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第三十四話 その二段論法が成り立つ理由(オレスティア視点)
しおりを挟む イオリが思った以上に機織りという仕事に造詣があると知ったグラバーは熱心に工場見学をさせてくれた。
初期の機織り機が見たい。
イオリの願いを叶える為に機織り達の小屋を出て、敷地の奥に向かう事になった。
案内された広場では年老いたエルフの男女が若い職人に手解きをしているところだった。
「カロス、ダイダ、お邪魔しますよ。」
気兼ねなく入っていくグラバーに2人の老エルフは何事かと顔を上げた。
「こちらのイオリ様は、ハニエル様とフェンバイン様もお認めになられた、大切なお客様です。
是非、イオリ様に初期の織り機を見せて頂きたいのです。」
2人は人族のイオリの周りにエルフのナギと獣人のラックとコーラルが纏わりついているのを見て、微笑んだ。
「イオリ様、こちらは長年、職人を勤め上げられた御2人です。
今は、若い職人を育てる事に尽力してくださっているんですよ。」
突然やってきた人族の若者にも2人は挨拶をすると手招きしてくれた。
「皆が騒いでた人族だね。
若い人。
機織りに興味があるのかい?」
グラバーを引き連れて近くの小屋に入っていったダイダを見送るとカロスは嬉しそうにイオリに椅子をすすめた。
「子供の頃、祖母が使っていました。」
「おや、それじゃ祖師様と故郷が同じなのかい?」
「祖師様?」
カロスは楽しそうに頷いた。
「機織り機をルーシュピケにもたらした、かつての恩人の事さ。」
「もしかして、その方は十蔵という名ではないですか?」
「ふむ・・・。
確かに、そんな名の響きだった気がするが・・・よく考えれば、ずっと祖師様としか呼んだ事がなかったな。
そうだ、獣人のとこに医者がいるんだが、その夫が詳しいぞ。」
「キキ医師の旦那さんのグリーズさん?」
確かに、歴史学者とキキ医師が言っていたのをイオリは思い出した。
「そう、その男だ。
学者というらしい。
もし、直接の話を聞きたければハニエルの爺様だな。
あの人はワシらよりも500年は年寄りだからね。
歴史の生き字引だよ。」
国の成り立ちから知っているハニエル老が十蔵を直接知っている可能性があると聞いて、イオリは胸を高鳴らせた。
「お前さんも祖師様の事を知っていなさるのか?」
カロスの問いかけにイオリは、どう答えればいいのか迷った。
「俺、アースガイルから来たんですよ。
十蔵さんはアースガイルを建国した初代アースガイル王であるマテオ様の親友なんです。
それで、折に触れて聞く名前なんですよ。」
「ほう、なんと なんとな。
それは初めて聞いたな。
学者の男が喜びそうな話だ。」
「カカカっ」と笑うカロスの後ろからダイダが戻ってきた。
「人の子。
これが、初期の織り機だよ。
祖師様が己の手で作られた希少な物だから、大切に扱っておくれ。」
ダイダが差し出すソレは、イオリが知っている機織り機よりも小さく抱えられる程しかない。
しかし、それ以上に重く感じるのは時を重ねてきた先人の置き土産だったからかもしれない。
初期の機織り機が見たい。
イオリの願いを叶える為に機織り達の小屋を出て、敷地の奥に向かう事になった。
案内された広場では年老いたエルフの男女が若い職人に手解きをしているところだった。
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気兼ねなく入っていくグラバーに2人の老エルフは何事かと顔を上げた。
「こちらのイオリ様は、ハニエル様とフェンバイン様もお認めになられた、大切なお客様です。
是非、イオリ様に初期の織り機を見せて頂きたいのです。」
2人は人族のイオリの周りにエルフのナギと獣人のラックとコーラルが纏わりついているのを見て、微笑んだ。
「イオリ様、こちらは長年、職人を勤め上げられた御2人です。
今は、若い職人を育てる事に尽力してくださっているんですよ。」
突然やってきた人族の若者にも2人は挨拶をすると手招きしてくれた。
「皆が騒いでた人族だね。
若い人。
機織りに興味があるのかい?」
グラバーを引き連れて近くの小屋に入っていったダイダを見送るとカロスは嬉しそうにイオリに椅子をすすめた。
「子供の頃、祖母が使っていました。」
「おや、それじゃ祖師様と故郷が同じなのかい?」
「祖師様?」
カロスは楽しそうに頷いた。
「機織り機をルーシュピケにもたらした、かつての恩人の事さ。」
「もしかして、その方は十蔵という名ではないですか?」
「ふむ・・・。
確かに、そんな名の響きだった気がするが・・・よく考えれば、ずっと祖師様としか呼んだ事がなかったな。
そうだ、獣人のとこに医者がいるんだが、その夫が詳しいぞ。」
「キキ医師の旦那さんのグリーズさん?」
確かに、歴史学者とキキ医師が言っていたのをイオリは思い出した。
「そう、その男だ。
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もし、直接の話を聞きたければハニエルの爺様だな。
あの人はワシらよりも500年は年寄りだからね。
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ダイダが差し出すソレは、イオリが知っている機織り機よりも小さく抱えられる程しかない。
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