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第一章 燃え盛る憎悪の精神体
七話 流出
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見上げるほどの巨躯の中心、不自然に盛り上がった胸部の内に赤く光る球体があった。
かの邪神、異界の魂を現世にとどめさせる為の楔。数多の生物の屍を混ぜ合わせて作り上げた肉と骨の像は、今や新たなる姿を形造るための蛹へと変じていた。
魔族の長、墜ちたる神の魂を取り込んだ荒ぶる憎悪の精神体は、その質量を倍に、乗に膨れ上がらせる。
そして今、それに見合うだけの肉体を自ら生み出さんとしている。
仮初の像とは違う本物の体を。
この世で何の障害なく活動ができる躰を。
その魂の熱に見合う強度と質量を備えた躯を。
霊力。この世に満ちる魔力とは似て非なる魂の原材料。原初の力の欠片。魂の質量が生物としての機能の全てを決定するその理由は、万象全てがこの霊力より出ずるからに他ならない。
外界の存在であるかの魂は、現世の生物と比べその霊力の密度が違う。
たとえ旧き時代にて駆逐され、摩耗し、その本領を失っている状態であったとしても、しかし大概の魔族など相手にならぬ程度の力を持つことを約束される地位にある。
覚醒の時が近づく。意識が目覚めにその手をかけようとするたび、赤い球体を中心に空間が震える。
それは熱を持ち、魔力の粒子すら揺るがす励起の波動。
────揺らぐ。
多重の結界、霊脈への接続術式、この日の為に北の魔族の全ての力を注がれ作られた儀式の空間。地下祭儀場。
そこが震えている。球体が鼓動する度、ぱらぱらと天井から欠片が降る。目覚めの時を前に、謁見の為集った500以上の魔族たちは、そこでようやく悟った。
あぁ、魔神が言ったことは真であった。あれは”災害”そのものだ。
本当に世界を変えるほどの力を持ち合わせた、純粋な力の化身だ。
我々が真の主と仰ぎ見るに相応しいナニカが、今覚醒しようとしている。
刹那。ひときわ大きな脈動が全てを揺るがしたとき。それは起きた。
ごうごうと音を立てて。燃え上がる。熱波が爆発じみてその場の者を叩き、天井にまで届くほど高い炎の柱が、巨大な蛹より生じた。
自然の炎とは違う、痛々しいまでの深紅に染まった炎。そこに混ざる青や紫の輝きは、取り込んだという他の魂たちの色か。
やがて、今まで微塵も動きを見せなかった巨像の体が、めきめきと音を立てて自壊していく。胸部を中心に、燃え尽きた炭が灰へと変わっていくように。その形を保つことができなくなっていく。
それに合わせて火の勢いが減じ、残ったのは深紅の球体。膨大な熱に常に晒され続けたであろうそれは、しかし表面が水面のようにゆらゆらと揺らいでいた。
ゆっくりと祭儀場の中央、初めにかの魂が召喚された場所と同じ祭壇へとゆっくりと降下していく。その麓、扇状に取り囲むように控えるのは────魔王エヴァと、その臣【七獄】の七人。
「さぁ、北の魔族たちよ。讃えよ!かの者の目覚めを! 狂喜せよ!我らが主の降臨を! 今宵より安寧は終わる。恐怖と絶望に満ちた時代がやってくる!」
高らかに謳い上げるは魔神の分霊。
「我が物顔で大地を踏み荒らす痴れ者共、無知蒙昧たる愚者に鉄槌を! 愛する我が子、魔王カウエリスがその全てを賭けて呼び出した、至上にして最凶の災禍の化身よ! 今、汝の名を返上奉る────」
締めくくりのその言葉と共に、赤き弾ははじけ飛んだ。
どろどろの液体。それに全身を濡らすその姿は……前身たる巨像と比べて余りにも矮小な姿──2、3m程度の人型へと変じていた。
歪にねじくれた骨に、最低限の皮と肉を被せたような。青白い肌、細長い手足は幽鬼を彷彿とさせる。
