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結局購入することになったのは、新作のワンピースは勿論のこと、やはりボウタイニットのトップス。そしてポーチだ。伸縮性のある、カットソー生地のスカートも魅力的だったけれど、予算がないからやめた。アイリさんと早織さんは、同じワンピースに加え、私が欲しいと思っていたそのスカート、半袖のTシャツ。そして、ネックレス、ポーチ等沢山注文していた。
更に人が増え、人数制限が始まったので、早めに来た私達は退散することにした。エレベーターは大変混雑しているとのこと。仕方なく、階段を使った。外へ出ると、柔らかな春らしい光は真ん中にあり、正午を示していることが分かった。そう言えばお腹ペコペコだ。空腹を我慢して、電車に乗って帰ってからその辺で何か買って食べようかと思っていたら「一緒にご飯食べない?」と、お二人に誘われてしまった。
「あの、私あんまりお金持ってきてなくて」
数か月くらい少しずつ、貯めたお小遣いだ。それに知らない人と今日初めて会い、まさか昼食まで一緒に摂るなど全く予期しない出来事だった。初めて会った人と食事を摂るのは、気兼ねもあった。その一方でコミュ障の私がこんな風に、同年代の女性と話すのは久しぶりだった。ついつい楽しくてその流れに乗ってしまった。ただ、これ以上お二人には迷惑かけられない。
「私達もないよ。バイトして貯めたお金で来たんだ」
アイリさんが言う。早織さんが横で同調する。
「そうだ。チェーン店だけど牛丼なら、奢ってあげられる。どう?」
私は思いっきり頭を振った。そんな図々しい誘いに乗る訳にはいかない。それにこんなに親切にしてくれるなんて、危ない人だったらどうしよう。悪いほうへ引きずられたらどうしよう。なんて不安もあった。
「良いから良いから。私達三百円ずつ、出し合って沙織ちゃんに奢ってあげる」
さらりと強引に言われてしまい、回避不可だった。
ここから程よい距離にある銀行前の、全国チェーン店の牛丼屋へ向かう。昼時だったので狭い店内は満席だった。しかし、皆、食べたらすぐに退席する。食べ終わったら、返却口で自分で食器を返す方式だ。背広を着たサラリーマンがほとんどだった。食券で牛丼の券を買う。私達三人はチーズ牛丼を選んだ。カウンター席に腰かけようとすると「向こうのテーブル席、空きましたよ」と、四十代過ぎらしき、女性店員が笑顔で誘導してくれた。そのテーブルをササッと布巾で拭き、どうぞ」と案内してくれた。食券を手渡すと店員は「かしこまりました」と、確認し、去って行った。
お茶やお冷は全てセルフサービスだ。アイリさんが立ち上がり、お水を取りに行こうとする。
「二人は待っててね」
「ありがとうございます」
私が頭を下げると、早織さんは店内をキョロキョロした。
「東京って、凄いね。平日でもこんなに混むんだ」
「そうですね。渋谷は別世界ですよね」
アイリさんが戻ってきて、お水をテキパキと前においてくれる。そうだ。肝心なことを言い忘れていた。
「そうだ。奢って下さって、本当にごめんなさい。何か申し訳ないです。ありがとうございます」
これでもか。と言うくらい頭を深々と下げた。
「いやいや、なーんも」
初めて、東北の訛りが出た早織さん。今までせいいっぱい、気を遣ってしゃべってくれていたのだろう。そう思うとこの二人は悪い人ではないと想像した。物凄い速さで、チーズがトッピングされた牛丼は提供された。味噌汁と香の物もついていた。目の前に置かれた牛丼をぱちくりと、一つ瞬きをして眺める。チーズが惜しげなく、煮込まれた牛肉の上にトッピングされていた。
「まぁ、いいや、食べよう」
アイリさんが促し、私達は頂きます。と、手を合わせた。早速箸をかき分けると、食欲をそそる牛肉の強い匂いが鼻の中に入った。牛丼を一口頬張る。チーズが伸びて更に美味しそうだ。外国産の牛肉だろうけれど、玉ねぎと一緒に煮込まれて、甘みと旨味が口の中で調和し、チーズの濃厚な味が一緒に口の中で広がる。牛肉の旨味成分がたっぷりと、白米に溶け込んでいる。これがまずい訳がなかった。
