不在時の報告を聞き、身嗜みを整え馬車でエヴァンス侯爵家へと向かう。

 久し振りの再会だが、まだやる事は山積みで、束の間の休息と言った所だろう。

 それでも、ずっと会いたくて仕方が無かったリラに会えると思うと、エドワルドの胸は弾むばかりだ。


「お帰りなさいませ、エドワルド様!ご無事で何よりです!お怪我はありませんか?体調は?道中大変ではありませんでしたか?」


 エドワルドが王都に帰って来たと一報が入ったのだろう。リラが玄関まで駆け寄って来てくれた。


「ただいま、リラ。大丈夫、怪我もしていないし体調も悪くない。会いたかったよ」


 いつも通り腕を広げると、その中にリラが飛び込んで来た。


「!!わたくしも、お会いしたかったですぅ~!」
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