全身に毛髪の類は一切ない。顔にはこの世全てを憎悪するかの如き怒りの表情が皴と共に刻まれていて────瞬間、全身に複雑な形状の紋様が光る。瞳が三つ、炎を発して燃え上がり、背後から名状しがたき無数の触手のようなものが伸びた。
「かつてかの者を指した言葉の一つ────尽きることなき燃え盛る憤怒を司るもの。”怒りの王”よ!」
◆ ◆ ◆ ◆
生まれ変わったような気分というのを体験することにかけて、俺の右に出る者はいまい。
死と再生を何度繰り返したことか。いつまで繰り返せば終わりが来るのか。
いや、愚問だ。終わりが無いのであれば、俺が終焉をもたらせばいいだけのこと。
「気分はどうだい、我が君?」
「最悪だ」
「はは、だろうね。君に再起の祝福は似合わないもの」
「……」
「おや、その様子だと……ははぁ、なるほど。さてはちょっとは思い出したんだね?」
相変わらず五月蠅い毛玉が話しかけてくる。
身体が重さから解放されると共に、世界を視る解像度が段違いに上がった。もういい、こいつのことでいちいち腹を立てるのも面倒だ。
そして、コイツの言葉は正しい。俺は眠っている間夢を見ていた。
俺が人となって生き、人となって手を取り、人となって人を愛し────それを全て失う夢を。
あれはきっと、俺の過去なのだろう。旧世界の残滓とかいうやつなのだろう。
だが、それを見たからと言って新たに怒りを覚えるという事は意外にも無かった。推測するに、コレが俺にとって普通なのだ。何かに怒り猛っているのが普通なのだ。それを平静と捉えられるようになる程度には、この世界に定着できていると見える。
「”怒りの王”──それが、俺の名か」
「そうだよ。君は昔、そう呼ばれていた。不満かな、人が君に付けた名前は」
「……いや」
それが自然の事に感じる。無くしていたものが帰ってきた気持ちだ。
ゆっくりと視線を落とすと、俺を見上げる者共の姿が見える。
額の瞳が、それらが全て北の魔族の一族であると認識する。魔神より受け継いだこの瞳は、尋常の手段では知覚できない情報を多量に俺へと流し込む力を備えていた。
その一番前で傅く女、魔王エヴァが言葉を紡ぐ。
「我らが主、アグニマズダ様。無事お目覚めになられたようで何よりでございます」
「魔王エヴァ……そうか、出迎えか。結構なことだな」
「は。我等一族総勢、諸手を上げて貴方様の覚醒を祝福させていただきます」
「……分かるぞ。その後ろ、件の【七獄】とかいう輩だろう」
「はい。皆貴方様の忠実なる下僕。何なりとお申し付けくださいませ」
その言葉に続いて服従の礼をとる七体の異形。特に命じることは無いため放っておく。特に興味も無い。
「……じゃ、何かあったら呼んでよ。ぼくはやることがあるからさ」
「何だと?」
「こう見えてけっこう忙しい身の上でね。仕事は山積みなんだ。あぁでも心配しないで、君より優先すべき仕事ってのはないからさ。召集にはいの一番に従うよ」
毛玉はあっさりと言う。
正直に言えば拍子抜けだった。策士気取りでおしゃべり好きなコイツの事だから、大層な大義名分を論えて救済とやらを促すかと思ってみれば……引き留めなければ本当にどこかへ行きそうな雰囲気を醸し出している。
「貴様、それでいいのか」
「ん? それで、とは」
「口うるさく指示を出すものと考えていたが」
「そうした方が良かった? ……冗談だ、そんな怖い目で見ないでよ」
いちいち一言多い奴だ。だがそこまで言って、このやりとりが恐らくヤツの狙いなのだと気付く。
押したり引いたりの絡め手はコイツの十八番なんだと思い知らされる。残念なことに俺はその手の駆け引きにはあまり強くは無い。
業腹だが、ナイアルラの言葉に続けて耳を貸す。
「そうだね……とりあえず宣誓とかしてみたらいいんじゃないかな?」
「どういうことだ」
「一応やる気にはなってくれたんでしょう? でなけりゃここから出るなり皆殺しにするなりできたはずだしね」
「……否定はしないでおく」
