Happy Birthday Mr Moon

フランク太宰

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Happy Birthday Mr Moon

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 俺の特徴と言えば、鋭く冷ややかな目だ、女どもはこの目で見つめられれば一ころ、有り難いことに顔全体も悪くないいし、背も183ある。ある意味では女どもは小動物だ、ときには男も。
で、俺は虎だ、弱気ものは強き者にしたがうのが地球の習わしだ。
誰にも文句は言わせない。
 今日は俺の誕生日、ハッピーな奴等が祝ってくれることだろう。
朝、郵便ポストを覗くとピンク色の便箋が入っており、中の手紙には
"今日、10時○○町○○マンション427号室に来てください"と書いあった。○○町といえば俺の近所じゃないか、さてはS子だな。
  俺は迷わず正直に、誕生日会を一時抜け出し、指定の場所へ向かった。
 マンションの部屋の鍵は空いており、そっと中に入りS子を驚かせようとしたが、誰も見当たらなかった、サプライズで俺を驚かせようとしているのだと思ったんだが。
部屋には何もなかった、テレビも冷蔵庫も姿見も植物性油も、まさかこの為だけに借りたのか?だとしたら、とてつもなくリッチだ、はて、S子はどこかのご令嬢だったかしら?
 しかし、リビングの中心に大きめの段ボールの箱が一つおいてあった、まさかのクレオパトラさま方式かと疑ったが箱からは何も音がしなかった、俺は箱に近づき一通り見渡した、箱は少し膨張ぎみだった、それに赤い、普通の段ボール箱ではないようだった。何はともあれ開ければ俺を喜ばしてくれるはずだ、もしかしたら開けた瞬間にS子が便所から出てきて、素っ裸で俺に後ろから抱きつき驚かそうとしてるのかもしれない。
 俺は箱を開けた、脳内のお気楽物質がそうさせたのだ。
その瞬間、箱の中から何か飛び出し、俺の首に巻き付いた。おいおい蛇のオモチャとは古風すぎゃしないか、それに何か赤いペンキがお気に入りのジャケットに飛び付いた、こりゃクリーニングどうこうじゃないな。とりあえず俺は首に巻き付いた蛇のオモチャを剥がそうとした。
 よく見ると、それは蛇のオモチャでもSMで使う鞭でもなかった、手だ、人間の手だ、それも冷たく血がかよっていない手、そして手首には俺がS子にやったブレスレットがついていた、しかし、肩から先には何もついていない、箱の中に見えるのは赤黒い肉の塊。
  その時、ドガッと乱暴に部屋のドアが空いた。トレンチコートを着た刑事が手帳を俺に見せつけてきた、
そして「観念しろよ、逃げるんじゃないぜ、お前は袋の鼠だ」
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