「あー、美味しい」
早織さんは、まるで初めて牛丼を食べたような口調だった。その顔は幸せそうで目がほころんでいた。テーブルの端にある紅ショウガを、トッピングしてみた。ちょっと辛みが増して、私の好みではなかったので、もうトッピングするのはやめた。
「私達、田舎に住んでるから、あんまりこういう店に来ないんだ」
アイリさんは言う。
「え、そうなんですか?」
少し驚いた。福島県と言うと失礼ながら地方の田舎というイメージがあるが、ここは全国チェーン店。どこにでもあると思っていた。私の家の近所にもあるくらいだ。
「そう。田舎だからねぇ。あるにはあるけど、うちからはちょっと遠いからなかなか行けないんだ」
早織さんが続くように説明してくれた。食べたことはあるにはあるけれど、車で運転しなければならない場所に有るから、滅多に行かないと言う。未知の世界に圧倒された。私が住んでいるところは都内でも、西側の地域。都内では田舎の部類に入るけれど、駅前が開発され、それなりに商業施設も整っていて電車も整備されている。そんな場所があることを知らなかった。
お二人は福島県内の国立大学、K大へ通っているそうで、今は二回生とのこと。とてもレベルの高い大学で、私もそこは知っている。国立大学なんてそれなりに学力がないと入れない。続けざまに私は驚いてばかりだ。
「沙織ちゃんは、どこの大学受けるの?」
早織さんがお味噌汁を啜りながら、問う。
「まだ決まってないんですよねぇ」
あはは。と、気まずそうな声で笑った。そろそろ決めないと。私が通っている高校は、一応、進学校ではある。四年制大学へ進む人が多い。母からも四年制大学へ行くように促されている。
「そっか、良いところ行けるといいね」
お二人は当たり障りのない言葉で締めくくる。三人とも女子なので、周りの男性よりは食べるスピードが遅い。店の外へ並んでる人のことを配慮し、食べ終わったら、席を開けるために退店することにした。
お喋りはまだ足りず、私達はまた更に近くの、セルフサービスのチェーン店カフェへ向かった。渋谷界隈では席が空いているカフェを探すのが、難しい。そんな中でも裏通りにあるところは穴場だった。開放感がある広い店内。大きな窓があり、観葉植物も置かれていた。テーブルもそれなりに大きい。まるでチェーン店とは思えなかった。激混みだったが、何とか座ることが出来た。私は一番安い、アイスティーをチョイス。レジで二百六十円を支払い、席へ着いた。お二人もドリンクはアイスティーを選んでいたが、やっぱり私よりはお金がある。ケーキも注文していて羨ましく感じた。しかし、ここはグッと我慢だ。ダイエットのこともある。食べないくらいでちょうどいい。三人席に腰かけ、先ほどと同じようにセルフのお冷を持って来た。
(私も大学生になったら、バイトしよう)
そんなことを考えながら、アイスティーにレモンリキッドを追加して、ストローで混ぜた。
「すみません。私なんかに合わせてもらっちゃって。本当は折角、東京に来たんだからお洒落なカフェへ行きたかったですよね?」
福島にもここの店はあるそうだから。しかし、二人はかぶりを振った。
「ううん。私達もカツカツだしさ。バイト代貯めて今日のために来たんだ。新幹線代のこともあるし、そんなに贅沢出来ないしさ。でも今度、東京に来る時は、沙織ちゃんに会いに来るね。その時はお洒落なカフェに案内してね」
「勿論です」
私が沙織さんの言葉に同意したところで、「でもさ」と、アイリさんが話題を変えた。
「東京のカフェってめっちゃ混んでるんだね。お洒落なカフェって入れるの?」
心配そうに眉を寄せた。そう。地方の方ならまずは驚くだろう。そのギャップには納得し、私は頷きつつも、質問に答える。
「大丈夫ですよ。予約出来るカフェもありますし。それに、渋谷や新宿、池袋とか、表参道と言った大都会を外せば入れるところもありますよ。お二人ともいきなり渋谷に来たから、ハードルがかなり高かったと思いますが」
