氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「むっ……息子は家督、家名を剥奪の上、幽閉もしくは国外追放。娘は生涯修道院へと幽閉させます!ですからどうかっ、どうか伯爵家の存続だけは!!」

「父上?!」

「お父様?!」


 反論しようとする二人をダンカン伯爵は顔を怒らせ、怒鳴り付ける。


「黙れ!!お前達なんてもう、子供でも何でも無いわ!クルルフォーン公爵様は王位を返上し、臣下に下ったが、王族で有る事に変わりは無いんだぞ!!お前達の王族に対する不敬罪で、一家諸とも処刑されても文句は言えん状況だ!!」


 皆は、元王族と言う言い方をするが、それはエドワルドが、王位を放棄し公爵になったのだから、今は王族では無く公爵だと言っているからに過ぎない。


「でっ、でも、皆王族って……!!」

「罪人でも無いのに、元王子が王族を抜けられる訳が無いと、その足りない頭で考える事は出来なかったのかしら?そもそも貴方達二人は、エヴァンス侯爵家がどういう家柄か、理解していらっしゃるの?」
[訳=罪人でも無いのに、元王子が王族を抜けられる訳が無いし、エドワルド様は公爵としても王家に多大なる貢献をしていらっしゃるのよ。もう少し考えれば子供でも解る事なのに、どうしてそれが解らないのかしら?そもそも貴方達二人は、エヴァンス侯爵家を敵に回すような事を平気でしていらっしゃるけれど、エヴァンス侯爵がどういう家柄か、ご存知なの?]

「うっ、煩い!エヴァンス侯爵家が何だって言うんだ!!」


 その子息の言葉で、全員が呆れる視線をダンカン伯爵共々に向ける。


「エヴァンス侯爵家は、代々国の中枢を担う家柄。現侯爵当主のジルギリス殿は、前国王陛下の右腕、つまりは私の父の宰相として働いてられたお方だ。本来なら、現国王陛下の宰相として、補佐をして頂きたかったが、若い者に任せた方が良いと辞退なされ、今は外交官としてその腕を振るわれている。王家にとって重要な家柄だと言うのに、そんな事も教えていなかったのか?これは貴殿の怠慢だぞ、ダンカン伯爵」

「すみません、すみません、すみません!!この阿呆が!!黙れと言っただろう!」

「この調子なら、前国王陛下が存命である事も知らなそうだな。隠居中の父が知ればどれ程激怒するか。そんな者達に貴族を名乗られる等、もってのほかだ」


 騒ぎが起こって直ぐに、実は王宮騎士がエドワルドの近くに数名控えていた。その為、いつでも捕縛出来たのだが、エドワルドがまだ動くなと合図を送ってきていたが為に、動かずにいただけだ。

 だから彼等は、エドワルドの言葉で動いた。貴族を名乗る資格の無い者達を捕らえる為に。

 上位貴族、してや王族を、公の場で愚弄したデビュー後の子供達の責任は、親の責任でもあるのだ。子を切り捨てたから良いと言う問題では決して無い。そんな事が罷り通るなら、身分制度等有って無いような物だ。

(そうですわね。マーウおじ様は退位している物の、影響力は失われていない。わたくしもマーウおじ様が激怒する所なんて見たくありませんもの)

 口には出さなかった物の、リラと前国王陛下は、ジルギリスを通じて親交があったのだ。しかも愛称で呼べる程に。

 リラは、マーウィン前国王陛下に迷惑が掛かるのは嫌なので、マーウィンの名を口にはしなかったが、実は最強の切り札を隠し持っていたのだ。
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