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第一章・1stGame~3rdGame
様々な秘密。そして、第四ステージへ
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今、俺は少しピンチに陥っている。
何がピンチって言うと………足が痛い。
………俺は今正座をさせられているのだ。
もちろんただの正座なら俺は慣れている。だが。
下にはギザギザとした石の台が置かれており、上には重い石がどんどんの積み上げられている。
…………昔の拷問法の一つだ。説教や尋問の時によく使われていた………これほど痛いとは想像していなかった。
そして………なぜそうなっているのかと言うと。
時は数分前、あの大男を倒したあとの話の時だった。
俺は魔法が元から使えたということがバレてしまい……なぜ使わなかったのかと問われた。
すると俺はこう答えた。
「使うとマーリンの意味がなくなるし、強すぎるからゲームを楽しめないかなーって」
そう言ったら怒られた。
そして今に至る。
「なぁ………それって僕からしたら舐められてるってことなんだけどさぁ………それは気のせいだよね?」
クウガが怒ったように言った。
しかしクウガそれは違うぞ。
それは気のせいではない。
「舐めてたよ!うん!」
ドヤ顔でそう言ってしまった。
自分で自分を苦しめることになるのに………。
クウガはおもしの量を増やしてきた。地味に痛い。
というか何でこんなものがここにあるんだ………?
「因果応報だねー、それは仕方ないよー」
呆れるようにリューネが言った。
しかし俺は納得せず、反論した。
「いやいやいや!使わなくて済むんなら使わなくていいだろ!なんでそれで怒られんの!?」
「それがゲームを、このデスゲームを舐めてるってことに繋がんだよ。バーカ。ぶわぁぁぁぁぁあかぁぁぁあ!」
クウガが煽るように、かつ馬鹿にするように──実際馬鹿にしているが──言った。
イラァ………
流石にクウガにイラつく。どうしよう。これどけてぶん殴っていいかな?
しかしクウガはそんな俺の思いも知らない。だから、言葉を続けた。
「使った方が優位に立てるなら、使った方が良かっただろう。現に、あの男の時は使った。」
「別にあれは使わなくてもよかったけど、そうすっと捕えられずにずっと暴れ回ってたろ!だから使ったんだよ!」
しかも、今まで使わずに優位に立ててたし!
「黒魔一族なら、相手を一瞬で滅殺することなんて余裕らしいからねぇ………それ使われてりゃ、コボルトロードの時苦戦しなかったのに。てか負けかけてたじゃんあれ。」
ぐっ………コボルトロード戦の時は頭に血が上って………って違うぞ。
「バカはお前だったな………コボルトロードは完全魔法耐性持ちだ。一撃で倒すのは魔法では不可能だ。」
90%も軽減されるんじゃ、どんだけ威力が強かろうがダメージは少ない。剣じゃないと倒せない。
「いや、お前だよ。剣に魔法纏えば、すぐに終わったのに。」
は?いやいやいやいや。
何を言うのやら……。
「変わんねぇだろ、魔法なんだから。」
「いや、変わるね。魔法を剣に纏った時点で、それは魔法の判定がなくなるんだ。」
そんなのおかしい。魔法を纏っているんだから、魔法は魔法のままだ。理論的にはこっちのが正しい。
「ゲームの設定がそうなってるらしいよ。」
「そんなの知るはずねぇだろ!知らないのに出来るわけねぇし!」
設定上どうなっていても、俺には知る由もない。と言うより、それ知ってたら最初からしてるよ。
「えー、僕でも知ってるのに?」
「俺でも知ってるぞ」
ナードとクウガが、そんなことも知らないの?っと言いたげにこちらを見てきた。
お前ら運営側だっただろうが。
「わ、わかったわかった。じゃあこれからはたまに魔法使って戦うから!それでいいだろ!」
と言うより、隠してて何が悪いんだろう。別によかった気が………。
その時、不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「そうですよ。まったくクウガ君は余計なことばかりする。後で罰として牛乳触手風呂に入ってもらいますね。」
この声は………って何そのいかがわしい風呂。その罰見てみたい。入りたくはないけど。
「時計うさぎ、次のゲーム内容か?」
俺は声の主にそう問うた。
時計うさぎは、崖のような、縦穴の上にいた。
「ええ。次のゲーム次第で、終わりますよ。しかし、次のゲームはそう簡単には終わりませんがね。」
「早く次のゲーム内容言ってくれよ。」
俺が急かすと、時計うさぎは首を横に振った。
「その前に、あなた方には今からこの穴を抜けてもらいます。ロッククライミングでもいいですし、魔法で浮かんでもいいですよ。」
つまりここを早めに出ろということか?
じゃあ、と俺は上に乗っていた石を無理矢理どかし──どかそうと思えばいつでもできた──その場に立った。
すると、クウガに頭を押さえつけられた。
「おい………誰が立っていいって言ったよ……」
「………俺が言った」
「却下、座れ。」
いやいやいや。進まなきゃいけないのに……
あまりにも理不尽である。
「お前、牛乳触手風呂に入れるぞ…………」
断固拒否しようとすると、クウガがそう言った。
え、てことは
「クウガと一緒に入るの?やだなぁ…………」
俺は、おもむろに嫌そうな顔をして言った。
「は?僕入らないよ?なんで僕はいることになってんの?」
あれ?こいつもしかして……
俺はクウガに、先ほど時計うさぎが言っていたことを伝えた。
「時計うさぎが入れるって言ってたぞ………」
しかしこれ………惚けようとしてないか?
