氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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 エドワルドは知っていた。

 ジーンの仕事が重なり、今夜ジーンが出る筈だった夜会にどうしても出られず、ジーンの代理としてリラが出る事を。そうなる事を気付かれない程度に、少しだけ仕組んだのはエドワルドだったからだ。

 昔は夜会なんて面倒だと、何かと理由を付けては断っていたが、二年程前、偶然エヴァンス侯爵家の令嬢、リラ=エヴァンスを王立図書館で見掛けて以来、彼女と接触しようと、彼女が出る確率の高い夜会を出席するようにしていたが、思った以上にリラの出席率は低く、また、出席していても長時間いる事は無い。

 リラを捜している間に帰られていたり、何とか見付けても、他の出席者達に邪魔されて、結局話し掛ける前に帰られてしまい、未だにこの二年の間、一度もリラと接触出来ていない。

 勿論、彼女を見掛けた王立図書館でも、遠目に彼女を見掛けた段階で、彼女に近付こうと行動に出るも、そこでも邪魔が入るか、早々に立ち去られ、声を掛ける事すら出来ないでいた。

 邪魔者達にリラ狙いだと気付かれては、ジーンの耳に入るかも知れない。毎度の如く現れる邪魔者達にイラ付きながらも、横柄に対応する。

 元々エドワルドは、笑顔を見せる事自体が稀である。と言うよりは、幼少の頃から喜怒哀楽を出す事自体滅多になく、何を考えているのか分からないような子供だったのだ。

 だからこそ、人形みたいで気味が悪いと言われ、実の母からも気味悪がられ、子供らしい兄に愛情を全て注ぎ、エドワルドは放置された。まぁ、その分兄がエドワルドに愛情を注いでいたが。

 母はエドワルドの能力の高さに、王太子の地位を兄から奪うのではないかと恐れ、一時期暗殺を企んだ程だ。それを実行に移す前に王に気付かれ、阻止されたのだが、王が気付かなければ毒を飲まされていたりした事だろう。

 それを後から知った所で、怒りも哀しみも湧かなかった自分は、人として、どこかおかしいのだろうと思っていた。この先ずっと、誰にも興味を持てず、一生を過ごすのだろうと思っていた。それが、たった一人の女性の出現で、こうも感情が揺れ動くとは、思いもしなかった。

 彼女の姿を見たい、声を聴きたい、触れたい、抱き締めたい。

 彼女の温度は?匂いは?感触は?

 彼女を自分だけの物にしたい、捕まえたい、奪われたくない。


「今宵こそは、彼女が帰る前に見付け出し、ダンスの相手をして貰わなければ」



*****

 沢山の人に読んで頂き有難う御座います!!!現在の段階で累計670000ポイント以上を頂いております!わぁ~い♪♪♪
 リラには笑顔の押し売りをしまくってるエドワルドですが、本来は外用のリラと同じく無表情です。面白くもおかしくも無いのに何故笑わなければならないんだと、真顔で言い切るタイプの人なので、兄王ですらエドワルドの笑顔は稀少だと思っている程表情らしい表情を出さないのに、リラの前では惜しみなく見せてます。ジーンは内心さぞ驚いた事でしょう。(でも、重度のシスコン発揮して、可愛いリラが相手だからなと、当然のように直ぐに納得してそう……)
 エドワルド視点のプロローグ前に当たる話でした。いつも有難う御座います♪お楽しみ頂ければ幸いです!
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