「それは結構。じゃあ、まずは君への魔族の認識を統一しておきたい。魔族は実力第一主義だし、ここの輩は合理主義者だから、君が君主として振舞うなら否が応無くそれに従うさ」
曰く、ここにいる誰よりも俺は既に強い。この時点で俺に楯突こうとする輩はいないにせよ、今のままでは俺の扱いは自然災害のそれだ。
無論、統治者たる魔王エヴァが俺の配下として振舞っている以上、従属は時間の問題なのだろうが、こういうのは形が大切なのだという。
気乗りはしない。支配やら忠誠やらはこの身には面倒でしかない。
だが────これまた腹の立つことに、一応俺も今後やっていくことは決めていた。ナイアルラが望む様な形で、だ。
魔族の行く末に興味などない。玉座など勝手に奪い合いをしていればいい。殺しが好きな訳でもなければ、ナイアルラの言葉にほだされたわけではない。
だが、我が身は復讐の炎の権化なれば。
そうでなくとも、俺の憎しみの根源である【転生者】やそれを率いる神々が、今どういう面をしてのうのうと生きているかを拝んでみるのには些か興味がある。
だから。
「答えろ」
前に出る。睥睨する。俺を見上げる有象無象たちの姿を。
「貴様らが望むものは何だ? その対価に何を支払う?」
邪神として振舞えと言われたならば、文言など相場が決まっている。
そして、俺の言葉に────滅びゆく虫けら共の主、エヴァが進み出て応える。
「終焉を。苦痛に満ちた滅びを。その対価として、我らの持ち合わせる全てを捧げます」
「……魔王の言葉に従うなら、沈黙をもって応えるがいい」
実に愚かな者達だ。声ひとつ上りはしない。
いいだろう、さしあたっては付き合ってやる。
「よかろう。ならば────全て殺す。神も人も何もかも殺す。現世だろうが幽世だろうが、一切合切の区別なく殺し、血と死体の山河の果てにこの世界を終わらせる」
それをもって、貴様らへの返答に──────我が憎悪の終着点とする。
かの邪神、異界の魂を現世にとどめさせる為の楔。数多の生物の屍を混ぜ合わせて作り上げた肉と骨の像は、今や新たなる姿を形造るための蛹へと変じていた。
魔族の長、墜ちたる神の魂を取り込んだ荒ぶる憎悪の精神体は、その質量を倍に、乗に膨れ上がらせる。
そして今、それに見合うだけの肉体を自ら生み出さんとしている。
仮初の像とは違う本物の体を。
この世で何の障害なく活動ができる躰を。
その魂の熱に見合う強度と質量を備えた躯を。
霊力。この世に満ちる魔力とは似て非なる魂の原材料。原初の力の欠片。魂の質量が生物としての機能の全てを決定するその理由は、万象全てがこの霊力より出ずるからに他ならない。
外界の存在であるかの魂は、現世の生物と比べその霊力の密度が違う。
たとえ旧き時代にて駆逐され、摩耗し、その本領を失っている状態であったとしても、しかし大概の魔族など相手にならぬ程度の力を持つことを約束される地位にある。
覚醒の時が近づく。意識が目覚めにその手をかけようとするたび、赤い球体を中心に空間が震える。
それは熱を持ち、魔力の粒子すら揺るがす励起の波動。
────揺らぐ。
多重の結界、霊脈への接続術式、この日の為に北の魔族の全ての力を注がれ作られた儀式の空間。地下祭儀場。
そこが震えている。球体が鼓動する度、ぱらぱらと天井から欠片が降る。目覚めの時を前に、謁見の為集った500以上の魔族たちは、そこでようやく悟った。
あぁ、魔神が言ったことは真であった。あれは”災害”そのものだ。
本当に世界を変えるほどの力を持ち合わせた、純粋な力の化身だ。
我々が真の主と仰ぎ見るに相応しいナニカが、今覚醒しようとしている。
刹那。ひときわ大きな脈動が全てを揺るがしたとき。それは起きた。
ごうごうと音を立てて。燃え上がる。熱波が爆発じみてその場の者を叩き、天井にまで届くほど高い炎の柱が、巨大な蛹より生じた。
