氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 エドワルドはその日、ジェフとグラントを連れ帰り、その能力を目の当たりにする。

 最初、エドワルドの片腕と自負する執事のランドールが渋い顔をしたが、ジェフが、ジーンの言った言葉を告げ、更にその能力を垣間見せる。

 ジェフは速読術を持っていて、次から次へと重要性の順に並べ、グラントに重要性の高い物から順に渡せば、直ぐに纏め上げ、エドワルドに最終確認として一読させ、次々に処理していくのだ。


「夜会の招待状が幾つか届いていますが、全て断りの返信をグラントに書かせます」

「ちょっと待て!エドワルド様に確認して頂かない気か?!」

「して頂く必要はありません。どこの貴族も娘を紹介する気ですから。こことここは未婚の次女がいる家、こちらは長女。どの貴族もお金に困っていると聞きましたから、大方娘を愛人にでも差し出す気でいるのでしょう。文面からもそれとなく書かれています。貴方は、貴族の使用する文面の意図を読む訓練をしなさい。それだけで、主人の負担が減るのですから」


 貴族には貴族の遠回しな文面の中で、その意図が仄めかされている常套句が数多く存在するのだ。そう言った物は学院でも教わったりする為、学院卒業生のジェフには解るし、そんな物をエドワルドに見せる必要等無いのだ。


「平民だからと、貴族の手紙に踏み込んではいけないなんて考えは捨てなさい。もしも、これが結婚後で、夫人に渡った場合、貴方は夫人を歓迎していないと勘違いされても仕方ありませんよ。公爵に愛人を持たせろと言ってるような物ですからね」


 ジェフの言葉を聞いて、ランドールが顔色を変える。


「今までならば、公爵様しか見る者が居なかったからそれで良かったかも知れませんが、結婚すれば、私達の仕えるリラお嬢様宛の物も来ます。その中で、公爵様との嘘の関係を仄めかす文面や、愛人にならないかと言った文面の物も数多く混じっていた場合の、リラお嬢様の負担を考えなさい。世間では毒華だ氷結だ等と言われていますが、貴方の主人が選んだ伴侶で、私達エヴァンス家の使用人達にとっては、大事なお嬢様です。私達を含むエヴァンス家の使用人達は、そんな手紙をお嬢様にお渡しする使用人等必要無い。そんな使用人達を使わせ続けるぐらいなら、エヴァンス家の使用人達と総入れ換えをして、首にし、エヴァンス領内から新たに使用人達の補充をした方がいくらかマシです。今後、エヴァンス家の使用人達が、クルルフォーン公爵家にローテーションを組み立て雇われる事になります。中にはお嬢様の専属もいますが、腑抜けた仕事ばかりしていると、私達と入れ換わる事になりますので、そこの所をよく考えて仕事をしなさい」

「!!!貴方達に決定権等有りません!」

「そうですね。しかし、未来の伴侶に離縁を突き付けられるぐらいなら、と公爵様も思うのでは?公爵様、リラお嬢様と彼等、貴方ならどちらを取られますか?」


 ジェフは、解り切った事をエドワルドに聞いた。
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