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次に向かったのは、フードコートだった。もう十一時を回っており、早めのランチタイムが始まっていた。十二時を過ぎると混むだろう。レストランだと高くて入れない。フードコートのほうが敷居が低く、入りやすさがある。もう一度二階へ降りると、他のアパレルショップも人が入り始めた。先ほどより人が増してきた。アパレルやアクセサリーが並ぶお洒落なフロアの奥にフードコートはあった。広々としており、テーブルの数も多い。端の大きな窓からは、街並みが一望できる。全国チェーンのハンバーガーショップ、ラーメン、サンドイッチ、丼、うどんと言った軽食系の店が入っていた。
結局、サンドイッチの店を選んだ。フランスパンみたいな形の大き目の全粒粉のパンに、ハム、チェダーチーズ、野菜類がたっぷり挟んでいるものをチョイス。ホットサンドも出来ると言うので、焼いてもらうことにした。ポテトとウーロン茶もつけた。値段はランチタイム割引を使って六七〇円。昨日の牛丼に比べたら割高だけど、レストラン街で食事をするよりは、安くつく。全く外食産業も値上げしたものだ。物価がどんどん高くなり、我が家でも母がブツブツ文句を言っている。
店員からサンドイッチやポテト、ドリンクが載ったトレイを受け取り、席を選ぶ。どうせなら日当たりが良い窓辺が良いと思い、そこを選んだ。テーブルは百以上はあるだろうか。まだ空いているから選び放題だった。セルフサービスのウォーターサーバーがあるところから水を汲み、着席した。早速買ったばかりの、過去の入試問題集を広げてみる。現文から問題を見ていると、意外にいける気がした。しかし、うぬぼれてはならない。英語の問題を見て見ると、若干難しい。
(これはちゃんと本腰入れて勉強しなきゃだな)
あと入試まで一年もない。今までボケっとしてきた自分も悪い。大学受験の勉強を始めている子ももういるだろう。次にスマホを触り、M女子大のHPを開いた。パンフレットを送付してもらおうと思った。募集要項請求フォームから、自分の住所等を書き込み、送信ボタンを押した。また、問題集に視線を転じ、大きなホットサンドにかぶりつく。ハムはどうやら高級品らしく、肉の味がしっかりしていて美味しい。これと溶けたチェダーチーズ、野菜に絡まったマヨネーズとの相性は抜群だった。どんどん食が進みそうになるが、ダイエット中だからと、自分に言い聞かせゆっくり食べることにした。
(久保田君は、どこの大学を受けるのかな)
今まで彼を意識したことがないのに、ふと思った。今朝の出来事を思い出す。何故彼は私に避けられているかどうかを気にしたのだろう。あんなこと言って悪かったかなと、今になって後悔も押し寄せる。しかし、頭の中でそれを打ち消した。再びサンドイッチにかぶりつく。服飾学科に行くのなら、今の流行も把握しておきたいと思った。
(さっき、ファション雑誌も買えば良かったかな)
本屋のフロアに戻るのも面倒になり、食べ終わったら帰る時に、コンビニかどこかで覗いてみよう。今までファッション誌など買ったことはなかったけれど。あの日、テレビを見た時から私の生活は、一瞬で変わってしまったように思う。行き場のない現実から逃れるために一瞬で、ハマったのだろうかと思う程だ。洋服一枚で、たった数日でこんなに変化した。深山ゆきさんは多くの女性を釘付けに出来るのだから、それだけで才がある人なのだろう。そんな人に私も近づきたいと願った。
濃いめのチーズと、ぶ厚めのブレスが入ったサンドイッチはとても美味しかった。食べ終わるとトレイを返却口に戻した。
結局、サンドイッチの店を選んだ。フランスパンみたいな形の大き目の全粒粉のパンに、ハム、チェダーチーズ、野菜類がたっぷり挟んでいるものをチョイス。ホットサンドも出来ると言うので、焼いてもらうことにした。ポテトとウーロン茶もつけた。値段はランチタイム割引を使って六七〇円。昨日の牛丼に比べたら割高だけど、レストラン街で食事をするよりは、安くつく。全く外食産業も値上げしたものだ。物価がどんどん高くなり、我が家でも母がブツブツ文句を言っている。
店員からサンドイッチやポテト、ドリンクが載ったトレイを受け取り、席を選ぶ。どうせなら日当たりが良い窓辺が良いと思い、そこを選んだ。テーブルは百以上はあるだろうか。まだ空いているから選び放題だった。セルフサービスのウォーターサーバーがあるところから水を汲み、着席した。早速買ったばかりの、過去の入試問題集を広げてみる。現文から問題を見ていると、意外にいける気がした。しかし、うぬぼれてはならない。英語の問題を見て見ると、若干難しい。
(これはちゃんと本腰入れて勉強しなきゃだな)
あと入試まで一年もない。今までボケっとしてきた自分も悪い。大学受験の勉強を始めている子ももういるだろう。次にスマホを触り、M女子大のHPを開いた。パンフレットを送付してもらおうと思った。募集要項請求フォームから、自分の住所等を書き込み、送信ボタンを押した。また、問題集に視線を転じ、大きなホットサンドにかぶりつく。ハムはどうやら高級品らしく、肉の味がしっかりしていて美味しい。これと溶けたチェダーチーズ、野菜に絡まったマヨネーズとの相性は抜群だった。どんどん食が進みそうになるが、ダイエット中だからと、自分に言い聞かせゆっくり食べることにした。
(久保田君は、どこの大学を受けるのかな)
今まで彼を意識したことがないのに、ふと思った。今朝の出来事を思い出す。何故彼は私に避けられているかどうかを気にしたのだろう。あんなこと言って悪かったかなと、今になって後悔も押し寄せる。しかし、頭の中でそれを打ち消した。再びサンドイッチにかぶりつく。服飾学科に行くのなら、今の流行も把握しておきたいと思った。
(さっき、ファション雑誌も買えば良かったかな)
本屋のフロアに戻るのも面倒になり、食べ終わったら帰る時に、コンビニかどこかで覗いてみよう。今までファッション誌など買ったことはなかったけれど。あの日、テレビを見た時から私の生活は、一瞬で変わってしまったように思う。行き場のない現実から逃れるために一瞬で、ハマったのだろうかと思う程だ。洋服一枚で、たった数日でこんなに変化した。深山ゆきさんは多くの女性を釘付けに出来るのだから、それだけで才がある人なのだろう。そんな人に私も近づきたいと願った。
濃いめのチーズと、ぶ厚めのブレスが入ったサンドイッチはとても美味しかった。食べ終わるとトレイを返却口に戻した。
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