自然の炎とは違う、痛々しいまでの深紅に染まった炎。そこに混ざる青や紫の輝きは、取り込んだという他の魂たちの色か。
やがて、今まで微塵も動きを見せなかった巨像の体が、めきめきと音を立てて自壊していく。胸部を中心に、燃え尽きた炭が灰へと変わっていくように。その形を保つことができなくなっていく。
それに合わせて火の勢いが減じ、残ったのは深紅の球体。膨大な熱に常に晒され続けたであろうそれは、しかし表面が水面のようにゆらゆらと揺らいでいた。
ゆっくりと祭儀場の中央、初めにかの魂が召喚された場所と同じ祭壇へとゆっくりと降下していく。その麓、扇状に取り囲むように控えるのは────魔王エヴァと、その臣【七獄】の七人。
「さぁ、北の魔族たちよ。讃えよ!かの者の目覚めを! 狂喜せよ!我らが主の降臨を! 今宵より安寧は終わる。恐怖と絶望に満ちた時代がやってくる!」
高らかに謳い上げるは魔神の分霊。
「我が物顔で大地を踏み荒らす痴れ者共、無知蒙昧たる愚者に鉄槌を! 愛する我が子、魔王カウエリスがその全てを賭けて呼び出した、至上にして最凶の災禍の化身よ! 今、汝の名を返上奉る────」
締めくくりのその言葉と共に、赤き弾ははじけ飛んだ。
どろどろの液体。それに全身を濡らすその姿は……前身たる巨像と比べて余りにも矮小な姿──2、3m程度の人型へと変じていた。
歪にねじくれた骨に、最低限の皮と肉を被せたような。青白い肌、細長い手足は幽鬼を彷彿とさせる。
全身に毛髪の類は一切ない。顔にはこの世全てを憎悪するかの如き怒りの表情が皴と共に刻まれていて────瞬間、全身に複雑な形状の紋様が光る。瞳が三つ、炎を発して燃え上がり、背後から名状しがたき無数の触手のようなものが伸びた。
「かつてかの者を指した言葉の一つ────尽きることなき燃え盛る憤怒を司るもの。”怒りの王”よ!」
◆ ◆ ◆ ◆
生まれ変わったような気分というのを体験することにかけて、俺の右に出る者はいまい。
死と再生を何度繰り返したことか。いつまで繰り返せば終わりが来るのか。
いや、愚問だ。終わりが無いのであれば、俺が終焉をもたらせばいいだけのこと。
「気分はどうだい、我が君?」
「最悪だ」
「はは、だろうね。君に再起の祝福は似合わないもの」
「……」
「おや、その様子だと……ははぁ、なるほど。さてはちょっとは思い出したんだね?」
相変わらず五月蠅い毛玉が話しかけてくる。
身体が重さから解放されると共に、世界を視る解像度が段違いに上がった。もういい、こいつのことでいちいち腹を立てるのも面倒だ。
そして、コイツの言葉は正しい。俺は眠っている間夢を見ていた。
俺が人となって生き、人となって手を取り、人となって人を愛し────それを全て失う夢を。
あれはきっと、俺の過去なのだろう。旧世界の残滓とかいうやつなのだろう。
だが、それを見たからと言って新たに怒りを覚えるという事は意外にも無かった。推測するに、コレが俺にとって普通なのだ。何かに怒り猛っているのが普通なのだ。それを平静と捉えられるようになる程度には、この世界に定着できていると見える。
「”怒りの王”──それが、俺の名か」
「そうだよ。君は昔、そう呼ばれていた。不満かな、人が君に付けた名前は」
「……いや」
それが自然の事に感じる。無くしていたものが帰ってきた気持ちだ。
ゆっくりと視線を落とすと、俺を見上げる者共の姿が見える。
額の瞳が、それらが全て北の魔族の一族であると認識する。魔神より受け継いだこの瞳は、尋常の手段では知覚できない情報を多量に俺へと流し込む力を備えていた。
その一番前で傅く女、魔王エヴァが言葉を紡ぐ。
「我らが主、アグニマズダ様。無事お目覚めになられたようで何よりでございます」
「魔王エヴァ……そうか、出迎えか。結構なことだな」
「は。我等一族総勢、諸手を上げて貴方様の覚醒を祝福させていただきます」
