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本編

52 (アレクシス視点)

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(大丈夫だろうか、あいつは……。今までと比べると、全くの別人なんだが。あー、でもあの娘が悪評名高い“氷結の毒華”で、父上のお気に入り、か。あそこまでエドワルドを惚れ込ませるなんて、どんな娘……駄目だ。深く関わると確実に巻き込まれるぞ。悪い!エヴァンス侯爵令嬢!!エドワルドの為、国の為、どうか逃げずに、エドワルドと共に幸せになってくれ!)


 エドワルドが片想いだろうと、知った事では無い。

 リラを生け贄にするのは気が引けるが、リラ一人の犠牲で、エドワルドは大人しく(?)なるのだから、認めない訳にはいかないのだ。認めなければ、リラを拐って他国に行くだの、捜したら敵対国をもけしかけるだの、挙げ句、手に入らないのならリラを殺して自分も死ぬとまで言い切ったエドワルドだ。そんな事になろう物なら、エヴァンス家やマーウィンがどうなるか、考えるのも恐ろしい。

 止められるすべが有るのなら止めてやりたいが、そもそもエドワルドは幼少時から、物にも人にも執着心を見せなかったのだ。今、リラに向けている事自体が異常だと思える程に。

 嬉しそうに、楽しそうにリラと踊るエドワルドを見て、ソッとしておくのが一番だと思いながら、ここに息子のレオンが居ない事に少しホッとする。

(息子あれはエドワルドを慕っているから、この状態のエドワルドを見て、どう思うやら。後々エヴァンス侯爵令嬢に突っ掛からなければ良いが……。と言うか、これ以上の面倒事はいらん!勘弁してくれ!)

 今まで異性に興味を持たなかったエドワルドが、想う相手を見付けたのは良かったと思うし、多少の執着が有っても良いとは思っていた。だからと言って、あそこまで固執執着するとは思ってもいなかったが。


「あの……、あの方、エドワルド殿ですよね?なっ、何があったのでしょうか?」


 エドワルドの行動を見聞きしていた他国の王族達が、アレクシスと同じくドン引きしながらも、念の為に確認をしてくる。


「治らない恋の病を発症しただけですよ。出来ればソッと見守っていてやって下さい。ああ、ただし、あの令嬢に関わると、敵だと認識するかも知れませんので、近寄らないようお願いします。既にこの会場内で、一悶着あったようなので、忠告はさせて頂きますよ。国際問題に為り兼ねませんのでね」



*****

 ※補足として、アレクシスの息子のレオンは、王立学院の全寮制に入ってる為王宮には長期休暇しか居ません。一応休日なら帰って来れるでしょうが、毎回申請が必要。なので今回の夜会には不参加です。
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