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本編

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「リラ、大丈夫だよ。私が二度とリラに近付けないようにするから。ジーン殿、リラ嬢に愛人話を持ち掛けたのは他に何人いますか?出来れば、リストを頂きたい。それと、リラに手を出そうとした過去の者達のリストも。頂けますよね?」

「まぁ、有るには有るが、中には行方知れずになったり、自害した人物もいるらしいからな。私の家が、要注意人物と判断した者達のリストを後日渡そう。理由も纏めているから、参考になると思う」


 本来他家には渡さない資料だが、リラが嫁に行く相手だし、有効活用出来る手腕も持つエドワルドだから、渡しても問題無いだろうとジーンは請け負う。勿論写しではあるが。

 因みにそのブラックリストはリラにも見せている為、リラなら貴族名鑑の顔とリストの名前をきっちり結び付けている。令嬢には名前だけしか載っていないが、それでも相手の名前が判ればエヴァンス家にとってのブラックリストかどうかが分かる。

 とは言え、リラは他者と対応を変える訳では無いので、周囲にブラックリスト扱いしていると気付かれた事は一度も無いが。

(第三者の口伝ては宛にはならないけれど、我が家の使用人達は、わたくし達エヴァンス家の為に、危険を侵してでも情報を手に入れてくれてるもの。信用度が全く違うわ。それに、実際に会うと何か変な感じがするもの)

 リラは天然ではあるが、そうした直感は鋭い。外では警戒心を常に張り巡らせているからだろう。


「リラに聞けば、貴族名鑑と照らし合わせて教えてくれるよ。夕食までの間、サロンで教わると良い。勿論、食べて行くよね?それと、調べ物や通常の仕事でも、回せる物は私の方に回して下さい。貴方に倒れられると困ります。何なら数人の人員をお貸ししますよ?」

「……何故そこまでエヴァンス家に有能者達が集まっているのか不思議だな。エヴァンス家は王宮使用人を引き抜いたと聞いた事が無いし、王都で募集を掛けていると言った話も聞かない。いるのは平民ばかりと聞いたが」

「そうですね。貴族は殆どいませんよ。居て、エヴァンス家の遠縁か、昔、押し掛けて来たかのどちらかです」

「……押し掛け?」

「貴族でもたまにいるんだ。能力を正しく評価されない環境で育った者が、エヴァンス領は能力で評価されると聞き付け、雇ってくれと言い出す者達が。ただし、エヴァンス家は貴族だろうと平民だろうと扱いは同じだし、エヴァンス領に住まう気なら、エヴァンス領の遣り方、貴族だからと威張る事は許されないし、平民といざこざを起こし、問題になると判断された場合は出ていって貰うと言う条件付きで、家を捨てて来た貴族を受け入れる事があるんだ。まぁ条件は相手によって色々追加されたりもするがね」


 それでも、能力で評価されたい者達の大半は家を捨て、後戻りも出来ない為に、条件を呑みエヴァンス家の遣り方に従い、エヴァンス領へと来るのだが、エヴァンス領の領民達の能力の高さに驚き触発され、正当に評価される事の喜びを知るのだ。
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