リバになった高校生

motoi

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ウケがしたい?

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 男同士はシンプルでいい。お互いセックスしたいという気持ちに正直に、俺たちはほぼ毎日体を重ね合わせていた。俺の家は弟がいるので、部活の後はたくとの家に行くのがお決まりになった。

 彼女とは電話で別れた。もうたくと以外を抱く気もなかった。

 女の子はふにゃふにゃとした柔らかさだけど、たくとはしっかりと弾力のある柔らかさをしている。体を重ねるとまたあの甘い匂いに包まれた。すべすべした肌に触れながらその匂いを嗅ぐと、それだけで俺は勃起していた。
 たくとはエッチになるといつも積極的だった。俺の乳首から陰部までを細かく舐めてくれる。可愛い。それを見ているだけでたまらず、いってしまった。
 たくとの顔にかかった精液を丁寧にティッシュで拭う。俺の股間はたくとがきれいに精子を舐めとった。たくとは嬉しそうに笑う。

「気持ちよかった?」

 生意気にそんなことも聞くので、俺はムキになって「全然」と答えた。そして、身体を入れ替えて、今度はたくとをベッドに寝かせる。

 セックスについてたくとは色々研究しているみたいだが、俺が一番大事だと思っているのは雰囲気だ。犯されているという意識を相手に植え付けること。そのためにまず、俺は相手の脇を舐める。
 たくとは恥ずかしそうに抵抗した。「シャワー浴びてないから」と抵抗する手を塞いで、脇を舐め、深く息を吸い込む。たくとの匂いが鼻腔をくすぐる。
 うすく生えている腋毛を撫でるように舌を這わせ、身をよじって逃げようとするたくとを空いている手でおさえた。
 脇につづいて鎖骨をなぞり、首元にたどり着く。首の皮の薄い部分に舌を押し付けるように舐めた。たくとが喘ぎ声をあげると、それを遮るようにキスをした。
 たくとは多分、キスが好きなんだろう。いつも俺の舌をむさぼるように夢中でキスをしてくれる。俺のものもまたギンギンに勃起していた。
 ふたりの体液でぬるぬるになった竿を重ねて扱く。たくとの竿からは先走りが漏れ出ていた。昂ぶりを共にして、果てる。
 
 そんなころにはもう夕食の時間で、さすがにたくとの親も帰ってきてしまうということで、帰ることにする。最近はいつも、そんな流れだ。

「じゃあなー」

 そういってたくとの家をあっさりと出る半面、俺は内心さびしさを感じていた。もっとたくとと一緒にいたい。もっとたくとと一緒になりたい。

 要するに、たくとに挿入したいと思っていた。

 男同士のセックスでは肛門に陰茎を挿入する。AVではするりと入っているが、実際はかなり慣らさないと大変らしい。

 挿入するほうを『タチ』、されるほうを『ウケ』という。

 俺は断然『タチ』だから、必然的にたくとは『ウケ』ということになる。『ウケ』をするには、事前に肛門を洗ったり、慣らしたりと、準備が必要らしい。男女のようなその場の勢いだけで挿入することは難しい。一度、聞いてみようかな。

 でも、そもそもたくとは『ウケ』がしたいのだろうか?




 帰り際、ゆうき先輩にきかれた。

「たくとって、ウケ?」
「え?」

 僕は唐突な質問に理解が追い付かず、思わず聞き返した。僕の反応を見て、先輩も急に口ごもり、「ああ、いや、何でもない」とその話題は流れてしまった。
 
 帰ってから、家で調べて意味を知った。
 
 今まで漠然と見ていたので気にしてなかったが、確かに男同士でのセックスでは挿入する側と挿入される側に分かれる。挿入される側=『ウケ』かどうかを、ゆうき先輩は聞いたのだ。
 
 挿れたい……だろうか。
 
 想像する。ゆうき先輩に挿れられるところを。あのエナジードリンクの缶みたいに大きいイチモツが俺の穴を穿つ。はいるだろうか?
 
 そもそも男の穴は一つ。肛門しかない。汚くないだろうか?
 スマホの検索エンジンで『ウケ 肛門』と調べる。なるほど。浣腸のようなものでお尻の穴の中に水を入れては出し、何度か洗う……。

「善は急げだ!」

 たくとはベッドから飛び起きると、財布と携帯を持って家を飛び出た。うす暗い道、自転車を漕いで薬局まで向かう。
 ローション、浣腸、それとコンドームをかごに入れてレジに持っていく。未成年なので止められないかとドキドキしたが、レジのお兄さんはたんたんと作業をし、会計を告げた。
 
 お金を払い、買ったものをその場でカバンに入れようとするとすると、お兄さんにとめられた。

「紙袋に入れますので」
「あ、すみません」

 あとから知ったが、性的な商品は紙袋に入れられるらしい。短い時間だが、長く感じた。手渡され、それをもぎ取るようにして急いで店を出る。

「あっ」

 店員のお兄さんは何か言いかけたが、たくとの耳には入らなかった。
 店の外で自転車のカギを外していると、お兄さんがお釣りとレシートを持って、追いかけてくれた。焦りすぎてたくとは受け取るのを忘れていたのだ。

「すみません……ありがとうございます」

 お兄さんが差し出す右手に手を伸ばすと、その手をぎゅっと握られた。お兄さんは下を向いて、僕の目を見ず、口を開いた。

「ウケ……初めてなの?」

 俺は驚きつつも素直に「はい」と答えた。その声に、お兄さんも顔を上げて、目を開いてこちらを見た。

「教えようか?」
「え?」
「あ、いや。最初はうまくやらないと痛いし、俺、割と経験あるから」

 聞けば、その人は男性相手の風俗店で働いているらしい。ネットでかき集めた情報だけでは不安だった僕は、渡りに船と思い「ありがとうございます! お願いします!」と相手の優しさに甘えることにした。二人はその場で連絡先を交換し、その後やりとりを重ね、今週の土曜日にお兄さんの家で実践練習をすることになった。

 連絡先の名前は『ナオト』と表示されていた。
 
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