「え?なんて?なんも聞こえなかったぞ?」
こいつ………!やっぱり!
「とーけーいーうーさーぎーがーいーれーるーってー!言ってたぞー!」
俺はクウガの耳元で叫んだ。
「うるっせぇ!時計うさぎが入るって言ってようが僕には関係が」
「お前を入れるって言ってたの!」
「僕にナニを入れる気だ!変態か!」
「お前!惚けんのもいい加減にしろよ!お前を牛乳触手風呂に入れるって言ってんの!時計うさぎが!」
まぁ、クウガは少し女の子に近い顔立ちをしているので、ナニを入れてもいいのだが。
いや、良くないか。
「えぇーーー?僕を何に入れてナニを入れるってー?」
こいつ………!
俺は呟き、というより囁きのように一言言った。
「お前の耳は節穴か。この変態ロリコンめ。」
「誰が変態ロリコンだボケぇ!僕は普通にJKとかの方が好きじゃぁぁあ!」
「はい変態認めたぁぁあ!変態は認めたぞこいつ!というか聞こえてんじゃねぇか俺ボソって言ったのに!」
「ああぁぁぁあ!?謀ったなお前えぇぇぇぇえ!」
「うるせぇよ喚くなこのBL小説では受けタイプめ!」
可愛らしい顔立ちしやがって!お前女じゃねぇのか!?
ってなんも貶せてねぇこれ!
「誰がBL本に出てくる受けタイプの男だってぇ!?男なんかと一緒にすんなぁ!」
ちなみにクウガの声は普通より少し高い程度。後で聞いたらなんか俺のが高いって言われた………泣くぞ。
ん?と言うか………
「なんで男って部分追加して言ったの?男なんかとって言ったの?男って言われるのい……や……な…の……………えぇ!?」
待て待て待て。男って言われるのが嫌ってのはつまり………。
「お前女だったの!?」
そう言えば、コロッセウムでも、俺たちと風呂の時間ずらして入っていたな。
それは、女だからか………
クウガは視線をずらしてもじもじしている。
男の格好で。
気持ち悪いわ!
「そうですよ、今まで知らなかったので?」
時計うさぎが笑いながら言った。
というかお前まだいたの?
「俺は一応知ってはいたが………言うべきだったか?」
「いや、ナード、言う必要なかったぞ。どうせバレてる。」
「もういいでしょ!僕の話なんて!次進むよ!早く!」
そんな話をしていたらクウガに怒られてしまった。
赤面してるぞ、照れすぎだろ。大丈夫か?
とは言ったものの。
「登らなきゃって言っても、どうやって?」
俺とマーリンは浮遊魔法があるから行けるが………それもつまらんしなー、俺走ってこかな。
「さぁ?みんなに聞いてみたら?」
クウガは他人事のように言った。
すると、今まで黙っていたガランが口を開いた。
「攀じ登るしかないな。それ以外方法がない。忍者みたいに歩けるやつなんていないだろうしな。」
いやぁ、残念、うちのクレナイさんは忍者みたいに歩けるんですよ………。つか走ってく。
「オーケー。じゃ、クレナイ、俺らは走ってこうぜ。先行ってるな、みんな。」
現実的に不可能だが、このゲームで身体能力が上がった俺達には可能だ。
さっきの男との戦いの時も、この穴を走って登りながら攻撃していた。
「先に登った方の勝ちな。行くぜ?」
俺はクレナイとクラウチングスタートの体勢になり。
「よーい…………どんっ!」
一気に走り抜けた。ほぼ同時に走り始めたが、着くのはどちらになるのやら。
「………あいつら人間かよ……」
「まぁ………両方スピードタイプだから………」
したでは、簡単の声がいくつも上がる。
仕方が無い、壁を走るなんて忍者みたいな超人でしかできないことだ。
マーリンは浮遊魔法で飛んでいた。しかし俺たちよりは到着が遅そうだ。
俺は足に少し魔力を移した。
すると、ぐんと、さっきより早くなった。
そして、先に上に着いたのは──俺だった。
「よっしゃ!勝った!」
「負けた………次は負かす……絶殺」
「怖ぇよ!?」
何その新しい言葉!絶殺って!
