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本編

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 前国王陛下のマーウィンは、リラの父であるジルギリスと随分仲が良かった。と言うか、実際はジルギリスの妻であるリリーが嫉妬する程に、マーウィンはジルギリスを構っていたのだ。

 それこそ、王宮内の一部では、一時期マーウィンのホモ疑惑が流れた程に。

 勿論その噂は噂でしか無いのだが、ジルギリスが幼馴染みのリリーに惚れてると感じたマーウィンは、リリーがどんな娘か知りたがり、こっそり呼び出したりして見たが、ジルギリスが言った可愛さが見当たらず、(何せ最初から敵認定をされていたから)こんな娘のどこが良いんだかと思いながらも自分の知らないジルギリスを知りたくて、度々呼び出していた為に、周りの者達が勝手に婚約者候補として名を挙げ、ジルギリスに恋仲だと誤解を与え、リリーからも罵られ、危うくリリーと婚約させられそうになるし、リリーが仮病を使って家に籠った後、ジルギリスの家に押し掛けマーウィンを呼び付けさせ、事の次第を暴露し、誤解の解けたジルギリスに、リリーと結婚するまでは仕事以外の会話をするなと、ジルギリスに言われ、仕事以外の会話を無視され続けたと言う苦い経験がある。

 マーウィンにとってジルギリスは、何でも包み隠さずに話せる親友であり、信頼出来る相棒、欲しかった男兄弟のような者、と言った所だったので、物凄く反省したようだ。

 そんなジルギリスの子供をマーウィンが可愛がらない訳が無い。

 マーウィンは、リラが子供の頃からよくお忍びで誰にも気付かれないようエヴァンス家にこっそり来ていた。リラを抱き上げ、女の子も欲しかったんだと可愛がっていると、その直後、ジルギリスが決まってリラを奪い取り、人の家にアポも無く、勝手に来るな!と、お説教していた程だ。

(おじ様は元気かしら?そろそろおじ様からのお手紙が来る頃ね。エドワルド様が報告をされているとは思うけれど、わたくしからもエドワルド様との事を報告しなくては。そうなると、マーウおじ様がわたくしのお義父様になるのよね。おじ様、喜んで下さるかしら?)

 因みに、前国王のマーウィン陛下は、リラが下の息子の嫁になれば良いのになと思っていたが、リラが貴族子息に苛められコミュ障になってからは言い出せず、息子のエドワルドも母に殺され掛けたからか、女に興味すら抱けなくなっていたみたいだったので、泣く泣く諦めていたのだ。

 まさか、そんな息子がリラに惚れ込み、虎視眈々と二年もの間、リラを狙っていた等、知るよしも無い。

 エドワルドの報告が届いた時、マーウィンが歓喜の雄叫びを上げていたのは、使用人達だけが知っている。



*****

 ※因みにマーウィンはリリーが苦手です。ジーンも可愛がっていますが、ジーンはリリーと中身が似ているので、どちらかと言うと父親似のリラを特に可愛がり、素直になついてくれるリラが可愛くて仕方ない感じです♪
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