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第19話:今日は久しぶりにスライム退治じゃないぞ、何を頼まれたんすか
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
しかし、今日の俺は意気揚々としているぞ。
意気込んで、相棒に報告する。
「おい、今日は久しぶりにスライム退治じゃないぞ」
「何を頼まれたんすか」
「冒険者ギルドで『怒れた森の獣人』の逮捕を依頼されたんだ。どうだ、相手は怒れた森のモンスターだ。ワクワクしてきたぞ。つまり、ついに俺の実力を冒険者ギルドは認めたってわけだな」
「はあ、で、その『怒れた森の獣人』は何をしでかしたんすか」
「畑で大根を盗んだそうだ」
「何すか、それ。全然、怖くなさそうなモンスターじゃないすか。せいぜい、ゴブリン程度じゃないすかね」
「いや、『怒れた森』という場所に住んでいるのだから狂暴なモンスターに違いない。そして、そのモンスターを倒した後、俺たちは大冒険をするのだ。最後はドラゴンを倒し、魔王を倒し、美しいお姫様と仲良くなるんだ」
「また妄想してるんすか。いい加減現実を見てほしいっすね。畑の大根泥棒退治から大冒険、そしてドラゴンやら魔王やらお姫様につながるとは思えないっすよ」
「うるさいぞ。とにかく出発だ」
「うぃっす」
さて、俺たちは冒険者ギルドから教えてもらった森に到着した。
「のどかな森じゃないすか。何の鳴き声も聞こえてこない。熊や狼すら出現する気配がないすよ。イノシシもいないんじゃないすか。だいたい、この森には名前もついてないみたいっすよ。どこから『怒れた森』なんて名前が出てきたんすか」
「冒険者ギルドでそう言われたんだ。それに何も聞こえてこないというのが怪しいぞ。動物たちは警戒しているのだ。狂暴なモンスターがいる証拠だ」
「単に動物がいないだけじゃないすか。虫はしっかり鳴いてますよ」
「とにかく、革命的警戒心を持って行動するぞ」
「はいはい、わかりましたっすよ、はぁ~」
あくびをする相棒。
「おい、真面目にやれよ」
「つーかですね、こんな村のすぐ近くに狂暴なモンスターは出現しませんよ。もし現れたとしても、もっと優秀な冒険者に退治の依頼をしまっすよ。リーダーのようなスライム退治専門の出腹のおっさんに頼みませんって」
「さっき言っただろ。俺の隠れた実力をギルドは見抜いたのだ。後、出腹は関係ないだろって何度言わせるんだ」
「何の実力もないじゃないすか。だいたい、逮捕ってなんすか。退治じゃなくて捕まえろってことっすよね」
そう言えば、そうだ。
うーむ、ちょっとおかしいな。
「いや、珍しいモンスターだから捕まえろってことじゃないのか」
「なんかおかしいっすね。冒険者ギルドもリーダーの実力を考えて、無害なモンスターでも捕まえてこいって感じですかね。あんまりスライム退治ばっかりやらせてたんで同情したんすかねえ」
「まだ同情されるほど落ちぶれてないぞ」
「崖っぷちって感じすけど。それに貧乏。同情するなら金をくれって状況すね」
「うるさいぞ」
さて、俺と相棒は森の中へと入って行く。
相手は狂暴なモンスターだ。
俺は最新の注意を払いながら、剣の柄を握る。
お、何か動いたぞ。
それに臭いぞ。
「おい、何だか変な臭いがしてきた」
「確かに異臭がしますね」
すると何やらボロボロの固まりが動いている。
こいつが、『怒れた森の獣人』か。
「覚悟しろ! モンスターめ!」
俺は剣を構える。
しかし、相棒に止められた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっすよ」
「何だよ、かっこよくモンスターを成敗しようとしたのに」
「つーか、逮捕でしょ」
すると、その固まりが悲鳴を上げる。
「ひい、殺さないで」
よく見たら、人間だった。
白髪頭の老人だ。
もう髪の毛は伸ばし放大で、汚いボロボロの格好をしている。
どうやら、単なる浮浪者らしい。
こいつが大根を盗んだのか。
話を聞こうとするが、要領を得ない。
頭がおかしいのかなあ。
「くそ、モンスターはどこに行った」
「いや、この人のことじゃないすか」
「どういうことだよ」
「だから、『怒れた森の獣人』じゃなくて『いかれた、森の住人』を捕まえてこいって依頼じゃないすか。要するに大根泥棒を捕まえてこいって言われただけっすよ」
「何だと、久々に張り切ったのに。そんなダジャレみたいな依頼はなんなんだ」
「まあ、出腹の冴えないリーダーには、結局、こんな仕事しか来ないんじゃないすか」
「うるさいぞ」
やれやれ。
俺たちは浮浪者を連行することにした。
そして、この浮浪者は元冒険者ってことをギルドから知らされた。
俺はショックを受ける。
「おいおい、俺たちもいずれはあんな風になってしまうんじゃないのか」
「その可能性はありますね」
ああ、このままだとやばいぞ。
「おい、俺たちも頭がおかしくなって、森の中に住んで、いつかは浮浪者になって畑から大根を盗むことにはなりはしないか。やはり、一発大逆転を狙うしかないぞ」
「やめたほうがいいんじゃないすか」
「大根を盗んで森の中で暮らせって言うのか」
「まあ、みじめですけどねえ。でも、無理するとさらに悲惨なことになりそうっすねえ、リーダーは。地道にスライム退治していくほうがいいと思いますよ」
「いや、このままでは終わらせないぞ! 何とか成功してやる!」
