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本編

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「これ程凄い人材を、私が借りても大丈夫なのですか?」

「ああ、似たような能力を持っているのが、他にも複数いるからね。他は今、この屋敷に居ないか、居ても女性だから。女性をクルルフォーン邸に入れるのは抵抗があるだろう?それに、リラのいない時に女性を入れると、愛人を入れたと貴族連中は言い兼ねませんからね」


 リラが侍女と一緒にクルルフォーン邸へと来た場合は、リラの身の回りの世話をする為と説明すれば良いだけだが、リラが嫁ぐ前に急遽女性を入れよう物なら、それこそリラは見せ掛けの妻だ何だと噂を流し、リラに手を出す口実にし兼ねない。

 勿論口実だろうと、リラに指一本触れさせたく無いエドワルドは、片っ端から潰す気ではいるが。


「皆が皆、グラントみたいな変人だと思わないで下さいね?これは使用人達の中でも規格外な性格ですから。皆、仕事に誇りを持っているし、各自の能力を最大限引き出して頂けるこの職場は天職だと思いますが、ここまで仕事狂いなのはこいつぐらいです」

「冷たっ!ジェフ、冷た過ぎだよ!もうちょっと同僚としての優しさを要求します!」

「同僚としての優しさを抜いて扱って欲しいと?良いでしょう。もっと厳しく扱って差し上げますよ。貴方と同類に見られたくは無いですからね」


 ジェフはグラントを冷めた目で流し見る。


「えぇ~?仕事楽しいよね?きったない字の解読や、バラバラになった資料の整理!バラバラの書式を統一し直して見易く便利になった時の感動と言ったら!!」

「グラント……あまりに煩いと、一週間程活字の無い場所で暮らさせるよ?」


 ジーンの脅しに、グラントはピタリと口を閉ざす。


「……すんません。調子に乗り過ぎました。だから仕事は取り上げないで下さい……」

「クルルフォーン公爵に、エヴァンス家の使用人達は変人ばかりだと思われたら、明らかにグラントの所為ですからね。ああ、それと、私は一応平民ではありますが、エヴァンス家の遠縁として、王立学院を卒業していますので、貴族として潜入も可能です」

「相性が悪いように見えるけど、この二人を組ませるのが一番効率が良いんだよ。ジェフはグラントが寝食忘れて没頭してると、殴ってでも止めるので、グラントも一応気を付けるようになるんだ」


 グラント一人だと、領地の図書館内でも、行き倒れ状態で見付かる時があるので、一人で放置しているのは割りと危険だ。なので、口は悪いが面倒見の良いジェフに時折様子を見させているのだ。
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