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フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-
第3章・籠の中 20 火照る体
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二人分の重さで、ソファーが深く沈んでいくのがわかる。突然のことで驚いて、反射的に体に力が入る。
「なっ……んぅ……っ」
何でと聞こうとしたのに、開けてしまった口のせいで口付けが深くなる。避けられないようになのか、頭に回ったコールの手に力を入れられる。
痛くはないし、抵抗すれば簡単に離れるくらいの力だ。舌と舌が触れて、撫でるように擦られる。
「はぁっ……ぁあ……」
上顎を舐められて、舌を絡ませられる。閉じることのできない口の端から、唾液が零れて肌をゆっくりと流れていくのがわかる。
まだキスをされているだけなのに、体の熱が一気に上がっていく。媚薬は飲んでいないはずなのに、あの夜のように体が火照ってくる。
軽く舌を吸われて、じんとする甘い痛みに体が震える。ゆっくりと離れてコールの唇から、目が放せない。
同じように溢れて濡れた唇を、ゆっくりと舐めとっている。あまりにも煽情的な仕草に見えて、心臓が激しく鼓動してしまう。
そっと頬に手が触れて、少しずつ下に移動していく。大きな暖かい手が首筋を撫でて、鎖骨に触れる。
一緒に伏せられていくコールの視線の先を追って、同じように瞳をさげた。コールが何を捉えているのか気づいて、両腕を思い切り伸ばして距離を取ろうとする。
「うあっ……ぁ!」
けれど間に合わずに、下がって来た指に布を押し上げてしまっていた突起が摘ままれる。体がびくりと大きく揺れて、高い声が漏れる。
伸ばした腕は何の役にも立たず、押せなかったコールの体が余計に迫って来る。支えられなくなった体がソファーに倒れ込んで、上から見下ろされた。
相変わらず、コールの表情を見ても何を考えているのかわからない。衣に手を伸ばされて、前を広げられていく。
「もう抵抗しないのか?」
なぜか、抵抗するのかしないのかを聞かれているのではない気がする。コールがもっとわかりやすければいいのにと思う。
ユイアナやスリアの言葉を信じるなら、自分の気持ちを伝えるだけでいい。でもコールはクリースと一緒に、クライスを陥れた。
自分が傷つくのが怖くて、何も言えない。ただの戯れだったとしたら、滑稽でしかない。
「抵抗……できません」
すっとコールから視線をそらすと、テーブルで冷めてしまっただろうお茶が見える。沈黙に痛みを感じている間も、顔を、肌をコールに見られている。
視線に堪えるように瞳を閉じる。
「いいのか、見てなくて」
「んっ……」
耳元で囁かれて、瞳を開けてしまう。ぐっとそばに寄ったコールの熱を感じる。
何を見ていなければいけないのか、コールの動きを目で追ってしまう。ゆっくりと下に移動したコールの唇の前で、主張する薄紅色の突起が見える。
ダメだと思った瞬間には、暖かい粘膜に包まれ強く吸われた。止めようとする手を必死に我慢させて、大人しく受け入れる。
「あっ……んっ、ふぅ……」
声を上げてしまうのが恥ずかしくて、抵抗してしまいそうになる手で口を塞ぐ。強く吸われ、芯を硬くした突起が濡れて光っている。
触れるか触れないかの距離で舐められたかと思うと、優しく食まれる。抑えようとするのに、体は勝手に反応する。
胸をいじられているだけなのに、下まで熱くなってしまっているのがわかる。
「きつそうだ」
はしたなく布を押し上げている陰茎を、上からそっと撫でられる。腰が跳ねて、声が出そうになるのを必死に堪える。
ふっと冷たさを感じて、布から出されたことがわかる。
「やぁ、あぁ!」
コールの指が陰茎の先に触れた。ぬるりと滑って、陰茎が小さく揺れる。
「随分と感じやすい」
少し目を細めるコールの瞳の中に、うっすらと欲望が見えた気がする。指で触れられただけで、先走りの雫が垂れてしまう。
クチっという濡れた音が、握られた場所から聞こえてくる。ゆるゆると手を動かされて、勝手に腰が揺れてしまう。
欲望なんて感じたことはなかった。必要だからしていた処理とは、コールが与える愛撫は違い過ぎる。
「ダ……メっ……イっちゃ……あ、あぁああ!」
少しいじられているだけなのに、すぐに頂点まで昇りつめてしまう。コールの手を汚して、白濁がポタポタと落ちる。
呼吸が荒くなって、視界がぼやける。体から力が抜けて、ソファーに本当に体が沈んでしまうような気がする。
そっと目元にコールの唇が落ちてくる。そして頬にも。
最後に唇が合わさって、また舌を中に入れられる。粘膜が合わさる音が頭の中で響いて、だんだん境目がわからなくなる。
上手く息継ぎもできなくなって、限界だと思った頃に糸を引いて唇が離れていく。ぬるま湯に浸かっているような感覚に、瞳を閉じようとして腕を取られる。
「まだ終わりじゃない」
腕を引かれて立たされるが、力が入らなくてコールの方に倒れ込む。あの夜のように抱き上げられて、ベッドに下ろされる。
やっと言葉の意味を理解して、ぞくりと肌が震えるのを感じる。体が勝手に喜んでいるのがわかる。
体を作り替えられていく気がして、ひどく怖いと思った。無意識にベッドの上で、コールから離れようとする。
けれど簡単に縫い留められて、動けなくなる。
「抵抗するか?」
また同じことを聞かれる。抵抗すれば正解なのだろうかと思っても、手から力が抜けていく。
