上海ハニー

フランク太宰

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成田空港

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 Oはやって来た。 
彼は痩形で背が高く、肌荒れが酷かったけれども、男前な顔立ちをしていた。いささか生え際が後退していたけれど、それを除けば見た目から彼の問題を読み取ることができなかった。
 「いや、自分は海外旅行が初めてで、羽田と成田の違いがよく分からなくて」
と彼はグループ長に言った。
正直で嘘をつかなかったのは、回りの学生を納得させることはできなかったが、グループ長は声色を変えて怒ることもなく、滑稽な安心した演技のような態度をOにとっていた。
 グループ長に話をしたあと、
Oは話し相手を失ってしまった、そして恐る恐ると言った感じで私に声をかけてきた。
 Oは私の名前に君をつけ
 「いや、申し訳ない早めに家は出たんだよ、でもこんなことになった。それにあんな大金カードで切ったのは初めてだよ」
「まぁ、君が成田と羽田を間違えた第一人者なわけじゃないよ、時間に間に合ったのだし、気にすることはない」
 何故、この時Oが私に声をかけてきたのかは最初わからなかった、Oの話では私たちは同じ授業で席が隣になり、第三者をとうして話したことがあるということだった。
そう言われれば、確かにそんなことがあったかも知れないと、思ったが、あまりに些細な出来事だった。
 Oは私以外に話しかけなかった、それは私も同じだったのだが、自然な流れで、私はOにKを紹介した。
OはKにも私に話したようなことを言った。
そして「心配したよ~事故か病気なんじゃないかってね」
今思い出すと、Kという人は私とか何人かを除けば形式的な会話をすることができる人だった。

 グループ長が全体に声をかけた
 「参加者も無事に揃いました、今から出発ゲートに向かいます」
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