「超怖………ってか………」
俺はふと、下を除いた。
俺は……いや、俺達は、走ってきたが、流石にみんなは石掴んで登ってを繰り返している。
「おっせぇなぁ…………ロッククライミングかぁ………」
仕方ないことではあるが、しかし時間が長引くのもあまり宜しくない。
…………よし。
「縄持ってるか?」
俺はクレナイにそう聞いた。しかし、俺が指示をするまでもなく。
「あとは縄の先を落とすだけ。」
準備は既にしていたようだ。
地面にクナイのようなものを突き刺し固定、そしてロープがクナイに付いている。
つまり、これを落としたら下にいるやつは上がりやすくなるということだ。
「みんなこれ掴んで上がってこーい!早めに上がらないと落とすぞー」
ちょいと脅しを入れてみる。
そりゃ本気ではないけどね。
「うぉぉぉおりゃぁぁぁぁぁ!」
しかし、みんなはその言葉を聞いて早く登ってくる。
みんなの頬には汗が浮かんでいた。
そして、引き攣った顔が浮かんでいた。
「…………はぁ……はぁ……もう………全員登れたか……?」
ガランが息を切らしながら聞いた。
「一応俺の知る限り全員だな………さて…」
俺はあたりを見渡した。
「……………ここ……………どこだ…………?」
そこは────森の近くだった。
暗い森が見える。
森を見ていると、後ろに開いていた穴が塞がった。
「…………逃げられないよってことかな……」
クウガが言った。
その言葉によって、中には決意が生まれた者がいた。
絶対に………このゲームに勝つ、と。
中には泣き崩れた者もいたが、それでも戦うと決意はしていた。
「さて、感傷に浸っているところ悪いのですが………」
時計うさぎがまだいたらしく、話の続きを切り出した。
「このゲームのルールについて、追加がございます。まず、第四ステージの説明をします。」
うさぎはそう言うと、なにか紙を取り出した。それを俺に渡すと、すっと、後ろに下がった。
その紙は………地図だった。
「それは、第四ステージのステージ地図でございます。この一帯を含め、戦闘区域、安全区域、拠点区域が表示されます。」
「………ってことは、この地図はほかの人たちのいるところも映してるのか?」
「いえ、分布までは映っておりません。あるのは地形のみです。」
なるほど………。しかし地図を渡されてどうしろと?
と思っていると、時計うさぎが説明を続けた。
「そして、ここにいる皆様が一つのチームとなります。そのチームのことを、『クラン』と申します。クラン名はお好きに決めてください。また、クランリーダーもお好きに決めていただいて構いません。」
クラン……要はギルドみたいなものか。
「メンバーの入れ替えは出来ません。脱退、加入、勧誘等も認められません。そして……そのクランで……」
時計うさぎはいつものように、不気味な笑みを向けた。
「──殺し合いをしてもらいます。」
「「「なっ………!?」」」
「正確には、戦略戦ですね。サバイバルゲームをご存知でしょうか?」
時計うさぎは急に、こちらに問いかけてきた。
「──あぁ。エアガンを使用し、撃ち合いをして楽しむリアルFPSだな。」
「では、サバイバルゲームの勝利のルールとして、三つほどあるのは?」
「……確か、殲滅戦、フラッグ戦、大将戦……」
「その通り!よくご存知ですね!」
俺は時計うさぎに褒められたが、嬉しくはなかった。
そんな俺の気持ちも構わずに、時計うさぎは話を続けた。
「では、各々のルールについては?」
「殲滅戦は相手を全滅させたら終わり。そしてフラッグ戦はフラッグを取れば終わり。最後に大将戦は大将が負けた時点で終わり。」
「本当によくご存知で。大将戦については、名前が違う場合もありますがね。そしてこの第四ステージのルールは………」
なんだ?サバゲーのルールが関係してるのか?
「全てを採用しております。フラッグを取る、もしくはクランリーダーを殺す、そして………」
時計うさぎは一息置いて話した。
「──敵を全滅する……でございます。」
………なるほど、それが殺し合い、という訳か。
しかしそのルールだと………
「フラッグをとった場合、負けたチームはどうなるんだ?」
「いい質問です。その場合、負けたクランメンバーの人権、生命権等は勝利クランに譲渡されます。」
………それはつまり。
「敗北クランは勝利クランの奴隷になるってことか?」
「………大まかに言うとそうなります。」
つまり……このゲーム。
人が死ななくても進むらしい…………。
「そして、この第四ステージが………」
まだあるのか?
俺達は時計うさぎの言葉を待った。
「──終わり次第ラストステージへ進みます。」
「──なっ……!?」
ということは、このステージを進めば、あとはラスボスだけ………!?
「しかし、そのためには他のクランを全て敗北させる必要があります。」
「……つまり全勝しなければ進めない、均衡状態が続くと終わらないってこと?」
抑えきれなかったのか、クレナイが聞いた。
説明だけ聞くとそうなるが………
「ええ、そうですよ。」
「……くっ………」
クレナイが悔しそうにしている。
よく見れば、みんなの顔とどこか絶望に満ちたような………。
その顔には驚愕も含まれているのかもしれない。
まぁしかし、俺は流石にそれは予想していた。そう簡単に終わるわけがない。
「………さすが、ハーデス様は驚かれませんね。」
「……まぁ、予想はしてたからな。一応俺も参加者として理解とかもしとかないとだしな。」
俺は柄にもないことを言った。
参加者だからと言って、いつもだったらルールを聞かずに進める。
大体やってれば身につくようなゲームが多いからだ。
経験、というものは大抵重視される。
「そうですか………では、ルールの説明は以上となります。なにかご質問は?」
時計うさぎに聞かれたが、質問をする者はいなかった。
そしてそのまま………時計うさぎは闇に消えた。
「………なぁ、どうする?やはり決めておいた方がいいのではないか?」
「そだね、一応作戦立てれる人がなった方がいいかなって思うよ、私は。」
何の話かと言うと、クランリーダーを決めるか決めないかの話だ。
と言っても、確実に決めなければ、時計うさぎにランダムで決められるため、不利になる可能性もある。
それを考えると、自分たちで決めることは得策だとは思う。
「でもさ、このメンバーの中にいると思う?ほとんど脳筋じゃん」
クウガは皮肉なのか、バカにしたかのように言った。
だがな………クウガ。
「ブーメランを盛大に飛ばしたが、大丈夫か?」
その発言、お前も入ってるからな?
