素敵な洋服を作りたい

大羽月菜

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 自宅に到着し、制服を脱ぎ捨てシャワーを浴びた。この時期はとにかく、服がぴったり体に張り付いて不快を感じる月だった。Tシャツと短パンに着替えて、冷蔵庫から黒ウーロン茶のペットボトルを取り出し、それを持って二階へ上る。

(指定校推薦は確定なのかな)

 心がスキップした。自惚れてはならないけれども、私より上位の子は国立大や共学の難関私立大の受験を希望している人も多いとのこと。

(久保田君はどうなったかな)

 少し気になった。指定校推薦がダメでも総合型選抜という手もあるだろうし、彼も頭が良い人だからどうにかなるだろう。ぼんやりそんなことを考えていると、ラインの着信音がかろやかに響く。アイリさんからだった。

『深山ゆきさんのトークショーイベントが来週あるんだけど、一緒にいかない?』

 意外なメッセージに気持ちが華やぐ。

「えっ」

 知らなかった。私は彼女のファッションの情報はよくチェックしていたが、イベントに関しては全く知らなかった。ここのところ、受験生だから、進路や受験のことで頭がいっぱいだった。

『どこであるんですか?』

 ワクワクしない訳がなかった。興味深々。早く知りたかった。すぐにアイリさんから返信は来た。

『三十日なんだけど、どう?』

 二十九日は学校で、模擬試験だった。それが終わった後だ。今はゆっくりしている場合じゃないけれど、その日ならOKだ。話によると、今度は池袋らしい。うちから一時間は普通にかかる。それでも行きたいと思った。

『行きます!』

 即、返信した。場所は池袋にある、とあるショッピングモールのビルだという。今回、チケットはもうゲットしており、早織さんと行く予定だったが彼女は法事のため、急遽行けなくなってしまったそうだ。私達二人で行くことに決まり、ラインで話し合った。参加費は二千円で随分、安かった。急なイベントだったので、受験生だから私を誘うか迷っていたらしい。早織さんは「受験生だからやめた方がいいかな」なんて言っていたそうだ。遠慮なく、誘って欲しかった。楽しみが一つ出来たことで、また胸に喜びが兆した。
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