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第3話:洞窟で迷ったなあ、迷ったすね
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「迷ったなあ」
「迷ったすね」
今日も、冴えない冒険者二人組の俺と相棒が冒険者ギルドに依頼されたのは、スライム退治。
もっといい仕事がほしいが、背に腹は代えられない。
村のすぐ近くの小さい丘の洞窟に入った。
長々とした暗い道を携帯ランプで照らしながら歩く。
ごくたまに出る最弱スライムを退治。
「何かつまらないなあ」
「しょうがないっすよ、これも仕事っすよ」
「狂暴なモンスターが現れて、そいつを倒して一躍有名になりたいぞ、俺は」
「リーダーは、その狂暴なモンスターに勝てる自信があるんすか」
「まあ、モンスターによるなあ。最近、スライムばっかり相手にしてるから剣の腕も鈍ってるし」
「じゃあ、おとなしくスライム退治をするしかないっすね」
相手は俺たち同様、しょぼくれたスライムばかりだ。
やる気なく洞窟の中を歩く。
そして、気が付いたら道に迷っていた。
「おかしいなあ」
「おかしいっすねえ」
俺たちはしょぼいパーティーではあるが、腐っても冒険者だ。
途中で、何か所か分かれ道があった。
三つに分かれていたり、四つに分かれている場所もあったが、全て一番右の道を選んだ。
俺たちはこれを『右の道選択作戦』と呼んでいる。
この方法だと迷うことはないはずだったのだが。
「何だか同じ場所を歩いているような気がしてきたぞ」
俺は携帯ランプで洞窟内を照らす。
どうも先ほど見たような岩があったりした。
「同じ道をグルグルと回っているんじゃないすか」
「いや、例の『右の道選択作戦』ならそんなことにはならないはずだ。この作戦は迷路の途中からだと役に立たないが、俺たちは入口から始めていたのだからな」
相棒がしばし考える。
「確か、一番最初の分かれ道は三つだったじゃないすか。そこで間違えたんじゃないすか。真ん中の道を通りましたっすよ」
「いや、確かにあの時は真ん中の道を通った。なぜなら、右の道は小さくて通れなかったからだ」
そして、俺は相棒に言った。
「まさか、この洞窟は悪の魔法使いが魔法で冒険者を迷わすようにしているんじゃないか」
「なんで、そんなことするんすか」
「多分、莫大な宝物が隠してある部屋があるんだ。だから魔法でそこにたどり着けないようにしてあるんだ。そして、その部屋には亡国の美少女姫が囚われているのだ」
「何、わけのわからない妄想してんすか。こんなスライムがたまにしか出ない洞窟で、何で魔法使いが財宝を隠すんすか。おまけに何で亡国の姫がいるんすか。しかも、この洞窟はド田舎の村のすぐ近くっすよ」
「灯台下暗しって言葉があるぞ」
「本当すか。って、こんなことしてたら歩き疲れたあげく飢え死にっすよ。リーダー、自分が人生に迷っているからって、俺っちまで巻き添えにしないでくださいよ」
「お前、そんな冗談言ってる場合かって」
しかし、人生に迷っているってのは事実だな。
こんなスライム退治ばかりやっていていいのだろうか。
もう、おっさんなのに。
冒険者をやめて、農業でも始めるか。
おっと、そんなことを考えている場合ではない。
それにしてもおかしい。
例の『右の道選択作戦』以外にも迷わないようにしておいた。
分かれ道の直前に大きい石を置いておく。
戻る時は俺たちが置いた大きい石をたどればすんなりと出口にたどり着けるはずだった。
しかし、その置いた石が全部見当たらない。
「うーん、魔法使いはともかく、やはり何らかの意図を持った奴が俺たちを迷わせたのかなあ」
「しかし、俺っちらしょぼいパーティーを迷わせても、何の得も無いっすよ」
「しょぼいは余計だろ」
実際、しょぼいけどな。
しかし、こんなしょぼい洞窟で飢え死になんて情けない。
どうにか脱出しないと。
俺は相棒に指示した。
「とりあえず、『右の道選択作戦』はそのまま続行。但し、分かれ道が来たら通る道の壁にお前のナイフで数字の番号の印をつけろ。『1』、『2』、『3』と順番に刻むんだ」
「うぃっす」
そして、また俺たちは洞窟を歩く。
ああ、疲れてきた。
洞窟で迷い、人生で迷う。
かなり疲労がたまってきたなあ。
おっさんだからか。
こんなしょぼくれた人生のまま、俺は死ぬのだろうか。
すると、相棒が声をあげた。
「リーダー、おいらがナイフで付けた数字が見えましたよ。『1』っすよ」
「そうか、じゃあ元に戻ったわけだ。お前が言ったグルグル回っているってのは本当だったようだな」