「うぐっ………そんなことぐらい、僕だってわかってるよ。でも実際そうでしょ?この中に作戦考えれるやつ、いるの?」
それは俺も思った。みんな、作戦考えるの向いてなさそう。
まだ、クレナイはいけるか………
「そうだね。私も無理だよ。基本、言われたことを聞く程度にしかできない。」
しまった、クレナイも無理かぁ………!
ん?と言うより、作戦を考えることさえできたらいいんだよな?
「………これ、サバゲーって言うより………戦略ゲー?」
勿論、サバゲーにおいても戦略は大事である。
だが、戦略ゲー、とひとまとめにしたのには理由がある。
………俺自身が、サバゲー経験は少ないが、戦略ゲーはだいぶやったからだ。
多少の作戦ぐらいは立てられる。
「ん?戦略ゲーだと何かあるの?」
「いや……戦略ゲーなら俺は結構やったことあるからさ……ゲーマー舐めちゃいけねぇぜ?」
ゲームは小さい頃からやりっぱだ!ちなみに、全ジャンルしてきた。
「………何戦何勝何敗何分け?」
「え?んー、多分、500戦498勝2分けだったかな?」
「………無敗?」
「確か。」
それがどうかしたのか?
「………ハーデス以外いないじゃん、リーダー。」
「…………え!?」
いやいやいやいや!無理!俺にそんな荷が重いことなんて……
「そう言えば、ハーデスって意外と統率力あるよね。私達に指示したり、先頭を引っ張っていくというか………」
「そ、それは………たまたまだよ!俺そんな力ないし………!」
「それわかる!あ、それに、強いからすぐやられないしね!」
「そ、最後の砦になるでしょ?」
そ、そうなのか?いやいやいや。
「俺はそんな上に立つものじゃないよ。指示を出すのと命令するのとではまた違うし……」
俺は昔からリーダーに向いていなかった。そう思っている。
精々作戦参謀辺りだ。
「でも、適任がいない以上、ハーデスにやってもらうしかないよ。それとも僕がやろうか?めちゃくちゃな指示になるよ?」
それは勘弁………
「………ねぇ、ハーデス。どうしても……いや?」
クウガはこちらに身を捩よじらせてくると、上目遣いでこちらを見てきた。その姿はなんとも可愛いものだった。
「……わ、わかった………やるよ……」
俺は半分、クウガの可愛さにやられた感じがして悔しかった。
「………しっかし、森がだいぶ続いてんなぁ………」
俺達は森の方を見て言った。
そして俺は、重大なことに気づいた。
「あっ………今思えば、俺達………」
それは、死を覚悟しなければならないようなことだった。
「──寝泊まりする場所ないじゃん………地べたも危ないし………」
近くに建物らしきものも見当たらなかった。
「え………じゃあ、造らなきゃいけないってこと………?」
「……そういうことになるな。」
俺達のクランは62名ほどの人数だ。その人数が住むのに必要な部屋の数は約65部屋。
その部屋数の館を造ろうとすると、木材が数1000本はいる。それに、ダイニングやリビング、浴場などは大きめの部屋がいい上に、ただの家ではいけない。
ちゃんと拠点になるよう、作戦会議室などの部屋も必要になる。そうすると、部屋数は70~75は必要になる。
木材が10000本あったらギリギリ足りるか?分かりづらい。
つまり。今から館を造るには………相当な時間がいる。
「まじかよ。それじゃ野宿?」
「お風呂どうするの!?」
「料理をする場所もありませんし……」
「会議とかを人に聞かれる危険性もあるな。」
みんな、数々の不満をぶちまけてくる。
俺に言うな、俺も泣きそうだ。
早速リーダーをやめようと思ってしまった俺だった。
「とりあえず!近くに川もあったし、火も簡単に焚けるから、風呂は安心してくれ!あと、寝るときは俺かクレナイ、ナードのうち誰かは見張りにつく!交代制でいいか?あと、料理はちょっと粗末になるし栄養偏りそうだが、ベイクラビットの肉とかで我慢してくれ!場所は空いてるところを自由に使ってもらって構わない!作戦は川のそばで、誰も近くにいない時に会議をする!みんないいな!?」
みんなはその指示をちゃんと守ってくれた。
ちなみに、ドラム缶のようなものも近くに沢山落ちていた。
これはしばらくドラム缶風呂決定だな。
そしてなぜか、風呂焚きで、クウガの時に俺が風呂を焚くことになった。なぜか。なぜだ?