「うん、めっちゃビックリしたよ。福島じゃこんなに平日に混んでることなんてないから」
早織さんが本当に驚異的な出来事だったと言うかのように、混雑した店内をぐるりと見入る。本を読んでいる人。遅めのランチでサンドイッチと珈琲だけを食べ終わったら、すぐに立ち去る人もいた。けれども入れ替わるようにすぐに人が席に着き、満席になる。
「カフェで予約なんて出来ちゃうんだ?」
そんなの初めて聞いたと、言いたげに、アイリさんが目を丸くする。「はい」と、私は首肯した。その辺は私より姉のほうが詳しいだろう。
すぐに深山ゆきさんの話題になった。これまでに発売になった商品について詳しく教えて頂いた。沢山あるので覚えきれない。
渋谷で開催された人気ファッションインフルエンサーの受注会兼イベントに参加した。お洒落な洋服と、素敵な小物に囲まれた華やかな空間。ファッショニスタの女性が沢山いて、その場所に酔うに酔っていた。大変混みあっていたけれど、満足した。まさか会場で遭遇した同じ『推し』仲間とこうして、ファーストフードやセリフ式カフェではあるけれど、愉快にコミュニケーションを取る。陰キャでコミュ障だった私が一変した一日だった。その空間にまだ私はいるのだ。
お二人は、大学近くのスーパーでアルバイトをしているらしい。二人とも自宅通学。お金を貯めては、深山ゆきさんのファッションに投資する。親御さんに怒られることもあるらしい。けれどもそのお洒落が楽しくて、仕方がないのだという。
「私はダイエットしなきゃぁ。といいつつ、今、ケーキなんか食べちゃった」
女子にありがなセリフを吐く。
その後も他愛ないトークは続いた。ファッションの話から大学ってこういうところまで。という会話まで。
「あー、痩せなきゃ。ゆきさんの服がマジで入らなくなっちゃう」
アイリさんが嘆いた。逆に早織さんはもう少し太らなきゃダメだと言う。もう少しゆとりをもって着られる服が欲しいアイリさん。細身の服が欲しい早織さん。お二人の意見を聞いて私は思った。
(よし! 皆が着たい服を作れるデザイナーになろう!)
強く心の中で決心した。
更に人が増え、人数制限が始まったので、早めに来た私達は退散することにした。エレベーターは大変混雑しているとのこと。仕方なく、階段を使った。外へ出ると、柔らかな春らしい光は真ん中にあり、正午を示していることが分かった。そう言えばお腹ペコペコだ。空腹を我慢して、電車に乗って帰ってからその辺で何か買って食べようかと思っていたら「一緒にご飯食べない?」と、お二人に誘われてしまった。
「あの、私あんまりお金持ってきてなくて」
数か月くらい少しずつ、貯めたお小遣いだ。それに知らない人と今日初めて会い、まさか昼食まで一緒に摂るなど全く予期しない出来事だった。初めて会った人と食事を摂るのは、気兼ねもあった。その一方でコミュ障の私がこんな風に、同年代の女性と話すのは久しぶりだった。ついつい楽しくてその流れに乗ってしまった。ただ、これ以上お二人には迷惑かけられない。
「私達もないよ。バイトして貯めたお金で来たんだ」
アイリさんが言う。早織さんが横で同調する。
「そうだ。チェーン店だけど牛丼なら、奢ってあげられる。どう?」
私は思いっきり頭を振った。そんな図々しい誘いに乗る訳にはいかない。それにこんなに親切にしてくれるなんて、危ない人だったらどうしよう。悪いほうへ引きずられたらどうしよう。なんて不安もあった。
「良いから良いから。私達三百円ずつ、出し合って沙織ちゃんに奢ってあげる」
さらりと強引に言われてしまい、回避不可だった。
ここから程よい距離にある銀行前の、全国チェーン店の牛丼屋へ向かう。昼時だったので狭い店内は満席だった。しかし、皆、食べたらすぐに退席する。食べ終わったら、返却口で自分で食器を返す方式だ。背広を着たサラリーマンがほとんどだった。食券で牛丼の券を買う。私達三人はチーズ牛丼を選んだ。カウンター席に腰かけようとすると「向こうのテーブル席、空きましたよ」と、四十代過ぎらしき、女性店員が笑顔で誘導してくれた。そのテーブルをササッと布巾で拭き、どうぞ」と案内してくれた。食券を手渡すと店員は「かしこまりました」と、確認し、去って行った。
