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本編

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 庭を散策し、庭を一望出来る場所から、前日にリラの焼いたお菓子とリラが淹れるお茶で一息を入れる。


「うん、今日も美味しいよ。リラと結婚した後は、いつでも味わう事が出来ると思うと、楽しみで仕方ないよ」

「エドワルド様は口がお上手過ぎですわ。自惚れても知りませんよ?」

「事実だから、少しぐらい自惚れても構わないと思うよ?リラは何事にも謙虚過ぎるのだから。まぁ、私はそんなリラも好きだけれど」


 エドワルドに好きだと言われて、リラの頬が赤く染まる。

(……うん。そういう初心うぶな所も、リラらしくて好きだ。何故こんなにも可愛いままなのかな?普通は貴族に生まれると、親から条件の良い相手と結婚させる為に、様々な悪知恵、特に男に媚びる手段や、同性の粗探し、したたかさを身に付け、初心とは真逆になるのが一般的なのに)

 そして、社交界デビューを済ませたなら、尚更同性と張り合い、条件の良い男を取り合って、優劣を付けたがるのが一般だ。

 一生独身のお一人様生活、なんて発想する貴族の女性は稀だろう。

 エヴァンス家では、平民との結婚も寛容みたいだし、リラが知らないだけで、婚約者候補がいたのかも知れないと思うと、婚約者になる男が出てくる前にリラと接触し、王命と言う形ででも先に結婚を取り付けれた幸運に、感謝したいとエドワルドは思う。


「リラが誰にも取られずにいて、本当に良かった。もし、私が接触する前に、リラに婚約者が出来ていたらと、ずっと気が気じゃなかったよ。あの時から、ずっとリラだけを見ていたからね」

「……わたくしなんかよりも、美人な女性はいくらでも居たでしょうに、エドワルド様は奇特ですぅ」

「そもそも私は、媚びる女性は嫌いだからね。まぁ、今後リラが私に媚びて来たのなら、それはそれで喜ぶけれどね。リラは私にとって特別な存在だから。でも他の女性は違う。どれ程美人だろうと、私の心を動かしたのは、リラ以外に一人も居ない。だから、自分なんかと言う言い方をしてはいけないよ。私にとって、リラは特別な存在だからね。リラだって嫌だろう?リラが好きな家族や私が、自分は無価値だみたいな言い方をするのは」

「いっ、嫌です!無価値なんかじゃありません!!」

「そう思うのなら、リラも自分を平凡以下だとか、言わない事。リラは平凡所か、とても美しい令嬢だからね」

「……そんな事を言うのは、エドワルド様だけですよぅ」


 リラはちょっぴり口を尖らせ、拗ねている。


「私はリラの婚約者だから、存分に言える立場だよ。もし他の男が言っていたなら、お前はリラの何々だと、私が問い詰めてしまうよ」

「……ふふふ。そうして下さい」


 思わず想像してしまったのだろう。その光景が思い浮かんでしまい、リラはエドワルドに笑顔を見せた。
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