そう大声を出す俺。
しかし、何とかしないとなあ、けど、何の方法も無いなあと悩む俺であった。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
しかし、今日の俺は意気揚々としているぞ。
意気込んで、相棒に報告する。
「おい、今日は久しぶりにスライム退治じゃないぞ」
「何を頼まれたんすか」
「冒険者ギルドで『怒れた森の獣人』の逮捕を依頼されたんだ。どうだ、相手は怒れた森のモンスターだ。ワクワクしてきたぞ。つまり、ついに俺の実力を冒険者ギルドは認めたってわけだな」
「はあ、で、その『怒れた森の獣人』は何をしでかしたんすか」
「畑で大根を盗んだそうだ」
「何すか、それ。全然、怖くなさそうなモンスターじゃないすか。せいぜい、ゴブリン程度じゃないすかね」
「いや、『怒れた森』という場所に住んでいるのだから狂暴なモンスターに違いない。そして、そのモンスターを倒した後、俺たちは大冒険をするのだ。最後はドラゴンを倒し、魔王を倒し、美しいお姫様と仲良くなるんだ」
「また妄想してるんすか。いい加減現実を見てほしいっすね。畑の大根泥棒退治から大冒険、そしてドラゴンやら魔王やらお姫様につながるとは思えないっすよ」
「うるさいぞ。とにかく出発だ」
「うぃっす」
さて、俺たちは冒険者ギルドから教えてもらった森に到着した。
「のどかな森じゃないすか。何の鳴き声も聞こえてこない。熊や狼すら出現する気配がないすよ。イノシシもいないんじゃないすか。だいたい、この森には名前もついてないみたいっすよ。どこから『怒れた森』なんて名前が出てきたんすか」
「冒険者ギルドでそう言われたんだ。それに何も聞こえてこないというのが怪しいぞ。動物たちは警戒しているのだ。狂暴なモンスターがいる証拠だ」
「単に動物がいないだけじゃないすか。虫はしっかり鳴いてますよ」
「とにかく、革命的警戒心を持って行動するぞ」
「はいはい、わかりましたっすよ、はぁ~」
あくびをする相棒。
「おい、真面目にやれよ」
「つーかですね、こんな村のすぐ近くに狂暴なモンスターは出現しませんよ。もし現れたとしても、もっと優秀な冒険者に退治の依頼をしまっすよ。リーダーのようなスライム退治専門の出腹のおっさんに頼みませんって」
「さっき言っただろ。俺の隠れた実力をギルドは見抜いたのだ。後、出腹は関係ないだろって何度言わせるんだ」
「何の実力もないじゃないすか。だいたい、逮捕ってなんすか。退治じゃなくて捕まえろってことっすよね」
そう言えば、そうだ。
うーむ、ちょっとおかしいな。
「いや、珍しいモンスターだから捕まえろってことじゃないのか」
「なんかおかしいっすね。冒険者ギルドもリーダーの実力を考えて、無害なモンスターでも捕まえてこいって感じですかね。あんまりスライム退治ばっかりやらせてたんで同情したんすかねえ」
「まだ同情されるほど落ちぶれてないぞ」
「崖っぷちって感じすけど。それに貧乏。同情するなら金をくれって状況すね」
「うるさいぞ」
さて、俺と相棒は森の中へと入って行く。
相手は狂暴なモンスターだ。
俺は最新の注意を払いながら、剣の柄を握る。
お、何か動いたぞ。
それに臭いぞ。
「おい、何だか変な臭いがしてきた」
「確かに異臭がしますね」
すると何やらボロボロの固まりが動いている。
こいつが、『怒れた森の獣人』か。
「覚悟しろ! モンスターめ!」
俺は剣を構える。
しかし、相棒に止められた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっすよ」
「何だよ、かっこよくモンスターを成敗しようとしたのに」
「つーか、逮捕でしょ」
すると、その固まりが悲鳴を上げる。
「ひい、殺さないで」
よく見たら、人間だった。
白髪頭の老人だ。
もう髪の毛は伸ばし放大で、汚いボロボロの格好をしている。
どうやら、単なる浮浪者らしい。
こいつが大根を盗んだのか。
話を聞こうとするが、要領を得ない。
頭がおかしいのかなあ。
「くそ、モンスターはどこに行った」
「いや、この人のことじゃないすか」
「どういうことだよ」
「だから、『怒れた森の獣人』じゃなくて『いかれた、森の住人』を捕まえてこいって依頼じゃないすか。要するに大根泥棒を捕まえてこいって言われただけっすよ」
「何だと、久々に張り切ったのに。そんなダジャレみたいな依頼はなんなんだ」
「まあ、出腹の冴えないリーダーには、結局、こんな仕事しか来ないんじゃないすか」
「うるさいぞ」
やれやれ。
俺たちは浮浪者を連行することにした。
そして、この浮浪者は元冒険者ってことをギルドから知らされた。
俺はショックを受ける。
「おいおい、俺たちもいずれはあんな風になってしまうんじゃないのか」
「その可能性はありますね」
ああ、このままだとやばいぞ。
「おい、俺たちも頭がおかしくなって、森の中に住んで、いつかは浮浪者になって畑から大根を盗むことにはなりはしないか。やはり、一発大逆転を狙うしかないぞ」
「やめたほうがいいんじゃないすか」
「大根を盗んで森の中で暮らせって言うのか」
「まあ、みじめですけどねえ。でも、無理するとさらに悲惨なことになりそうっすねえ、リーダーは。地道にスライム退治していくほうがいいと思いますよ」
「いや、このままでは終わらせないぞ! 何とか成功してやる!」
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