とりあえず、第四ステージの1日目の夜は、こうして、賑やかな終わりを告げた。
そしてそれは…………地獄の始まりとなった。
ちなみに、クウガは胸が小さく、肌も綺麗だった。
その後めちゃくちゃ殴られた。
可愛いのになぁ………勿体ない。ちなみに一番はマーリン、二番目にクウガだぞ!何の順位かは秘密。
何がピンチって言うと………足が痛い。
………俺は今正座をさせられているのだ。
もちろんただの正座なら俺は慣れている。だが。
下にはギザギザとした石の台が置かれており、上には重い石がどんどんの積み上げられている。
…………昔の拷問法の一つだ。説教や尋問の時によく使われていた………これほど痛いとは想像していなかった。
そして………なぜそうなっているのかと言うと。
時は数分前、あの大男を倒したあとの話の時だった。
俺は魔法が元から使えたということがバレてしまい……なぜ使わなかったのかと問われた。
すると俺はこう答えた。
「使うとマーリンの意味がなくなるし、強すぎるからゲームを楽しめないかなーって」
そう言ったら怒られた。
そして今に至る。
「なぁ………それって僕からしたら舐められてるってことなんだけどさぁ………それは気のせいだよね?」
クウガが怒ったように言った。
しかしクウガそれは違うぞ。
それは気のせいではない。
「舐めてたよ!うん!」
ドヤ顔でそう言ってしまった。
自分で自分を苦しめることになるのに………。
クウガはおもしの量を増やしてきた。地味に痛い。
というか何でこんなものがここにあるんだ………?
「因果応報だねー、それは仕方ないよー」
呆れるようにリューネが言った。
しかし俺は納得せず、反論した。
「いやいやいや!使わなくて済むんなら使わなくていいだろ!なんでそれで怒られんの!?」
「それがゲームを、このデスゲームを舐めてるってことに繋がんだよ。バーカ。ぶわぁぁぁぁぁあかぁぁぁあ!」
クウガが煽るように、かつ馬鹿にするように──実際馬鹿にしているが──言った。
イラァ………
流石にクウガにイラつく。どうしよう。これどけてぶん殴っていいかな?
しかしクウガはそんな俺の思いも知らない。だから、言葉を続けた。
「使った方が優位に立てるなら、使った方が良かっただろう。現に、あの男の時は使った。」
「別にあれは使わなくてもよかったけど、そうすっと捕えられずにずっと暴れ回ってたろ!だから使ったんだよ!」
しかも、今まで使わずに優位に立ててたし!
「黒魔一族なら、相手を一瞬で滅殺することなんて余裕らしいからねぇ………それ使われてりゃ、コボルトロードの時苦戦しなかったのに。てか負けかけてたじゃんあれ。」
ぐっ………コボルトロード戦の時は頭に血が上って………って違うぞ。
「バカはお前だったな………コボルトロードは完全魔法耐性持ちだ。一撃で倒すのは魔法では不可能だ。」
90%も軽減されるんじゃ、どんだけ威力が強かろうがダメージは少ない。剣じゃないと倒せない。
「いや、お前だよ。剣に魔法纏えば、すぐに終わったのに。」
は?いやいやいやいや。
何を言うのやら……。
「変わんねぇだろ、魔法なんだから。」
「いや、変わるね。魔法を剣に纏った時点で、それは魔法の判定がなくなるんだ。」
そんなのおかしい。魔法を纏っているんだから、魔法は魔法のままだ。理論的にはこっちのが正しい。
「ゲームの設定がそうなってるらしいよ。」
「そんなの知るはずねぇだろ!知らないのに出来るわけねぇし!」
設定上どうなっていても、俺には知る由もない。と言うより、それ知ってたら最初からしてるよ。
「えー、僕でも知ってるのに?」
「俺でも知ってるぞ」
ナードとクウガが、そんなことも知らないの?っと言いたげにこちらを見てきた。
お前ら運営側だっただろうが。
「わ、わかったわかった。じゃあこれからはたまに魔法使って戦うから!それでいいだろ!」
と言うより、隠してて何が悪いんだろう。別によかった気が………。
その時、不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「そうですよ。まったくクウガ君は余計なことばかりする。後で罰として牛乳触手風呂に入ってもらいますね。」
この声は………って何そのいかがわしい風呂。その罰見てみたい。入りたくはないけど。
「時計うさぎ、次のゲーム内容か?」
俺は声の主にそう問うた。
時計うさぎは、崖のような、縦穴の上にいた。
「ええ。次のゲーム次第で、終わりますよ。しかし、次のゲームはそう簡単には終わりませんがね。」
「早く次のゲーム内容言ってくれよ。」
俺が急かすと、時計うさぎは首を横に振った。
「その前に、あなた方には今からこの穴を抜けてもらいます。ロッククライミングでもいいですし、魔法で浮かんでもいいですよ。」
つまりここを早めに出ろということか?
じゃあ、と俺は上に乗っていた石を無理矢理どかし──どかそうと思えばいつでもできた──その場に立った。
すると、クウガに頭を押さえつけられた。
「おい………誰が立っていいって言ったよ……」
「………俺が言った」
「却下、座れ。」
いやいやいや。進まなきゃいけないのに……
あまりにも理不尽である。
「お前、牛乳触手風呂に入れるぞ…………」
断固拒否しようとすると、クウガがそう言った。
え、てことは
「クウガと一緒に入るの?やだなぁ…………」
俺は、おもむろに嫌そうな顔をして言った。
「は?僕入らないよ?なんで僕はいることになってんの?」
あれ?こいつもしかして……
俺はクウガに、先ほど時計うさぎが言っていたことを伝えた。
「時計うさぎが入れるって言ってたぞ………」
しかしこれ………惚けようとしてないか?
