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本編

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「エドワルド様、大好きですぅ~!!」


 リラはエドワルドの腕の中で、ポロポロと涙を溢す。

 リラにとってのエドワルドは、子供の頃のリラをさいなんだ、あの鮮明で嫌な思い出や、これまで散々言われて来た貴族達の暴言の数々を軽く打ち消し、リラに安心と幸福感をもたらす唯一の異性だ。エドワルドにとって、リラが唯一の性的対象者と言うのなら、リラにとってもそうだろう。

 リラにとって男は、愛情を注いでくれる身内と、嫌な思いをさせる他人しか居なかったのだ。それが、身内と同じ愛情を示し、リラの全てを求め、欲しがる身内では無い他人、エドワルドが現れた。

 リラに触れる手も言葉も唇も眼差しも、何もかも、リラを想い、愛しさと優しさと想いの強さを届けてくれる。その一つ一つが上辺だけでは無く、本心なのだと感じ、信じる事が出来る程の熱情がその中にひそんでいる。

 リラは嬉しくて堪らない。一生をあの嫌な思い出を、抱え怯えて苛んだ嫌な記憶の数々を、エドワルドは、それよりも強い想いと記憶で埋め尽くしてくれた。否、これからも、埋め尽くすと言ってくれた。

(喩え、身を引き裂かれる程の激痛が襲って来たとしても、わたくしは、エドワルド様と繋がれるのなら、我慢出来ます~!今は駄目でも、絶対、絶対エドワルド様とするのですぅ~!!)

 リラは泣きながらエドワルドに擦り付く。


「リラ?泣いている?」

「……うっ、嬉し泣きなので気にしないで下さい!エドワルド様、大好きですっ!!」

「えっ、これって私が泣かした事になるのか?!気にするなと言われても気になるよ。私はリラを愛しているのだから」

「……ふぇっ、えっ、エドワルド様ぁぁぁぁっっ!」


 泣き止まないリラの背を撫で続けるエドワルド。


「まぁ、いくらでも泣いて良いよ。一人で泣かれるよりは良い。好きなだけ泣きなさい。その代わり、泣き止んだ後は微笑んでね?」

「ううぅ……。絶対醜くなってますぅ~。そっ、そんな顔見られたく無いです~。きっ、きっとっ、幻滅されますぅ~!」

「リラなら顔を腫らしていても、可愛いと思うよ。言った筈だ。私はリラの表情は魅力的でしかないし、いつでも見たい表情ものだと。偽りの無表情よりも、リラのその表情が欲しいと。だから、リラの全てを寄越しなさい」

「……きっ、嫌いにならないって、約束して、下さい、ます、か?」

「なる訳が無いよ。そもそも、私のリラに対する愛は、年を重ねて老人になったとしても変わらないと思う」

「……ふっ、ふふふ……。うっ……嬉しい、ですっ」


 リラは泣きながらも、嬉しくて堪らなかった。
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