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本編
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「分かる?今、ここがどういう状態か」
リラは顔を真っ赤に染めて、コクコク頷く。
「リラの前だと、直ぐにこんな状態になるけれど、リラを見付ける前は、美女だろうが何だろうが、誰を見ても全く反応を示さなかったんだ。私は、感情が欠落していて、人として欠陥品だから、何にも反応を示さない不能なのだろうと、ずっとそう思っていた。それなのにあの日、リラを見掛けたその後に、リラが僅かに見せた笑顔を見て、私はリラに心を奪われたんだ。リラの記憶が頗る良いのなら、こう言えば分かるかな?二年前の社交シーズンで、初夏に当たる6月20日の午後2時頃、一部休館中の王立図書館の中庭辺りで、リラは前を歩く令嬢のハンカチか何かを拾い、令嬢に返していたよね?確か、ゴミになるから落とすなと言った趣旨の事を話していたと思う」
手の当たる熱い場所が気になって仕方のないリラは、どうすれば良いのか解らず、それでも何とかエドワルドの言葉を聞き取り、無理矢理思考を巡らせる。
「にっ、二年前の6月20日……確かにハンカチを拾いましたし、ゴミになるから落とすなと言いましたが……、その……、他には誰も、居ません、でしたよ?」
リラのその言葉に、エドワルドは嬉しそうに笑う。
「居たんだよ。私が、中庭に面した、普段人の入らない書庫に」
「?!でも、あそこはあの日、立ち入り禁止……でした筈です?!」
その言葉にエドワルドは頷く。
「他は本の入れ換えとかだったけれど、あそこは私が人払いを頼んだんだよ。たまの休日にまで、貴族連中に追い掛け回されたくはないからね。だからあそこに居たんだけれど、リラは令嬢が去った後にだけれど、こう呟いたよね?『意味は全然違うだろうけど、それでも有難うって言われた。違うってちゃんと分かってるけど、それでも嬉しい』と」
「なななな、何故それを?!わたくし、誰も居ないし聴こえないだろうからと、小声……小声でしたわよ?!?」
「私は口の動きを見れば、何を言っているのか解るからね。あの時、リラは周りを見回しそう言ってから微笑んだよね、とても嬉しそうに」
「嫌ぁ~!!何で見てるんですかぁ?!わたっ、わたくし、誰も居ないと、居ないと思って醜い素顔を晒しても、大丈夫だと思っ、思って……!!」
「私はその笑顔に見惚れて、リラが欲しいと、あの女性が欲しいと思ったんだ。それと、その時からだよ。私のここが、こんな風に反応したのは」
リラの手を更に押し付け、その形を教えるように撫でさせる。
「だから、これはリラにしか反応しないし、リラだけの物だ。リラを想っている時に、別の誰かが寄って来ただけでも、瞬時に萎える程に。私自身、他の物や人に執着した事すら無いのに、リラだけは別で、リラだけは手離したくない。譲りたくない。私の中に、これ程の感情が有ったなんて知らなかった。それを私に教えたのはリラだけだよ。私のこれは正直だから、リラを前にして反応しなかった事は無いんだ。リラの夢や妄想でも反応するからね。これは常にリラを欲しがっているんだ。リラの中に入りたい、リラが欲しいと。だから、堪えるのが大変なんだよ。私自身もリラだけが欲しくて堪らないのだから」
リラは顔を真っ赤に染めて、コクコク頷く。
「リラの前だと、直ぐにこんな状態になるけれど、リラを見付ける前は、美女だろうが何だろうが、誰を見ても全く反応を示さなかったんだ。私は、感情が欠落していて、人として欠陥品だから、何にも反応を示さない不能なのだろうと、ずっとそう思っていた。それなのにあの日、リラを見掛けたその後に、リラが僅かに見せた笑顔を見て、私はリラに心を奪われたんだ。リラの記憶が頗る良いのなら、こう言えば分かるかな?二年前の社交シーズンで、初夏に当たる6月20日の午後2時頃、一部休館中の王立図書館の中庭辺りで、リラは前を歩く令嬢のハンカチか何かを拾い、令嬢に返していたよね?確か、ゴミになるから落とすなと言った趣旨の事を話していたと思う」
手の当たる熱い場所が気になって仕方のないリラは、どうすれば良いのか解らず、それでも何とかエドワルドの言葉を聞き取り、無理矢理思考を巡らせる。
「にっ、二年前の6月20日……確かにハンカチを拾いましたし、ゴミになるから落とすなと言いましたが……、その……、他には誰も、居ません、でしたよ?」
リラのその言葉に、エドワルドは嬉しそうに笑う。
「居たんだよ。私が、中庭に面した、普段人の入らない書庫に」
「?!でも、あそこはあの日、立ち入り禁止……でした筈です?!」
その言葉にエドワルドは頷く。
「他は本の入れ換えとかだったけれど、あそこは私が人払いを頼んだんだよ。たまの休日にまで、貴族連中に追い掛け回されたくはないからね。だからあそこに居たんだけれど、リラは令嬢が去った後にだけれど、こう呟いたよね?『意味は全然違うだろうけど、それでも有難うって言われた。違うってちゃんと分かってるけど、それでも嬉しい』と」
「なななな、何故それを?!わたくし、誰も居ないし聴こえないだろうからと、小声……小声でしたわよ?!?」
「私は口の動きを見れば、何を言っているのか解るからね。あの時、リラは周りを見回しそう言ってから微笑んだよね、とても嬉しそうに」
「嫌ぁ~!!何で見てるんですかぁ?!わたっ、わたくし、誰も居ないと、居ないと思って醜い素顔を晒しても、大丈夫だと思っ、思って……!!」
「私はその笑顔に見惚れて、リラが欲しいと、あの女性が欲しいと思ったんだ。それと、その時からだよ。私のここが、こんな風に反応したのは」
リラの手を更に押し付け、その形を教えるように撫でさせる。
「だから、これはリラにしか反応しないし、リラだけの物だ。リラを想っている時に、別の誰かが寄って来ただけでも、瞬時に萎える程に。私自身、他の物や人に執着した事すら無いのに、リラだけは別で、リラだけは手離したくない。譲りたくない。私の中に、これ程の感情が有ったなんて知らなかった。それを私に教えたのはリラだけだよ。私のこれは正直だから、リラを前にして反応しなかった事は無いんだ。リラの夢や妄想でも反応するからね。これは常にリラを欲しがっているんだ。リラの中に入りたい、リラが欲しいと。だから、堪えるのが大変なんだよ。私自身もリラだけが欲しくて堪らないのだから」
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