「え?なんて?なんも聞こえなかったぞ?」
こいつ………!やっぱり!
「とーけーいーうーさーぎーがーいーれーるーってー!言ってたぞー!」
俺はクウガの耳元で叫んだ。
「うるっせぇ!時計うさぎが入るって言ってようが僕には関係が」
「お前を入れるって言ってたの!」
「僕にナニを入れる気だ!変態か!」
「お前!惚けんのもいい加減にしろよ!お前を牛乳触手風呂に入れるって言ってんの!時計うさぎが!」
まぁ、クウガは少し女の子に近い顔立ちをしているので、ナニを入れてもいいのだが。
いや、良くないか。
「えぇーーー?僕を何に入れてナニを入れるってー?」
こいつ………!
俺は呟き、というより囁きのように一言言った。
「お前の耳は節穴か。この変態ロリコンめ。」
「誰が変態ロリコンだボケぇ!僕は普通にJKとかの方が好きじゃぁぁあ!」
「はい変態認めたぁぁあ!変態は認めたぞこいつ!というか聞こえてんじゃねぇか俺ボソって言ったのに!」
「ああぁぁぁあ!?謀ったなお前えぇぇぇぇえ!」
「うるせぇよ喚くなこのBL小説では受けタイプめ!」
可愛らしい顔立ちしやがって!お前女じゃねぇのか!?
ってなんも貶せてねぇこれ!
「誰がBL本に出てくる受けタイプの男だってぇ!?男なんかと一緒にすんなぁ!」
ちなみにクウガの声は普通より少し高い程度。後で聞いたらなんか俺のが高いって言われた………泣くぞ。
ん?と言うか………
「なんで男って部分追加して言ったの?男なんかとって言ったの?男って言われるのい……や……な…の……………えぇ!?」
待て待て待て。男って言われるのが嫌ってのはつまり………。
「お前女だったの!?」
そう言えば、コロッセウムでも、俺たちと風呂の時間ずらして入っていたな。
それは、女だからか………
クウガは視線をずらしてもじもじしている。
男の格好で。
気持ち悪いわ!
「そうですよ、今まで知らなかったので?」
時計うさぎが笑いながら言った。
というかお前まだいたの?
「俺は一応知ってはいたが………言うべきだったか?」
「いや、ナード、言う必要なかったぞ。どうせバレてる。」
「もういいでしょ!僕の話なんて!次進むよ!早く!」
そんな話をしていたらクウガに怒られてしまった。
赤面してるぞ、照れすぎだろ。大丈夫か?
とは言ったものの。
「登らなきゃって言っても、どうやって?」
俺とマーリンは浮遊魔法があるから行けるが………それもつまらんしなー、俺走ってこかな。
「さぁ?みんなに聞いてみたら?」
クウガは他人事のように言った。
すると、今まで黙っていたガランが口を開いた。
「攀じ登るしかないな。それ以外方法がない。忍者みたいに歩けるやつなんていないだろうしな。」
いやぁ、残念、うちのクレナイさんは忍者みたいに歩けるんですよ………。つか走ってく。
「オーケー。じゃ、クレナイ、俺らは走ってこうぜ。先行ってるな、みんな。」
現実的に不可能だが、このゲームで身体能力が上がった俺達には可能だ。
さっきの男との戦いの時も、この穴を走って登りながら攻撃していた。
「先に登った方の勝ちな。行くぜ?」
俺はクレナイとクラウチングスタートの体勢になり。
「よーい…………どんっ!」
一気に走り抜けた。ほぼ同時に走り始めたが、着くのはどちらになるのやら。
「………あいつら人間かよ……」
「まぁ………両方スピードタイプだから………」
したでは、簡単の声がいくつも上がる。
仕方が無い、壁を走るなんて忍者みたいな超人でしかできないことだ。
マーリンは浮遊魔法で飛んでいた。しかし俺たちよりは到着が遅そうだ。
俺は足に少し魔力を移した。
すると、ぐんと、さっきより早くなった。
そして、先に上に着いたのは──俺だった。
「よっしゃ!勝った!」
「負けた………次は負かす……絶殺」
「怖ぇよ!?」
何その新しい言葉!絶殺って!
