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後日談
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「やあリリアナ嬢、呼び出しに応じてくれて感謝する。この前はご苦労様。お陰で年の離れた可愛い妹から、冷たい視線を浴びる事無く済んでいるよ」
王太子の執務室にて、王太子が満面の笑みをリリアナに向けてくる。
「ご機嫌よう、王太子様。お役に立てて何よりですわ」
普通の者なら見惚れるであろう王太子の笑みを、淑女の笑みで、平然と受け流すリリアナ。
王太子はそんな彼女がお気に入りだ。ただし、恋愛感情は欠片も無いが。
何故なら王太子は、自身の婚約者のみを異性として一途に溺愛しているからだ。
だからこそ、勘違い女は要らないし、妹や婚約者に誤解されずに済むよう、立証出来る魔法を欲っしていた。
それを開発し、実証してみせたのは他ならないリリアナだ。
リリアナは数々の新しい魔法を開発した天才だが、実績は全て公爵や研究機関に渡している為、お飾りの次期魔法研究機関の長だと勘違いされている。
「あの時の映像を他の場所で妹と婚約者に見せて、あの魔法を王族とその婚約者、もしくは伴侶に付与する事が議論されていて、私達も使用する気だし、妹の婚約者になる者にも、婚約の条件として入れると教えれば、久々に満面の笑顔と大好きとの言葉を貰えたよ。そうそう、君の元婚約者だけど、君の父があの映像と共に、親子程年の離れた嫉妬深い女性に売り飛ばしたようだね。まぁ、彼の場合は自業自得だし、違約金も上乗せされている上、身分も違うから、どうにも出来ないけれどね」
「そもそも、彼がわたくしの婚約者に選ばれたのは、魔力が高いから……では無く、今回開発された魔法の被験者に相応しい、姫君の仰る最低のクズだからですわ。彼は顔は良かったので、婚約前から数々の女性を誑かし、未亡人から御夫人、果ては未婚の令嬢から平民までと幅広い肉体関係を持ち、取っ替え引っ替え遊んでいたような方なので、禁欲なんて、出来る筈がありませんわ。相手を脅し、親にバレずに済んでいたからと、公爵家でもバレずに済むと思い込むなんて、脳内がお花畑過ぎますわ」
王家に次ぐ権力と、莫大な資産を持つ公爵家に調べられない事なんてほぼ無いし、有るとすれば、王族絡みぐらいだろうから、爵位の無い令息の素性や素行調査等、肩慣らしにもならない程に容易い事だろう。
加えてリリアナの家は、代々魔法研究機関の長を務めていて、自白魔法もお手の物。
口止めしようが効果は無い。
「だけど、もし彼が浮気をせずに、禁欲に耐えていたら、リリアナ嬢は彼と婚姻するつもりでいたのかな?」
「ええ。当然婚姻の際には、あの魔法が施されていたでしょうが、浮気心は起こせても、浮気自体は出来ないので、一生面倒を見る気でいましたわ。わたくしの仕事の邪魔をしない事と、浮気しない事が婚約の条件ですもの」
「そうか。なら、仕事に理解を示し、婚約期間も浮気せず、婚姻の際にあの魔法を受け入れる相手なら、婚姻しても良いと言う事だね」
「ええ。ですが残念ながら、そこまでして、わたくしを欲しがる方等いらっしゃいませんわ。あれ以来、未婚の男性には避けられていますし、釣書も届かなくなりましたから」
「それはどうかな?少なくとも私は一人、心当たりがあるよ。彼なら喜んで条件を呑むと思うな」
「そのような方がいらっしゃるのなら、喜んでお受け致しますわ」
リリアナは、王太子が世辞や、気遣いで口にしたのだと思い込んだ。
以前、相手の地位の高さから、リリアナが冗談だと決め込んで相手の告白を受け流し、浮気男と婚約した事で、その相手が拗らせていたとは知らずに。
その彼が、この場に乱入してくるまで後十数秒。
王太子の執務室にて、王太子が満面の笑みをリリアナに向けてくる。
「ご機嫌よう、王太子様。お役に立てて何よりですわ」
普通の者なら見惚れるであろう王太子の笑みを、淑女の笑みで、平然と受け流すリリアナ。
王太子はそんな彼女がお気に入りだ。ただし、恋愛感情は欠片も無いが。
何故なら王太子は、自身の婚約者のみを異性として一途に溺愛しているからだ。
だからこそ、勘違い女は要らないし、妹や婚約者に誤解されずに済むよう、立証出来る魔法を欲っしていた。
それを開発し、実証してみせたのは他ならないリリアナだ。
リリアナは数々の新しい魔法を開発した天才だが、実績は全て公爵や研究機関に渡している為、お飾りの次期魔法研究機関の長だと勘違いされている。
「あの時の映像を他の場所で妹と婚約者に見せて、あの魔法を王族とその婚約者、もしくは伴侶に付与する事が議論されていて、私達も使用する気だし、妹の婚約者になる者にも、婚約の条件として入れると教えれば、久々に満面の笑顔と大好きとの言葉を貰えたよ。そうそう、君の元婚約者だけど、君の父があの映像と共に、親子程年の離れた嫉妬深い女性に売り飛ばしたようだね。まぁ、彼の場合は自業自得だし、違約金も上乗せされている上、身分も違うから、どうにも出来ないけれどね」
「そもそも、彼がわたくしの婚約者に選ばれたのは、魔力が高いから……では無く、今回開発された魔法の被験者に相応しい、姫君の仰る最低のクズだからですわ。彼は顔は良かったので、婚約前から数々の女性を誑かし、未亡人から御夫人、果ては未婚の令嬢から平民までと幅広い肉体関係を持ち、取っ替え引っ替え遊んでいたような方なので、禁欲なんて、出来る筈がありませんわ。相手を脅し、親にバレずに済んでいたからと、公爵家でもバレずに済むと思い込むなんて、脳内がお花畑過ぎますわ」
王家に次ぐ権力と、莫大な資産を持つ公爵家に調べられない事なんてほぼ無いし、有るとすれば、王族絡みぐらいだろうから、爵位の無い令息の素性や素行調査等、肩慣らしにもならない程に容易い事だろう。
加えてリリアナの家は、代々魔法研究機関の長を務めていて、自白魔法もお手の物。
口止めしようが効果は無い。
「だけど、もし彼が浮気をせずに、禁欲に耐えていたら、リリアナ嬢は彼と婚姻するつもりでいたのかな?」
「ええ。当然婚姻の際には、あの魔法が施されていたでしょうが、浮気心は起こせても、浮気自体は出来ないので、一生面倒を見る気でいましたわ。わたくしの仕事の邪魔をしない事と、浮気しない事が婚約の条件ですもの」
「そうか。なら、仕事に理解を示し、婚約期間も浮気せず、婚姻の際にあの魔法を受け入れる相手なら、婚姻しても良いと言う事だね」
「ええ。ですが残念ながら、そこまでして、わたくしを欲しがる方等いらっしゃいませんわ。あれ以来、未婚の男性には避けられていますし、釣書も届かなくなりましたから」
「それはどうかな?少なくとも私は一人、心当たりがあるよ。彼なら喜んで条件を呑むと思うな」
「そのような方がいらっしゃるのなら、喜んでお受け致しますわ」
リリアナは、王太子が世辞や、気遣いで口にしたのだと思い込んだ。
以前、相手の地位の高さから、リリアナが冗談だと決め込んで相手の告白を受け流し、浮気男と婚約した事で、その相手が拗らせていたとは知らずに。
その彼が、この場に乱入してくるまで後十数秒。
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