「じゃあ、数字を刻んでない道を行けばいいわけっすね」
「だめだよ、迷路の途中かもしれない。あの、最初の三つに分かれていた場所じゃないと。でないともっと迷うことになる」
それにしても、おかしい。
やはり、この洞窟にはなにか秘密があるのではないか。
久々に冒険者魂が燃えてきたぞ。
豪華なお宝でも埋まっているのではないか。
俺が少しワクワクしていると、携帯ランプを持って、デカい斧を持った男が後方から現れた。
うわ、こいつが俺たちを惑わせた魔法使いか何かと思ったんだけど。
「ああ、こんにちは。冒険者の方ですか」
どうやら村人らしい。
「この洞窟には珍しい鉱石があるんですよ。それを取りにきたんです」
「あれ、もしかして、俺たちが置いた岩石をどかしたのは、あんたかい」
「ああ、目印だったんですか。その石に足を取られて転んじゃってね。イタズラだと思って、目に付くものは全部どかしちゃいました」
「ひょっとすると、最初の一本道を出た場所の三つに分かれていた一番右側の穴をあんたが大きく開けたのか」
「そうですね。ちょうど鉱石が見えたんでね。この斧で周りを崩して通れるようにしたんですよ」
そのせいで俺たちはただ同じ道をグルグル回る羽目になったってわけか。
やれやれ。
「なんすか、結局、秘密でもなんでもなかったってことっすね」
「まあ、そういうことだな」
村人の話によると、この洞窟にはその他に薬草みたいなものもあったりして頻繁に人の出入りがあるそうだ。おまけにそんなに広くないようで、俺たちが迷っていてもいずれは他の村人に会って助けられたようだ。
「俺っちらにはやはり華麗な冒険なんて縁がないんすかね」
「いや、人生まだまだ、これからだぞ」
「けど、リーダーはすっかりおっさんすね。迷ってばかりの人生を送ってばっかのような気がしますっけど。そして、スライム退治で終了っと」
「うるさいぞ」
結局、俺たちは村人の先導で洞窟から抜け出ることが出来た。
村人に助けられる冒険者。
ちと情けないな。
「今日の収穫、スライム三匹だけっすよ」
「たとえ三匹でも仕事は完了だ」
「なんかこのまま人生まで完了しそうなんすけど」
「縁起の悪い事言うな」
しかし、俺の人生も迷いっぱなしだし。
いや、これから華麗な冒険をするんだ。
人生はこれからだ。
そう無理矢理自分に言い聞かせながら、冒険者ギルドに行き、わずかな報酬を得る俺たちであった。
「迷ったすね」
今日も、冴えない冒険者二人組の俺と相棒が冒険者ギルドに依頼されたのは、スライム退治。
もっといい仕事がほしいが、背に腹は代えられない。
村のすぐ近くの小さい丘の洞窟に入った。
長々とした暗い道を携帯ランプで照らしながら歩く。
ごくたまに出る最弱スライムを退治。
「何かつまらないなあ」
「しょうがないっすよ、これも仕事っすよ」
「狂暴なモンスターが現れて、そいつを倒して一躍有名になりたいぞ、俺は」
「リーダーは、その狂暴なモンスターに勝てる自信があるんすか」
「まあ、モンスターによるなあ。最近、スライムばっかり相手にしてるから剣の腕も鈍ってるし」
「じゃあ、おとなしくスライム退治をするしかないっすね」
相手は俺たち同様、しょぼくれたスライムばかりだ。
やる気なく洞窟の中を歩く。
そして、気が付いたら道に迷っていた。
「おかしいなあ」
「おかしいっすねえ」
俺たちはしょぼいパーティーではあるが、腐っても冒険者だ。
途中で、何か所か分かれ道があった。
三つに分かれていたり、四つに分かれている場所もあったが、全て一番右の道を選んだ。
俺たちはこれを『右の道選択作戦』と呼んでいる。
この方法だと迷うことはないはずだったのだが。
「何だか同じ場所を歩いているような気がしてきたぞ」
俺は携帯ランプで洞窟内を照らす。
どうも先ほど見たような岩があったりした。
「同じ道をグルグルと回っているんじゃないすか」
「いや、例の『右の道選択作戦』ならそんなことにはならないはずだ。この作戦は迷路の途中からだと役に立たないが、俺たちは入口から始めていたのだからな」
相棒がしばし考える。
「確か、一番最初の分かれ道は三つだったじゃないすか。そこで間違えたんじゃないすか。真ん中の道を通りましたっすよ」
「いや、確かにあの時は真ん中の道を通った。なぜなら、右の道は小さくて通れなかったからだ」
そして、俺は相棒に言った。
「まさか、この洞窟は悪の魔法使いが魔法で冒険者を迷わすようにしているんじゃないか」
「なんで、そんなことするんすか」
