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本編

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 ジーンの言葉で、エドワルドはリリーの実家を知った。


「あの、北の砦と言われる武官の多い家柄ですか?夫人があの?」

「ああ、よく言われるたらしいね。あんな男系家系の血の気の多い、顔はそこそこ整ってるけど、考えるより行動派な武術馬鹿が多い家柄で、よくあれ程の美しく淑やかな女性が生まれたなって。まぁ、実際セイル侯爵家で女性が産まれる確率ってかなり低いから、父兄に溺愛されて育ったらしいよ?でも、女の子の扱いがよく分からなくて、年の近い女の子のいるエヴァンス家に相談したいってよく来たらしい。母方の祖母は産後に体調を崩して、一年程で亡くなったらしいから」


 元々、セイル家に嫁いだ祖母と、エヴァンス家の祖母は親友だった為、エヴァンス家の祖母と手紙のやり取りをしていたのだ。

 その為、先代のエヴァンス侯爵家当主、リラ達の祖父が、医師や滋養のある物等を手配していた事もあり、よく相談に来るようになった。

 先々代のセイル侯爵家当主からすれば、リリーがエヴァンス家に嫁ぎたいと、子供の頃から言っていたのと、相手が大恩人の息子である事、リリーに会いに行くのに然程の距離が無いのとで、リリーが数多の縁談を片っ端から断り、ジルギリスを連れて婚約の報告に来た時は大いに喜んだ。

 そして、今ではエヴァンス侯爵領の本宅の傍にある屋敷で、武芸の指導をする、と言う名目で、親子揃って居座っている。

 どうやら、あまりの居心地の良さに、第二の人生をエヴァンス領にて満喫のようだ。


「現在、セイル侯爵家のお祖父様達は、エヴァンス領の本宅の傍にある屋敷に住んでいらっしゃいますわ。エヴァンス家の先代の当主と、武芸に秀でた者達に武芸の指導の方針やトレーニング方法をよく話し合っていらっしゃいます。領地に戻ったら、エドワルド様を紹介しようと思っていたのですが……」

「大丈夫だよ。延期になったけれど、今回の件を解決して、必ず一緒に挨拶に行くから。リラはそれまで待っていてくれる?出来ればここで」


 がっかりしているリラに、エドワルドが言うと、リラはパッと花が開いたような笑顔を見せる。


「勿論です!わたくし、ここで待っていても良いのですね?嬉しいですぅ~!エドワルド様もジーン兄様も、お仕事頑張って下さいね?エドワルド様と兄様を、不快にさせる者達なんて、痛い目に合えば良いのです!!ディーラン国に手を出す前に、国内に目を向けて、国政を良くすれば良い物を。あんな上部では、国民が可哀想です。頭のげ替えをした方が絶対に良いです!」

「……ああ、成程。それは確かに」

「そうだな。それが一番手っ取り早い」


 この瞬間、ドレファン国の上部の処遇が決まった。
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