氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 エドワルドはリラの前に座り、リラに手を差し出す。


「???」


 首を傾げるリラに、内心悶えながらも、甘い声と笑顔でリラを誘う。


「リラ嬢、こちらに。折角二人切りになれたのですから、間近で貴女に触れていたい」


 エドワルドに二人切りと言われ、リラの頬が徐々に赤く染まり、それでもエドワルドの隣に座りたくなったリラが、エドワルドの手を取り、ゆっくりと動き出す馬車の中を移動しようと立ち上がったその時。

 エドワルドの手が、思いもよらない力でリラを引っ張り、リラはバランスを崩してエドワルドが導くままの場所へと座り込んでしまう。

 つまり、膝の上。ドレスで見えないが、リラの太股でエドワルドの足を跨ぐような格好だ。


「?!?」


 思わずリラが後ろに下がろうとするが、エドワルドがリラの腰に腕を回し、その腕の中に閉じ込める。


「だだっ、駄目ですエドワルド様!わわっ……わたくし重いですから!!」

「重くて良いよ。逆に軽過ぎると私が心配になる。女性に対して、羽の様に軽い、なんて表現をする貴族もいるけれど、私はそんなに軽いのは嫌だ。現実なのか幻なのか、分からなくなるじゃないか。貴女の重みがあるから、これが現実だと信じられる。最高に嬉しいよ」


 本当に嬉しそうな顔をエドワルドは見せるので、リラは反論出来なくなる。


「ずっとこうしたくて堪らなかった。この一週間、毎日貴女を思い返し、その唇を、匂いを、体温を思い出しては身体が欲しがり、会いたくて、辛くて大変だった。今日、貴女に会える事を糧に、ずっと頑張っていたよ」


 リラの耳元で囁き、その耳に優しく唇だけで食む。


「ひゃぅ~!」

「可愛い声。まるで音楽みたいだ。その声、もっと聴かせて」


 唇を首筋に這わせ、時折舌で愛撫する。


「やっ、駄目、エドワルド様ぁ!」

「何が駄目なのかな?言ってご覧?」

「だっ、だって、わたくし達、まだ、会ったばかり……」

「時間なんて関係無いよ。政略婚の場合、会ったその日に式を挙げる者もいるのだから。私達は政略婚では無いけれど、もう結婚の決まった男女だよ。誰も覆す事は出来ない」


 腰に回していた左手を、ドレスの上から這わせてリラの右胸を優しく包み込みゆっくりと揉む。


「?!!」

リラ・・。愛しているよ、私のリラ」


 リラの身体が、その言葉に反応するかのように、小さく揺れる。

(可愛い。良い匂い。柔らかい。私の物だ。私だけの唯一の者)
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