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本編

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 頭が揺れた気がして、エドワルドの意識が浮上する。呼吸はそのままに、うっすら目を開け、リラの様子を窺えば、リラが顔を真っ赤にしたまま強く目を瞑り、ギュッと自分の身体を前のめりに抱き締めている。

(ああ……。良いな、リラのその顔。ちゃんとあの時の情事を、思い出してくれていたようだ。本当に可愛過ぎる……)

 エドワルドは寝返りを打つ振りをして、リラの下腹部にドレスの上から顔を埋め込み、深呼吸して、その匂いを確かめる。

(……うん。リラの蜜の匂い。ちゃんと籠っているみたいだ。この前は、気の所為かと思ったけれど、今回のは絶対に間違いない。美味しそうな良い匂い。リラが私を想って溢れさせた蜜の匂い。今直ぐ食べたいのは山々だけれど、リラのペースで、じっくりゆっくり少しずつ。そうでないと、リラのこの柔らかな膝枕が、ガッチリとした硬いマッドの膝枕に変えられる!!それだけは絶対に嫌だっ!この柔らかな良い匂いのするリラの膝枕でないと、絶対に眠れない!!香水臭い他の女でも、近付かれるだけで嫌なのに、マッドなんて、論外だ!!)

 想像を打ち払うべく、思わずそのまま頭を左右に動かした。


「ひゃぅっ?!」


 リラの声と同時に、リラの身体がビクッと震える。

 エドワルドは、しまったと思いながら、リラの膝の上で、リラを見返すと、リラは口を覆い、狼狽うろたえている。


「ごっ、ごめんなさい、エドワルド様ぁ!おっ、起こしてしまいましたよね?!」


 どうやらリラは、今の声で起こしてしまったのだと勘違いしているようだ。


「大丈夫だよ、リラ。どうせもう、起きる所だったのだから。それより、顔が真っ赤だ。ちゃんとあの時の情事を思い出してくれていたんだね。嬉しいよ」


 エドワルドはリラの膝に頭を乗せたまま、右手をゆっくりと持ち上げる。

 その手で、下からリラの胸へと手を伸ばし、ドレスの上から優しく掴み、やわやわと揉み、刺激を与える。


「ドレス越しでも気持ち良いけれど、やっぱり直で触りたい。そう言えば、今日はダンを見掛けていないけれど、やっぱり扉の外に居るんだろうな……。リラ、あまり声を出してはいけないよ?」

「……いっ、居ません。きょっ、今日は、大目に見て欲しいと……わっ、わたくしが頼みました!でっ、でも、部屋の前に通り掛かった者に、こっ、声を聞かれたく有りません!!だからっ、そのっ、おっ、奥の、寝室にいきません、か?」


 まさかの不意のお誘いに、エドワルドは理性を飛ばしそうになりながらも、心の中で、最も最強な呪文、“暴走すればマッドが来る!!”を唱えて、何とか暴走する事を免れた。
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