氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

86 (ダン視点)

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 そして、それから少し経った、朝と言うには少し遅い時間。

 リラには、来客があるから部屋にいなさいとジーンは言い、リラが大人しく部屋に籠っていると、エヴァンス邸に、王宮騎士が訪れる。少し前にエドワルドが馬で王宮へと報せに行ったからだ。エドワルドはそのまま罪人の手続きに入り、ジーンはあの屑連中……力尽き、一晩で廃人のようになった罪人達を引き渡す。

 一応念の為にと、ジーンが王宮の地下牢まで同行し、呉々も、逃がさず殺させずと言い聞かせておく。もし、逃げられたり殺されたりでもした場合、謀叛人達と共犯だとされ、同罪に服さなければならなくなるぞとまで脅しながら。

 一方、エヴァンス邸では、マッド達が徹夜で一仕事を終え、普通の客室を宛がわれて、一休みしていた頃。

 屋敷の庭先で、木に吊るされたならず者風情の男達がいた。


「クソッ!何だこりゃあ?!」

「「何なんだ、この家は!!」」

「降ろせ!降ろしやがれーーーっっ!!!」


 その声にのんびりとダンが答える。


「おいおい、ウチには先程眠りに入った大事な客人がいるんだ。安眠妨害するような真似すんな。そこは侵入者専門の罠が張り巡らせてあんだよ。てめぇ等こそ何だ。人様ん家に勝手に入って来やがって。あんまうるせぇと、喉元っ切って放置すんぞ?」

「「「?!!」」」


 男達は全く気付かなかった。木々の側に、ダンが居た事に。そして、今でも声が聴こえなければ、いるとすら思えない気配の薄さに声が出ない。

 存在感が無いと言う訳で無く、寧ろ、目立つ容姿だと言うのに、風景の一部としてしか感じなかった男達は、その存在を知り、背中から大量の冷や汗を流す。


「ったく、嘗めやがって。どうせ手薄だとでも思ったかも知れねぇが、ウチには嬢ちゃんの他にもよく狙われるリリー奥さんがいるんだから、ジルの旦那が手ぇ抜く訳ねぇだろう。俺が嬢ちゃんに付いて外出しても大丈夫なように対策立ててるっつうの」


 懐から笛を取り出し鳴らせば、三匹の狩猟犬が弾丸のようにすっ飛んで来た。


「よ~しよしよし、こいつ等見張っててくれるか?逃げ出そうとしたら、股間を思いっ切りかじり付いて良いからな~」


 男達を木に吊るしたままで、その場を犬に任せて他の使用人達も呼んで来る事にした。



*****

 ※実は犬も飼ってました(笑)普段夜以外放さないので、ならず者達の方に来ませんでしたが、唸っていたので、三匹の鎖だけを外し、待機させた状態でダンが様子見。後五匹程います♪
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