浮気心はその身を滅ぼす

カザハナ

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浮気の代償

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 フレッドは必死に懇願すると、リリアナは突き飛ばされた女を一瞥。

 女は蒼白になり、震えているが、リリアナは声を掛ける事無く女の存在を無視して、フレッドに渋々と言った体で条件を出す。

 ただし、それは浮気性のフレッドにとって、とても厳しい条件……と言うよりも、罰になる筈の物だ。


「そこまで仰るのでしたら、一度だけ、チャンスを与えましょう。これからは二度と浮気をしない事。それと、最近開発された魔法の被験者になって頂く事。そして、婚約当初の約束通り、キス以上の性的接触は婚姻後にする事が、婚約継続の条件ですわ」

 リリアナのその言葉に、そんな事かと安堵して、フレッドは満面の笑みを浮かべて安請け合いをする。

 それが自身にとって、地獄となる事も知らずに。


「本当かい?!有り難う!ああ、君と早く結婚したいよ!」


 最近開発された魔法とは、浮気心を察知すると、男の一物に激痛が走ると言う物だ。

 元々この魔法は、女癖の悪い王族がやらかした時の厳罰に使う為に開発された魔法もの

 許可された相手に欲情する事は出来ても、その相手以外は激痛が伴い、身動きすら取れなくなる程だ。

 そして、その魔法が発動した場合、許可された相手、要は魔力登録された相手にも伝わる。

 その激痛から逃れる術は、特定の相手以外には一切欲情せず、性的思考も考えない事だ。

 この魔法は、一度掛ければ登録相手だけは変えられるが、本人に掛けられた魔法その物を解く事は出来ない。

 それもそうだろう。

 この魔法は元々、継承位を持つ王族の種子たねを、あちこちでバラ蒔かれないよう、管理する為に開発された物。

 さすがに登録相手を固定すると、相手に死なれた場合等、子が必要となっても作れない事になる為、登録相手は変えられるようにしている。

 とは言え、登録相手は魔法を掛けられた本人が変える事は出来ないし、登録の際はこの魔法を開発した研究機関のトップ……要はリリアナの家の許可を貰う必要がある。

 そんな事とは知らずに、フレッドは内心嘲笑う。

 どうせ開発された魔法と言っても、浮気が通報されるような魔法や、居場所がバレる魔法では無いだろうと。

 だから、バレなければ問題無い。これからは絶対バレないようにしなければ。

 フレッドは、開発された魔法がどういう物かも聞かずに、バレなければ大丈夫だと高を括っていた。

 元々女好きなフレッドは、これは男のさがだと言い訳を心の中でしていたのだ。


「愛しているよ、リリアナ!俺には君だけだ!!」


 そうしてフレッドは、最近開発された魔法の被験者となったのだった。
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