自分だけの問題じゃない、国にいる民のことを考えろと言い訳のようなことを思っていた。抵抗しない本当の理由を隠してでも、触れてもらいたいと思っているのではないか……。
「……しません」
囁くような声になってしまったが、コールの耳にはちゃんと届いたことがわかった。
「なっ……んぅ……っ」
何でと聞こうとしたのに、開けてしまった口のせいで口付けが深くなる。避けられないようになのか、頭に回ったコールの手に力を入れられる。
痛くはないし、抵抗すれば簡単に離れるくらいの力だ。舌と舌が触れて、撫でるように擦られる。
「はぁっ……ぁあ……」
上顎を舐められて、舌を絡ませられる。閉じることのできない口の端から、唾液が零れて肌をゆっくりと流れていくのがわかる。
まだキスをされているだけなのに、体の熱が一気に上がっていく。媚薬は飲んでいないはずなのに、あの夜のように体が火照ってくる。
軽く舌を吸われて、じんとする甘い痛みに体が震える。ゆっくりと離れてコールの唇から、目が放せない。
同じように溢れて濡れた唇を、ゆっくりと舐めとっている。あまりにも煽情的な仕草に見えて、心臓が激しく鼓動してしまう。
そっと頬に手が触れて、少しずつ下に移動していく。大きな暖かい手が首筋を撫でて、鎖骨に触れる。
一緒に伏せられていくコールの視線の先を追って、同じように瞳をさげた。コールが何を捉えているのか気づいて、両腕を思い切り伸ばして距離を取ろうとする。
「うあっ……ぁ!」
けれど間に合わずに、下がって来た指に布を押し上げてしまっていた突起が摘ままれる。体がびくりと大きく揺れて、高い声が漏れる。
伸ばした腕は何の役にも立たず、押せなかったコールの体が余計に迫って来る。支えられなくなった体がソファーに倒れ込んで、上から見下ろされた。
相変わらず、コールの表情を見ても何を考えているのかわからない。衣に手を伸ばされて、前を広げられていく。
「もう抵抗しないのか?」
なぜか、抵抗するのかしないのかを聞かれているのではない気がする。コールがもっとわかりやすければいいのにと思う。
ユイアナやスリアの言葉を信じるなら、自分の気持ちを伝えるだけでいい。でもコールはクリースと一緒に、クライスを陥れた。
自分が傷つくのが怖くて、何も言えない。ただの戯れだったとしたら、滑稽でしかない。
「抵抗……できません」
すっとコールから視線をそらすと、テーブルで冷めてしまっただろうお茶が見える。沈黙に痛みを感じている間も、顔を、肌をコールに見られている。
視線に堪えるように瞳を閉じる。
「いいのか、見てなくて」
「んっ……」
耳元で囁かれて、瞳を開けてしまう。ぐっとそばに寄ったコールの熱を感じる。
何を見ていなければいけないのか、コールの動きを目で追ってしまう。ゆっくりと下に移動したコールの唇の前で、主張する薄紅色の突起が見える。
ダメだと思った瞬間には、暖かい粘膜に包まれ強く吸われた。止めようとする手を必死に我慢させて、大人しく受け入れる。
「あっ……んっ、ふぅ……」
声を上げてしまうのが恥ずかしくて、抵抗してしまいそうになる手で口を塞ぐ。強く吸われ、芯を硬くした突起が濡れて光っている。
触れるか触れないかの距離で舐められたかと思うと、優しく食まれる。抑えようとするのに、体は勝手に反応する。
胸をいじられているだけなのに、下まで熱くなってしまっているのがわかる。
「きつそうだ」
はしたなく布を押し上げている陰茎を、上からそっと撫でられる。腰が跳ねて、声が出そうになるのを必死に堪える。
ふっと冷たさを感じて、布から出されたことがわかる。
「やぁ、あぁ!」
コールの指が陰茎の先に触れた。ぬるりと滑って、陰茎が小さく揺れる。
「随分と感じやすい」
少し目を細めるコールの瞳の中に、うっすらと欲望が見えた気がする。指で触れられただけで、先走りの雫が垂れてしまう。
クチっという濡れた音が、握られた場所から聞こえてくる。ゆるゆると手を動かされて、勝手に腰が揺れてしまう。
欲望なんて感じたことはなかった。必要だからしていた処理とは、コールが与える愛撫は違い過ぎる。
「ダ……メっ……イっちゃ……あ、あぁああ!」
少しいじられているだけなのに、すぐに頂点まで昇りつめてしまう。コールの手を汚して、白濁がポタポタと落ちる。
呼吸が荒くなって、視界がぼやける。体から力が抜けて、ソファーに本当に体が沈んでしまうような気がする。
そっと目元にコールの唇が落ちてくる。そして頬にも。
最後に唇が合わさって、また舌を中に入れられる。粘膜が合わさる音が頭の中で響いて、だんだん境目がわからなくなる。
上手く息継ぎもできなくなって、限界だと思った頃に糸を引いて唇が離れていく。ぬるま湯に浸かっているような感覚に、瞳を閉じようとして腕を取られる。
「まだ終わりじゃない」
腕を引かれて立たされるが、力が入らなくてコールの方に倒れ込む。あの夜のように抱き上げられて、ベッドに下ろされる。
やっと言葉の意味を理解して、ぞくりと肌が震えるのを感じる。体が勝手に喜んでいるのがわかる。
体を作り替えられていく気がして、ひどく怖いと思った。無意識にベッドの上で、コールから離れようとする。
けれど簡単に縫い留められて、動けなくなる。
「抵抗するか?」
また同じことを聞かれる。抵抗すれば正解なのだろうかと思っても、手から力が抜けていく。
自分だけの問題じゃない、国にいる民のことを考えろと言い訳のようなことを思っていた。抵抗しない本当の理由を隠してでも、触れてもらいたいと思っているのではないか……。
「……しません」
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