「超怖………ってか………」
俺はふと、下を除いた。
俺は……いや、俺達は、走ってきたが、流石にみんなは石掴んで登ってを繰り返している。
「おっせぇなぁ…………ロッククライミングかぁ………」
仕方ないことではあるが、しかし時間が長引くのもあまり宜しくない。
…………よし。
「縄持ってるか?」
俺はクレナイにそう聞いた。しかし、俺が指示をするまでもなく。
「あとは縄の先を落とすだけ。」
準備は既にしていたようだ。
地面にクナイのようなものを突き刺し固定、そしてロープがクナイに付いている。
つまり、これを落としたら下にいるやつは上がりやすくなるということだ。
「みんなこれ掴んで上がってこーい!早めに上がらないと落とすぞー」
ちょいと脅しを入れてみる。
そりゃ本気ではないけどね。
「うぉぉぉおりゃぁぁぁぁぁ!」
しかし、みんなはその言葉を聞いて早く登ってくる。
みんなの頬には汗が浮かんでいた。
そして、引き攣った顔が浮かんでいた。
「…………はぁ……はぁ……もう………全員登れたか……?」
ガランが息を切らしながら聞いた。
「一応俺の知る限り全員だな………さて…」
俺はあたりを見渡した。
「……………ここ……………どこだ…………?」
そこは────森の近くだった。
暗い森が見える。
森を見ていると、後ろに開いていた穴が塞がった。
「…………逃げられないよってことかな……」
クウガが言った。
その言葉によって、中には決意が生まれた者がいた。
絶対に………このゲームに勝つ、と。
中には泣き崩れた者もいたが、それでも戦うと決意はしていた。
「さて、感傷に浸っているところ悪いのですが………」
時計うさぎがまだいたらしく、話の続きを切り出した。
「このゲームのルールについて、追加がございます。まず、第四ステージの説明をします。」
うさぎはそう言うと、なにか紙を取り出した。それを俺に渡すと、すっと、後ろに下がった。
その紙は………地図だった。
「それは、第四ステージのステージ地図でございます。この一帯を含め、戦闘区域、安全区域、拠点区域が表示されます。」
「………ってことは、この地図はほかの人たちのいるところも映してるのか?」
「いえ、分布までは映っておりません。あるのは地形のみです。」
なるほど………。しかし地図を渡されてどうしろと?
と思っていると、時計うさぎが説明を続けた。
「そして、ここにいる皆様が一つのチームとなります。そのチームのことを、『クラン』と申します。クラン名はお好きに決めてください。また、クランリーダーもお好きに決めていただいて構いません。」
クラン……要はギルドみたいなものか。
「メンバーの入れ替えは出来ません。脱退、加入、勧誘等も認められません。そして……そのクランで……」
時計うさぎはいつものように、不気味な笑みを向けた。
「──殺し合いをしてもらいます。」
「「「なっ………!?」」」
「正確には、戦略戦ですね。サバイバルゲームをご存知でしょうか?」
時計うさぎは急に、こちらに問いかけてきた。
「──あぁ。エアガンを使用し、撃ち合いをして楽しむリアルFPSだな。」
「では、サバイバルゲームの勝利のルールとして、三つほどあるのは?」
「……確か、殲滅戦、フラッグ戦、大将戦……」
「その通り!よくご存知ですね!」
俺は時計うさぎに褒められたが、嬉しくはなかった。
そんな俺の気持ちも構わずに、時計うさぎは話を続けた。
「では、各々のルールについては?」
「殲滅戦は相手を全滅させたら終わり。そしてフラッグ戦はフラッグを取れば終わり。最後に大将戦は大将が負けた時点で終わり。」
「本当によくご存知で。大将戦については、名前が違う場合もありますがね。そしてこの第四ステージのルールは………」
なんだ?サバゲーのルールが関係してるのか?
「全てを採用しております。フラッグを取る、もしくはクランリーダーを殺す、そして………」
時計うさぎは一息置いて話した。
「──敵を全滅する……でございます。」
………なるほど、それが殺し合い、という訳か。
しかしそのルールだと………
「フラッグをとった場合、負けたチームはどうなるんだ?」
「いい質問です。その場合、負けたクランメンバーの人権、生命権等は勝利クランに譲渡されます。」
………それはつまり。
「敗北クランは勝利クランの奴隷になるってことか?」
「………大まかに言うとそうなります。」
つまり……このゲーム。
人が死ななくても進むらしい…………。
「そして、この第四ステージが………」
まだあるのか?
俺達は時計うさぎの言葉を待った。
「──終わり次第ラストステージへ進みます。」
「──なっ……!?」
ということは、このステージを進めば、あとはラスボスだけ………!?
「しかし、そのためには他のクランを全て敗北させる必要があります。」
「……つまり全勝しなければ進めない、均衡状態が続くと終わらないってこと?」
抑えきれなかったのか、クレナイが聞いた。
説明だけ聞くとそうなるが………
「ええ、そうですよ。」
「……くっ………」
クレナイが悔しそうにしている。
よく見れば、みんなの顔とどこか絶望に満ちたような………。
その顔には驚愕も含まれているのかもしれない。
まぁしかし、俺は流石にそれは予想していた。そう簡単に終わるわけがない。
「………さすが、ハーデス様は驚かれませんね。」
「……まぁ、予想はしてたからな。一応俺も参加者として理解とかもしとかないとだしな。」
俺は柄にもないことを言った。
参加者だからと言って、いつもだったらルールを聞かずに進める。
大体やってれば身につくようなゲームが多いからだ。
経験、というものは大抵重視される。
「そうですか………では、ルールの説明は以上となります。なにかご質問は?」
時計うさぎに聞かれたが、質問をする者はいなかった。
そしてそのまま………時計うさぎは闇に消えた。
「………なぁ、どうする?やはり決めておいた方がいいのではないか?」
「そだね、一応作戦立てれる人がなった方がいいかなって思うよ、私は。」
何の話かと言うと、クランリーダーを決めるか決めないかの話だ。
と言っても、確実に決めなければ、時計うさぎにランダムで決められるため、不利になる可能性もある。
それを考えると、自分たちで決めることは得策だとは思う。
「でもさ、このメンバーの中にいると思う?ほとんど脳筋じゃん」
クウガは皮肉なのか、バカにしたかのように言った。
だがな………クウガ。
「ブーメランを盛大に飛ばしたが、大丈夫か?」
その発言、お前も入ってるからな?
