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晴れ渡った空の下、フォーマルドレスを着たスタイルの良い美女が、ヒールをカツコツとリズム良く鳴らし、格式高いホテルへと入って行く。
そのホテルでは今日、大広間を貸し切って、結婚披露宴が行われる事になっている。
彼女、美月はその参加者の一人だ。
今日参加する招待客の女性の殆どとは異なるタイプで、招待客の男女共に、注目を集めているが、当の美月は無関心。
彼女は三年程前に別れた、元カレの結婚披露宴に呼ばれて参加する事にした、新郎の元カノだ。
そんな彼女が披露宴の始まる式場で、一人佇んでいると、一人の男に声を掛けられる。
多分、元カレの友人で、元カレ同様、タイプは違えどイケメンだ。
彼女が一人で居るので、新郎の元カノか何かだと認識したのだろう。
「ねぇ君、あいつの元カノ?あいつが選ぶタイプにしては珍しいな。告白して振られたとかか?こんな所にまで来るなんて、まだあいつに未練が有るの?あいつは君みたいなタイプとは遊ばないよ。後が面倒臭いからって。何なら俺が慰めてあげようか?」
結婚式に参列する事事態、彼女が元カレに未練が有ると思い込んでいるようだ。
そんな男に美月は冷たく言い切る。
「おあいにくさま、相手なら居るわよ」
美月は既婚者。当然美月は夫の事を言っている。
「へぇ?どんな相手?」
だが、それを知らない男は、ニヤニヤと人の悪い笑みを見せる。
どうやら美月の言葉を、嘘や強がりだと思い込んでいるようだ。
そんな男を横目で見ながら、美月は正直に答える。
「あんたと比べたら、低身長の普通にダサいメガネデブ?」
他人から見れば、何で美月は道成を選んだのだと、不思議に思うかもしれない。
(でも、道君は、あんたの耳障りな声とは比べ物にならないくらい、魅惑の天使ボイスと歌声を持っているのよねぇ。努力家で、他人の為に一生懸命になれるし、真面目で素直で一途。道君を知れば、顔だけ男なんて論外よ)
そんな事を思っていた美月の後方に、普段着姿の道成がいた。
道成は、彼女が家の机に忘れて行ったハンカチに気付き、彼女の忘れ物を届けに式場まで来て彼女を探していたのだ。
そんな事を知らない美月の発言は、当然道成にも聴こえていた。
そして、道成は美月に声を掛けず、その場から走り去るが、二人は道成の存在に気付かなかった。
「あははは。君みたいな美女に誉められるのは光栄だよ」
なら、そんな相手は捨ててと言おうとした所で、披露宴が始まり、お似合いの新郎新婦がイチャイチャしながら後ろの扉から入場する。
新婦の顔は可愛いのに、まるで、どうだと言わんばかりの笑みが浮かべられている。
披露宴に参加する女性達の中には、明らかに顔色が悪い人達が居て、あちこちから啜り泣く声が聴こえ、倒れる女性達も出る。
隣にいたであろう他人が、倒れた女性達に声を掛け、騒がしくなり、披露宴は一時中断する。
後ろの隅に運ばれる女性達の中には、臨月を迎えそうな妊婦もいて、参列者の多くは元カレの元カノのようだ。
何故そう思うのか?それは彼女達に、共通点のような物が有るからだ。
道成に出会わなければ、間違いなく美月もあちら側に居ただろう。
美月の中で、元カレの言葉が蘇る。
『遊ぶんなら、地味で大人しそうな根暗じゃなきゃな』『お前だってこんな顔の良い男と付き合えたんだ。遊びだろうと、喜ぶべきだろ』『一生誰からも貰われないかも知れない処女を貰ってやったんだ。有り難く思えよ』
そのホテルでは今日、大広間を貸し切って、結婚披露宴が行われる事になっている。
彼女、美月はその参加者の一人だ。
今日参加する招待客の女性の殆どとは異なるタイプで、招待客の男女共に、注目を集めているが、当の美月は無関心。
彼女は三年程前に別れた、元カレの結婚披露宴に呼ばれて参加する事にした、新郎の元カノだ。
そんな彼女が披露宴の始まる式場で、一人佇んでいると、一人の男に声を掛けられる。
多分、元カレの友人で、元カレ同様、タイプは違えどイケメンだ。
彼女が一人で居るので、新郎の元カノか何かだと認識したのだろう。
「ねぇ君、あいつの元カノ?あいつが選ぶタイプにしては珍しいな。告白して振られたとかか?こんな所にまで来るなんて、まだあいつに未練が有るの?あいつは君みたいなタイプとは遊ばないよ。後が面倒臭いからって。何なら俺が慰めてあげようか?」
結婚式に参列する事事態、彼女が元カレに未練が有ると思い込んでいるようだ。
そんな男に美月は冷たく言い切る。
「おあいにくさま、相手なら居るわよ」
美月は既婚者。当然美月は夫の事を言っている。
「へぇ?どんな相手?」
だが、それを知らない男は、ニヤニヤと人の悪い笑みを見せる。
どうやら美月の言葉を、嘘や強がりだと思い込んでいるようだ。
そんな男を横目で見ながら、美月は正直に答える。
「あんたと比べたら、低身長の普通にダサいメガネデブ?」
他人から見れば、何で美月は道成を選んだのだと、不思議に思うかもしれない。
(でも、道君は、あんたの耳障りな声とは比べ物にならないくらい、魅惑の天使ボイスと歌声を持っているのよねぇ。努力家で、他人の為に一生懸命になれるし、真面目で素直で一途。道君を知れば、顔だけ男なんて論外よ)
そんな事を思っていた美月の後方に、普段着姿の道成がいた。
道成は、彼女が家の机に忘れて行ったハンカチに気付き、彼女の忘れ物を届けに式場まで来て彼女を探していたのだ。
そんな事を知らない美月の発言は、当然道成にも聴こえていた。
そして、道成は美月に声を掛けず、その場から走り去るが、二人は道成の存在に気付かなかった。
「あははは。君みたいな美女に誉められるのは光栄だよ」
なら、そんな相手は捨ててと言おうとした所で、披露宴が始まり、お似合いの新郎新婦がイチャイチャしながら後ろの扉から入場する。
新婦の顔は可愛いのに、まるで、どうだと言わんばかりの笑みが浮かべられている。
披露宴に参加する女性達の中には、明らかに顔色が悪い人達が居て、あちこちから啜り泣く声が聴こえ、倒れる女性達も出る。
隣にいたであろう他人が、倒れた女性達に声を掛け、騒がしくなり、披露宴は一時中断する。
後ろの隅に運ばれる女性達の中には、臨月を迎えそうな妊婦もいて、参列者の多くは元カレの元カノのようだ。
何故そう思うのか?それは彼女達に、共通点のような物が有るからだ。
道成に出会わなければ、間違いなく美月もあちら側に居ただろう。
美月の中で、元カレの言葉が蘇る。
『遊ぶんなら、地味で大人しそうな根暗じゃなきゃな』『お前だってこんな顔の良い男と付き合えたんだ。遊びだろうと、喜ぶべきだろ』『一生誰からも貰われないかも知れない処女を貰ってやったんだ。有り難く思えよ』
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