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エピローグ
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「道君道君、迎えに来てくれて有難う!助かっちゃった♪でも、どうしてここに?」
迎えに来てくれたとしても、披露宴が終わるにはまだ大分時間が早い。
不思議に思うのも当然だ。
「えっと、その……。みっ、美月ちゃんの、忘れ物を届けに……」
道成が美月にハンカチを差し出す。
「有難う!態々この為だけに?」
「うっ、うん。無いと美月ちゃん、困るかなって。でも……こんな普通の格好だし、美月ちゃんに迷惑かなって……」
「何言ってるの!道君はあたしの最愛の旦那様なんだから、迷惑なんて無い無い!」
「……本当に?」
上目遣いで見上げる道成に、美月は心底悶えながらも即答する。
「勿論!」
その言葉を聞いて、道成はフニャッと微笑む。
「良かった。嬉しい」
その笑顔に美月は心臓を打ち抜かれた気分だ。
(魅惑の天使ボイスに、癒しの笑顔~!!もうもう、本当に大好きぃ~~~っっ!!!)
「道君、歌って!」
「えっ、今、ここで?」
「うん!」
「……じゃあ、僕一人じゃ恥ずかしいから、美月ちゃんも一緒に歌ってね?……♪~」
あまり大きくもない道成の歌声に、周囲にいた人や擦れ違う人々が次々と振り返る。
美月は道成と腕を絡めて恋人繋ぎをしながら歩き出し、道成の声に合わせるように歌い出す。
それは、誰がどう見ても微笑ましく思えるような、幸せそうなカップルだ。
美月と道成の出会いは、夕暮れ前の人気の無い公園の隅。
元カレの本性を知り、詰め寄ったら捨てられて、惨めに一人で泣いてた所、道成が美月に声を掛けて来たのだ。
「こんな所で女の子が一人なんて、もう少ししたら日も暮れるし危ないよ?」
そんな道成の心配する声に、美月は放っておいてと拒絶した。
「……じゃあ、隣で好きに歌ってるから、帰りたくなったら声掛けてね?」
そう言うと、道成は本当に歌い出した。透明感の有る、とても綺麗な優しい声で。
泣いてる美月に何も聞かず、ただ隣で寄り添い歌ってくれた。
その存在が、歌声が、美月の心を癒してくれた。
その後道成は、家では無く、人通りの多い場所まで送ってくれた。
美月がお礼を言うと、大した事はしてないよと、慌てて両手と首を振り、じゃあねと、少し心配そうな笑顔で微笑み、そのままあっさりと別れようとする。
美月は、また会いたい、次はいつ会えますか?と、道成を呼び止め必死で聞いた。
美月は会う度に、道成に惹かれ、好きになっていった。
道成を好きだと自覚した頃、道成が男友達と一緒に居たのを見て、元カレと男友達が話してる光景がフラッシュバックした。
ただ、話の内容は、道成を利用してるんじゃないかと言う話で、その男友達は、明らかに道成を嘲笑っていたのが頭に来て、割って入ろうとしたら道成の声が聞こえた。
『美月ちゃんはそんな子じゃないよ』『もしそうでも、それで美月ちゃんが元気になれるんなら僕は良い』『僕は誰が何と言おうと美月ちゃんが好き。当て馬だろうと構わない。だから、美月ちゃんの悪口言わないで』
美月は思わず駆け出し、割り込んだ。
「道君大好き付き合って!!ってかそこの馬鹿男!あたしの道君に変な事吹き込むな!!道君の良さを解ってないあんたが道君を利用してるだけでしょ!この僻み男!道君を悪く言う奴は、あたしが許さないんだから!!」
この時美月は決めたのだ。
道成と生涯を共にしようと。
邪魔する奴等は蹴散らしてやろうと。
(道君は、あたしの最愛。道君以外はお呼びじゃないのよ)
美月は道成と寄り添いながら、ゆっくりと仲良く歩いて行った。
迎えに来てくれたとしても、披露宴が終わるにはまだ大分時間が早い。
不思議に思うのも当然だ。
「えっと、その……。みっ、美月ちゃんの、忘れ物を届けに……」
道成が美月にハンカチを差し出す。
「有難う!態々この為だけに?」
「うっ、うん。無いと美月ちゃん、困るかなって。でも……こんな普通の格好だし、美月ちゃんに迷惑かなって……」
「何言ってるの!道君はあたしの最愛の旦那様なんだから、迷惑なんて無い無い!」
「……本当に?」
上目遣いで見上げる道成に、美月は心底悶えながらも即答する。
「勿論!」
その言葉を聞いて、道成はフニャッと微笑む。
「良かった。嬉しい」
その笑顔に美月は心臓を打ち抜かれた気分だ。
(魅惑の天使ボイスに、癒しの笑顔~!!もうもう、本当に大好きぃ~~~っっ!!!)
「道君、歌って!」
「えっ、今、ここで?」
「うん!」
「……じゃあ、僕一人じゃ恥ずかしいから、美月ちゃんも一緒に歌ってね?……♪~」
あまり大きくもない道成の歌声に、周囲にいた人や擦れ違う人々が次々と振り返る。
美月は道成と腕を絡めて恋人繋ぎをしながら歩き出し、道成の声に合わせるように歌い出す。
それは、誰がどう見ても微笑ましく思えるような、幸せそうなカップルだ。
美月と道成の出会いは、夕暮れ前の人気の無い公園の隅。
元カレの本性を知り、詰め寄ったら捨てられて、惨めに一人で泣いてた所、道成が美月に声を掛けて来たのだ。
「こんな所で女の子が一人なんて、もう少ししたら日も暮れるし危ないよ?」
そんな道成の心配する声に、美月は放っておいてと拒絶した。
「……じゃあ、隣で好きに歌ってるから、帰りたくなったら声掛けてね?」
そう言うと、道成は本当に歌い出した。透明感の有る、とても綺麗な優しい声で。
泣いてる美月に何も聞かず、ただ隣で寄り添い歌ってくれた。
その存在が、歌声が、美月の心を癒してくれた。
その後道成は、家では無く、人通りの多い場所まで送ってくれた。
美月がお礼を言うと、大した事はしてないよと、慌てて両手と首を振り、じゃあねと、少し心配そうな笑顔で微笑み、そのままあっさりと別れようとする。
美月は、また会いたい、次はいつ会えますか?と、道成を呼び止め必死で聞いた。
美月は会う度に、道成に惹かれ、好きになっていった。
道成を好きだと自覚した頃、道成が男友達と一緒に居たのを見て、元カレと男友達が話してる光景がフラッシュバックした。
ただ、話の内容は、道成を利用してるんじゃないかと言う話で、その男友達は、明らかに道成を嘲笑っていたのが頭に来て、割って入ろうとしたら道成の声が聞こえた。
『美月ちゃんはそんな子じゃないよ』『もしそうでも、それで美月ちゃんが元気になれるんなら僕は良い』『僕は誰が何と言おうと美月ちゃんが好き。当て馬だろうと構わない。だから、美月ちゃんの悪口言わないで』
美月は思わず駆け出し、割り込んだ。
「道君大好き付き合って!!ってかそこの馬鹿男!あたしの道君に変な事吹き込むな!!道君の良さを解ってないあんたが道君を利用してるだけでしょ!この僻み男!道君を悪く言う奴は、あたしが許さないんだから!!」
この時美月は決めたのだ。
道成と生涯を共にしようと。
邪魔する奴等は蹴散らしてやろうと。
(道君は、あたしの最愛。道君以外はお呼びじゃないのよ)
美月は道成と寄り添いながら、ゆっくりと仲良く歩いて行った。
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