「……分かるぞ。その後ろ、件の【七獄】とかいう輩だろう」
「はい。皆貴方様の忠実なる下僕。何なりとお申し付けくださいませ」
その言葉に続いて服従の礼をとる七体の異形。特に命じることは無いため放っておく。特に興味も無い。
「……じゃ、何かあったら呼んでよ。ぼくはやることがあるからさ」
「何だと?」
「こう見えてけっこう忙しい身の上でね。仕事は山積みなんだ。あぁでも心配しないで、君より優先すべき仕事ってのはないからさ。召集にはいの一番に従うよ」
毛玉はあっさりと言う。
正直に言えば拍子抜けだった。策士気取りでおしゃべり好きなコイツの事だから、大層な大義名分を論えて救済とやらを促すかと思ってみれば……引き留めなければ本当にどこかへ行きそうな雰囲気を醸し出している。
「貴様、それでいいのか」
「ん? それで、とは」
「口うるさく指示を出すものと考えていたが」
「そうした方が良かった? ……冗談だ、そんな怖い目で見ないでよ」
いちいち一言多い奴だ。だがそこまで言って、このやりとりが恐らくヤツの狙いなのだと気付く。
押したり引いたりの絡め手はコイツの十八番なんだと思い知らされる。残念なことに俺はその手の駆け引きにはあまり強くは無い。
業腹だが、ナイアルラの言葉に続けて耳を貸す。
「そうだね……とりあえず宣誓とかしてみたらいいんじゃないかな?」
「どういうことだ」
「一応やる気にはなってくれたんでしょう? でなけりゃここから出るなり皆殺しにするなりできたはずだしね」
「……否定はしないでおく」
「それは結構。じゃあ、まずは君への魔族の認識を統一しておきたい。魔族は実力第一主義だし、ここの輩は合理主義者だから、君が君主として振舞うなら否が応無くそれに従うさ」
曰く、ここにいる誰よりも俺は既に強い。この時点で俺に楯突こうとする輩はいないにせよ、今のままでは俺の扱いは自然災害のそれだ。
無論、統治者たる魔王エヴァが俺の配下として振舞っている以上、従属は時間の問題なのだろうが、こういうのは形が大切なのだという。
気乗りはしない。支配やら忠誠やらはこの身には面倒でしかない。
だが────これまた腹の立つことに、一応俺も今後やっていくことは決めていた。ナイアルラが望む様な形で、だ。
魔族の行く末に興味などない。玉座など勝手に奪い合いをしていればいい。殺しが好きな訳でもなければ、ナイアルラの言葉にほだされたわけではない。
だが、我が身は復讐の炎の権化なれば。
そうでなくとも、俺の憎しみの根源である【転生者】やそれを率いる神々が、今どういう面をしてのうのうと生きているかを拝んでみるのには些か興味がある。
だから。
「答えろ」
前に出る。睥睨する。俺を見上げる有象無象たちの姿を。
「貴様らが望むものは何だ? その対価に何を支払う?」
邪神として振舞えと言われたならば、文言など相場が決まっている。
そして、俺の言葉に────滅びゆく虫けら共の主、エヴァが進み出て応える。
「終焉を。苦痛に満ちた滅びを。その対価として、我らの持ち合わせる全てを捧げます」
「……魔王の言葉に従うなら、沈黙をもって応えるがいい」
実に愚かな者達だ。声ひとつ上りはしない。
いいだろう、さしあたっては付き合ってやる。
「よかろう。ならば────全て殺す。神も人も何もかも殺す。現世だろうが幽世だろうが、一切合切の区別なく殺し、血と死体の山河の果てにこの世界を終わらせる」
それをもって、貴様らへの返答に──────我が憎悪の終着点とする。
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『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
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