素敵な洋服を作りたい

大羽月菜

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「そろそろお暇するね」

 笹村さんがここへ来て、一時間くらい経過したのをうちの時計を見て確認すると、立ち上がった。

「あ、そうだな」

 久保田君が立ち上がると引き続き、岩田さんも席を立った。三人を玄関まで見送る。

「なんかありがとうね」

 靴を履き終えた、三人に告げた。岩田さんはにっこり笑って「良いってことよ」と江戸っ子口調。笹村さんは「これから仲良くしてね」と言う。

「うん。こちらこそ、宜しく」

 今になって青春を取り戻せるだろうか。少し心がくすぐったかった。

「さっきの本、ありがとうね。ミシンも頑張るようにしなきゃ」

 今は、勉強に集中しなければならないということは、この三人と話していても分かった。

「おう。じゃぁまた明日な」

 久保田君は男子らしい口調で言うと、ドアを開けた。女子二名はめいいっぱい手を振ってくれて、ドアを閉めた。
 嬉しくて心の中から、熱いものが溢れる。ぶわっと涙も溢れて来た。世の中悪い人ばかりじゃないと、分かった瞬間だった。彼女ら二人に抱いていた想像が良い意味で大分違ったことに、気づく。今までのことはは私の勝手な想像だったことに気づいた。
 ただ、池田さんや大林さんは、赤の女王のようにこれからも意地悪なのだろう。
 そう言えば、池田さんは今日は学校へ来ただろうか。三人ともそこは触れなかった。

(まぁそこは考えても仕方ないかな)

 胸ぐらを掴んだのは大林さんであり、池田さんじゃないから彼女は停学にはならなかっただろうけど、今日からの学校生活には少し影響はあるかもしれない。それでもうちのクラスの子達は、精神的に大人の子が多いから、それに触れようとはしないだろう。彼女とは私は今後も接することはないだろう。


 その夜、案の定、体重は一キロ増えていた。明日から頑張ろう。
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