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本編

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 リラは普段通りに過ごしているが、エドワルドやジーンは、王宮で険悪な雰囲気を醸しながら会話をしている事が多い。

 それは勿論、邪魔者と言う名の害虫達が、エドワルドやジーンに接触しようと、周囲をウロウロ彷徨いて来る為、どう処理しようかと話し合っているのだが、他の者達から見れば、遠目な上に会話内容が聞こえない為、エドワルドとジーンが対立しているように見える。

 そして、それを理由に、野心を抱く者達が、娘や身内を餌に、相手を釣り上げるつもりが、逆に芋蔓式いもづるしきに引き上げられて、制裁を加えられまくると言う皮肉な結果に陥っていた。

 勿論、若いあの二人に引っ掛かる者達ばかりでは無い。

 前国王陛下やジルギリスを知る古株の中には、領地や地位の剥奪とまではいかない物の、その二人に煮え湯を飲まされた者達もいるだろう。

(あの二人の子供達が、普通である訳無かろうに。大方、噂の侯爵令嬢も、氷結の毒華で済む筈が無い。学生の頃にジルギリス殿を侮った馬鹿が、社交界でどれ程痛い目に遭わされたか。近寄らんのが一番だ)

 近付こうとする身内に、理由は語らず、関わる気なら縁を切る。とまで言う者達もいたぐらいだ。

 警告しても聞かない者達が居れば、絶対に巻き込まれないように、自ら二人に情報を渡そうとする者達まで出始める始末で、エドワルドやジーンはその情報の裏付けも取らなくてはならない。

 そんな事も見越して、ジーンはリラとエドワルドとの婚約が確定した時に、領地にいる使用人達に、応援要請を出していた。

 領地にいた使用人達も、リラの婚約と敵の殲滅に、力を尽くす事にして、ジーンの要請に応じていた。

 エドワルドは、エヴァンス家程人材が豊富では無いが、それでも王宮に勤めていた腕の良い使用人達を引き抜いている。

 それに、エドワルド自身も有能だ。常時の仕事量を二~三倍に増やした所で、問題無く対処する事の出来る腕も頭も持つ男だ。

 それがリラの為ともなるなら、余裕で処理していく事だろう。

 そんな中、リラと会える時間を捻出し、エヴァンス邸へと赴くのだ。勿論、毎日贈り物も絶やさずに。

 その内リラに、贈り物は程々に!と、怒られてしまう羽目になるのだが、エドワルドはリラに会いたくて、ひたすら害虫駆除を頑張り、リラとの一時を癒しとして楽しむのだ。
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