「多分、莫大な宝物が隠してある部屋があるんだ。だから魔法でそこにたどり着けないようにしてあるんだ。そして、その部屋には亡国の美少女姫が囚われているのだ」
「何、わけのわからない妄想してんすか。こんなスライムがたまにしか出ない洞窟で、何で魔法使いが財宝を隠すんすか。おまけに何で亡国の姫がいるんすか。しかも、この洞窟はド田舎の村のすぐ近くっすよ」
「灯台下暗しって言葉があるぞ」
「本当すか。って、こんなことしてたら歩き疲れたあげく飢え死にっすよ。リーダー、自分が人生に迷っているからって、俺っちまで巻き添えにしないでくださいよ」
「お前、そんな冗談言ってる場合かって」
しかし、人生に迷っているってのは事実だな。
こんなスライム退治ばかりやっていていいのだろうか。
もう、おっさんなのに。
冒険者をやめて、農業でも始めるか。
おっと、そんなことを考えている場合ではない。
それにしてもおかしい。
例の『右の道選択作戦』以外にも迷わないようにしておいた。
分かれ道の直前に大きい石を置いておく。
戻る時は俺たちが置いた大きい石をたどればすんなりと出口にたどり着けるはずだった。
しかし、その置いた石が全部見当たらない。
「うーん、魔法使いはともかく、やはり何らかの意図を持った奴が俺たちを迷わせたのかなあ」
「しかし、俺っちらしょぼいパーティーを迷わせても、何の得も無いっすよ」
「しょぼいは余計だろ」
実際、しょぼいけどな。
しかし、こんなしょぼい洞窟で飢え死になんて情けない。
どうにか脱出しないと。
俺は相棒に指示した。
「とりあえず、『右の道選択作戦』はそのまま続行。但し、分かれ道が来たら通る道の壁にお前のナイフで数字の番号の印をつけろ。『1』、『2』、『3』と順番に刻むんだ」
「うぃっす」
そして、また俺たちは洞窟を歩く。
ああ、疲れてきた。
洞窟で迷い、人生で迷う。
かなり疲労がたまってきたなあ。
おっさんだからか。
こんなしょぼくれた人生のまま、俺は死ぬのだろうか。
すると、相棒が声をあげた。
「リーダー、おいらがナイフで付けた数字が見えましたよ。『1』っすよ」
「そうか、じゃあ元に戻ったわけだ。お前が言ったグルグル回っているってのは本当だったようだな」
「じゃあ、数字を刻んでない道を行けばいいわけっすね」
「だめだよ、迷路の途中かもしれない。あの、最初の三つに分かれていた場所じゃないと。でないともっと迷うことになる」
それにしても、おかしい。
やはり、この洞窟にはなにか秘密があるのではないか。
久々に冒険者魂が燃えてきたぞ。
豪華なお宝でも埋まっているのではないか。
俺が少しワクワクしていると、携帯ランプを持って、デカい斧を持った男が後方から現れた。
うわ、こいつが俺たちを惑わせた魔法使いか何かと思ったんだけど。
「ああ、こんにちは。冒険者の方ですか」
どうやら村人らしい。
「この洞窟には珍しい鉱石があるんですよ。それを取りにきたんです」
「あれ、もしかして、俺たちが置いた岩石をどかしたのは、あんたかい」
「ああ、目印だったんですか。その石に足を取られて転んじゃってね。イタズラだと思って、目に付くものは全部どかしちゃいました」
「ひょっとすると、最初の一本道を出た場所の三つに分かれていた一番右側の穴をあんたが大きく開けたのか」
「そうですね。ちょうど鉱石が見えたんでね。この斧で周りを崩して通れるようにしたんですよ」
そのせいで俺たちはただ同じ道をグルグル回る羽目になったってわけか。
やれやれ。
「なんすか、結局、秘密でもなんでもなかったってことっすね」
「まあ、そういうことだな」
村人の話によると、この洞窟にはその他に薬草みたいなものもあったりして頻繁に人の出入りがあるそうだ。おまけにそんなに広くないようで、俺たちが迷っていてもいずれは他の村人に会って助けられたようだ。
「俺っちらにはやはり華麗な冒険なんて縁がないんすかね」
「いや、人生まだまだ、これからだぞ」
「けど、リーダーはすっかりおっさんすね。迷ってばかりの人生を送ってばっかのような気がしますっけど。そして、スライム退治で終了っと」
「うるさいぞ」
結局、俺たちは村人の先導で洞窟から抜け出ることが出来た。
村人に助けられる冒険者。
ちと情けないな。
「今日の収穫、スライム三匹だけっすよ」
「たとえ三匹でも仕事は完了だ」
「なんかこのまま人生まで完了しそうなんすけど」
「縁起の悪い事言うな」
しかし、俺の人生も迷いっぱなしだし。
いや、これから華麗な冒険をするんだ。
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