「うぐっ………そんなことぐらい、僕だってわかってるよ。でも実際そうでしょ?この中に作戦考えれるやつ、いるの?」
それは俺も思った。みんな、作戦考えるの向いてなさそう。
まだ、クレナイはいけるか………
「そうだね。私も無理だよ。基本、言われたことを聞く程度にしかできない。」
しまった、クレナイも無理かぁ………!
ん?と言うより、作戦を考えることさえできたらいいんだよな?
「………これ、サバゲーって言うより………戦略ゲー?」
勿論、サバゲーにおいても戦略は大事である。
だが、戦略ゲー、とひとまとめにしたのには理由がある。
………俺自身が、サバゲー経験は少ないが、戦略ゲーはだいぶやったからだ。
多少の作戦ぐらいは立てられる。
「ん?戦略ゲーだと何かあるの?」
「いや……戦略ゲーなら俺は結構やったことあるからさ……ゲーマー舐めちゃいけねぇぜ?」
ゲームは小さい頃からやりっぱだ!ちなみに、全ジャンルしてきた。
「………何戦何勝何敗何分け?」
「え?んー、多分、500戦498勝2分けだったかな?」
「………無敗?」
「確か。」
それがどうかしたのか?
「………ハーデス以外いないじゃん、リーダー。」
「…………え!?」
いやいやいやいや!無理!俺にそんな荷が重いことなんて……
「そう言えば、ハーデスって意外と統率力あるよね。私達に指示したり、先頭を引っ張っていくというか………」
「そ、それは………たまたまだよ!俺そんな力ないし………!」
「それわかる!あ、それに、強いからすぐやられないしね!」
「そ、最後の砦になるでしょ?」
そ、そうなのか?いやいやいや。
「俺はそんな上に立つものじゃないよ。指示を出すのと命令するのとではまた違うし……」
俺は昔からリーダーに向いていなかった。そう思っている。
精々作戦参謀辺りだ。
「でも、適任がいない以上、ハーデスにやってもらうしかないよ。それとも僕がやろうか?めちゃくちゃな指示になるよ?」
それは勘弁………
「………ねぇ、ハーデス。どうしても……いや?」
クウガはこちらに身を捩よじらせてくると、上目遣いでこちらを見てきた。その姿はなんとも可愛いものだった。
「……わ、わかった………やるよ……」
俺は半分、クウガの可愛さにやられた感じがして悔しかった。
「………しっかし、森がだいぶ続いてんなぁ………」
俺達は森の方を見て言った。
そして俺は、重大なことに気づいた。
「あっ………今思えば、俺達………」
それは、死を覚悟しなければならないようなことだった。
「──寝泊まりする場所ないじゃん………地べたも危ないし………」
近くに建物らしきものも見当たらなかった。
「え………じゃあ、造らなきゃいけないってこと………?」
「……そういうことになるな。」
俺達のクランは62名ほどの人数だ。その人数が住むのに必要な部屋の数は約65部屋。
その部屋数の館を造ろうとすると、木材が数1000本はいる。それに、ダイニングやリビング、浴場などは大きめの部屋がいい上に、ただの家ではいけない。
ちゃんと拠点になるよう、作戦会議室などの部屋も必要になる。そうすると、部屋数は70~75は必要になる。
木材が10000本あったらギリギリ足りるか?分かりづらい。
つまり。今から館を造るには………相当な時間がいる。
「まじかよ。それじゃ野宿?」
「お風呂どうするの!?」
「料理をする場所もありませんし……」
「会議とかを人に聞かれる危険性もあるな。」
みんな、数々の不満をぶちまけてくる。
俺に言うな、俺も泣きそうだ。
早速リーダーをやめようと思ってしまった俺だった。
「とりあえず!近くに川もあったし、火も簡単に焚けるから、風呂は安心してくれ!あと、寝るときは俺かクレナイ、ナードのうち誰かは見張りにつく!交代制でいいか?あと、料理はちょっと粗末になるし栄養偏りそうだが、ベイクラビットの肉とかで我慢してくれ!場所は空いてるところを自由に使ってもらって構わない!作戦は川のそばで、誰も近くにいない時に会議をする!みんないいな!?」
みんなはその指示をちゃんと守ってくれた。
ちなみに、ドラム缶のようなものも近くに沢山落ちていた。
これはしばらくドラム缶風呂決定だな。
そしてなぜか、風呂焚きで、クウガの時に俺が風呂を焚くことになった。なぜか。なぜだ?
とりあえず、第四ステージの1日目の夜は、こうして、賑やかな終わりを告げた。
そしてそれは…………地獄の始まりとなった。
ちなみに、クウガは胸が小さく、肌も綺麗だった。
その後めちゃくちゃ殴られた。
可愛いのになぁ………勿体ない。ちなみに一番はマーリン、二番目にクウガだぞ!何の順位かは秘密。
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