氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 エドワルドと一緒に夜会に出る事になった日の当日、リラは朝から夜会に出る為の準備を行い、エドワルドからの装飾品を身に付けた。

 ドレスも髪形も華やかだが、凛とした気品を残し、正に“高嶺の花”と呼べる程の完璧にて、最高傑作の出来映えに仕立て上げたリラを見て、息を呑まない輩等皆無に近い!と内心自負するレベッカだった。


「本当に似合ってる?変ではない?」


 鏡を見ても、元が平凡と思い込んでるリラからすれば、あまりピンと来ないのだろう。


「大丈夫です!リラお嬢様はとってもお似合いですから、自信を持って公爵様の隣にお並び下さい!さぁ、もう直ぐお迎えにいらっしゃいますわ♪」


 いつになくテンションの高いレベッカを見て、エドワルドは喜んでくれるだろうかと、少しの不安を抱えながらも、部屋から出ずに待っていると、部屋の扉がノックされた。


「リラ、エドワルド殿がいらっしゃったよ。開けても良いかな?」


 リラはレベッカに頷き扉を開けて貰う。


「いらっしゃいませエドワルド様。本日は宜しくお願い致しますわ」


 リラは優雅に、完璧な淑女の礼をし、顔を上げる。と、何故かエドワルドが微動だにしない。


「???」


 リラは少しの間、首を傾げるも、ハッと思い付いたかのように声を出す。


「やっぱり、似合いませんでしたか?」

「いや、似合ってるけど……レベッカ、やり過ぎじゃない?」

「そんな!駄目ですか?!折角リラお嬢様が、公爵様の為に着飾るって仰るから頑張ったのに……」


 シュンとする侍女の言葉にエドワルドが我に返り、リラの傍へと直ぐに近寄って、その身体を抱き締める。

 勿論、ドレスや髪が乱れないように気を付けてはいるが。


「ええっ、エドワルド様?!」


 驚くリラと目を合わせ、甘く、蕩けるような瞳でリラに囁く。


「美の女神が舞い降りたのかと思いましたよ。私はこれ程までに美しい女性を知らない。今宵、リラ嬢の婚約者としてエスコート出来る幸運に感謝します」

「あの……大袈裟過ぎです。わたくし、変では無いのですよね?」

「他の誰にも見せたくない程、物凄く美しいですよ。絶対に私の傍から離れないで下さいね。お披露目と挨拶が済み、ダンスを終えたなら、さっさと辞して、長居をせずに戻って来ましょう。その後に、二人切りになる時間を私に与えて頂けませんか?」


(元々美しい女性ではいたが、まさかこれ程までに磨きが掛かるとは……。他の男に見せるのは非常に惜しくて勿体無いが、ここは早々に私がリラ嬢を溺愛し、惚れ込んでいる事を周知させなければ。この美しさが私の為……。彼女はどれ程私を喜ばせれば気が済むのだろう)

 エドワルドは自身の中に潜む願望、夜会に行かず、クルルフォーン邸にリラを連れ帰り閉じ込めて、存分にその身体を貪り尽くす、と言う欲求を何とか押し込め、不本意ながらも王宮へと向かうのだった。
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