お茶やお冷は全てセルフサービスだ。アイリさんが立ち上がり、お水を取りに行こうとする。
「二人は待っててね」
「ありがとうございます」
私が頭を下げると、早織さんは店内をキョロキョロした。
「東京って、凄いね。平日でもこんなに混むんだ」
「そうですね。渋谷は別世界ですよね」
アイリさんが戻ってきて、お水をテキパキと前においてくれる。そうだ。肝心なことを言い忘れていた。
「そうだ。奢って下さって、本当にごめんなさい。何か申し訳ないです。ありがとうございます」
これでもか。と言うくらい頭を深々と下げた。
「いやいや、なーんも」
初めて、東北の訛りが出た早織さん。今までせいいっぱい、気を遣ってしゃべってくれていたのだろう。そう思うとこの二人は悪い人ではないと想像した。物凄い速さで、チーズがトッピングされた牛丼は提供された。味噌汁と香の物もついていた。目の前に置かれた牛丼をぱちくりと、一つ瞬きをして眺める。チーズが惜しげなく、煮込まれた牛肉の上にトッピングされていた。
「まぁ、いいや、食べよう」
アイリさんが促し、私達は頂きます。と、手を合わせた。早速箸をかき分けると、食欲をそそる牛肉の強い匂いが鼻の中に入った。牛丼を一口頬張る。チーズが伸びて更に美味しそうだ。外国産の牛肉だろうけれど、玉ねぎと一緒に煮込まれて、甘みと旨味が口の中で調和し、チーズの濃厚な味が一緒に口の中で広がる。牛肉の旨味成分がたっぷりと、白米に溶け込んでいる。これがまずい訳がなかった。
「あー、美味しい」
早織さんは、まるで初めて牛丼を食べたような口調だった。その顔は幸せそうで目がほころんでいた。テーブルの端にある紅ショウガを、トッピングしてみた。ちょっと辛みが増して、私の好みではなかったので、もうトッピングするのはやめた。
「私達、田舎に住んでるから、あんまりこういう店に来ないんだ」
アイリさんは言う。
「え、そうなんですか?」
少し驚いた。福島県と言うと失礼ながら地方の田舎というイメージがあるが、ここは全国チェーン店。どこにでもあると思っていた。私の家の近所にもあるくらいだ。
「そう。田舎だからねぇ。あるにはあるけど、うちからはちょっと遠いからなかなか行けないんだ」
早織さんが続くように説明してくれた。食べたことはあるにはあるけれど、車で運転しなければならない場所に有るから、滅多に行かないと言う。未知の世界に圧倒された。私が住んでいるところは都内でも、西側の地域。都内では田舎の部類に入るけれど、駅前が開発され、それなりに商業施設も整っていて電車も整備されている。そんな場所があることを知らなかった。
お二人は福島県内の国立大学、K大へ通っているそうで、今は二回生とのこと。とてもレベルの高い大学で、私もそこは知っている。国立大学なんてそれなりに学力がないと入れない。続けざまに私は驚いてばかりだ。
「沙織ちゃんは、どこの大学受けるの?」
早織さんがお味噌汁を啜りながら、問う。
「まだ決まってないんですよねぇ」
あはは。と、気まずそうな声で笑った。そろそろ決めないと。私が通っている高校は、一応、進学校ではある。四年制大学へ進む人が多い。母からも四年制大学へ行くように促されている。
「そっか、良いところ行けるといいね」
お二人は当たり障りのない言葉で締めくくる。三人とも女子なので、周りの男性よりは食べるスピードが遅い。店の外へ並んでる人のことを配慮し、食べ終わったら、席を開けるために退店することにした。
お喋りはまだ足りず、私達はまた更に近くの、セルフサービスのチェーン店カフェへ向かった。渋谷界隈では席が空いているカフェを探すのが、難しい。そんな中でも裏通りにあるところは穴場だった。開放感がある広い店内。大きな窓があり、観葉植物も置かれていた。テーブルもそれなりに大きい。まるでチェーン店とは思えなかった。激混みだったが、何とか座ることが出来た。私は一番安い、アイスティーをチョイス。レジで二百六十円を支払い、席へ着いた。お二人もドリンクはアイスティーを選んでいたが、やっぱり私よりはお金がある。ケーキも注文していて羨ましく感じた。しかし、ここはグッと我慢だ。ダイエットのこともある。食べないくらいでちょうどいい。三人席に腰かけ、先ほどと同じようにセルフのお冷を持って来た。
(私も大学生になったら、バイトしよう)
そんなことを考えながら、アイスティーにレモンリキッドを追加して、ストローで混ぜた。
「すみません。私なんかに合わせてもらっちゃって。本当は折角、東京に来たんだからお洒落なカフェへ行きたかったですよね?」
福島にもここの店はあるそうだから。しかし、二人はかぶりを振った。
「ううん。私達もカツカツだしさ。バイト代貯めて今日のために来たんだ。新幹線代のこともあるし、そんなに贅沢出来ないしさ。でも今度、東京に来る時は、沙織ちゃんに会いに来るね。その時はお洒落なカフェに案内してね」
「勿論です」
私が沙織さんの言葉に同意したところで、「でもさ」と、アイリさんが話題を変えた。
「東京のカフェってめっちゃ混んでるんだね。お洒落なカフェって入れるの?」
心配そうに眉を寄せた。そう。地方の方ならまずは驚くだろう。そのギャップには納得し、私は頷きつつも、質問に答える。
「大丈夫ですよ。予約出来るカフェもありますし。それに、渋谷や新宿、池袋とか、表参道と言った大都会を外せば入れるところもありますよ。お二人ともいきなり渋谷に来たから、ハードルがかなり高かったと思いますが」
「うん、めっちゃビックリしたよ。福島じゃこんなに平日に混んでることなんてないから」
早織さんが本当に驚異的な出来事だったと言うかのように、混雑した店内をぐるりと見入る。本を読んでいる人。遅めのランチでサンドイッチと珈琲だけを食べ終わったら、すぐに立ち去る人もいた。けれども入れ替わるようにすぐに人が席に着き、満席になる。
「カフェで予約なんて出来ちゃうんだ?」
そんなの初めて聞いたと、言いたげに、アイリさんが目を丸くする。「はい」と、私は首肯した。その辺は私より姉のほうが詳しいだろう。
すぐに深山ゆきさんの話題になった。これまでに発売になった商品について詳しく教えて頂いた。沢山あるので覚えきれない。
渋谷で開催された人気ファッションインフルエンサーの受注会兼イベントに参加した。お洒落な洋服と、素敵な小物に囲まれた華やかな空間。ファッショニスタの女性が沢山いて、その場所に酔うに酔っていた。大変混みあっていたけれど、満足した。まさか会場で遭遇した同じ『推し』仲間とこうして、ファーストフードやセリフ式カフェではあるけれど、愉快にコミュニケーションを取る。陰キャでコミュ障だった私が一変した一日だった。その空間にまだ私はいるのだ。
お二人は、大学近くのスーパーでアルバイトをしているらしい。二人とも自宅通学。お金を貯めては、深山ゆきさんのファッションに投資する。親御さんに怒られることもあるらしい。けれどもそのお洒落が楽しくて、仕方がないのだという。
「私はダイエットしなきゃぁ。といいつつ、今、ケーキなんか食べちゃった」
女子にありがなセリフを吐く。
その後も他愛ないトークは続いた。ファッションの話から大学ってこういうところまで。という会話まで。
「あー、痩せなきゃ。ゆきさんの服がマジで入らなくなっちゃう」
アイリさんが嘆いた。逆に早織さんはもう少し太らなきゃダメだと言う。もう少しゆとりをもって着られる服が欲しいアイリさん。細身の服が欲しい早織さん。お二人の意見を聞いて私は思った。
(よし! 皆が着たい服を作れるデザイナーになろう!)
強く心の中で決心した。
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