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第37話:チェーザレに機関銃罵倒攻撃
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「おい、プルム!」
来たなあ、チェーザレ以下セクハラバカ三人組。
よし、必殺! 機関銃罵倒攻撃開始!
「うるさい! 話かけるな、こっち見んな、近づくな、あっち行け! どっか行け! 自転車に跳ねられて異世界に行って、男のパンツに転生しろ! この鼻くそ男、世界で一番のブ男、今世紀最大のアホ、来世紀最大のバカ、偏差値ゼロ、Zラン大学で最低の成績になった男、太陽が西から昇ると思っているバカ、世界の女性の敵ナンバーワン、低脳、変態、痴漢、のぞき魔、下着泥棒、体操着泥棒、ハイヒール泥棒、上履き泥棒、自転車のサドル泥棒、若ハゲ、キモデブ、地下アイドルストーカー、年齢イコール恋人いない歴の男、素人童貞、本棚に薄い本しかない男、エロゲを積んでたタワーが倒れて頭打って大怪我した男、ゴキブリ、カマドウマ、ダンゴムシ、セアカゴケグモ、ヒアリ、ウジ虫、ダニ、シラミ、寄生虫、梅毒スピロヘータ、サナダ虫、アニサキス、ばい菌、虫歯菌、水虫、インフルエンザ、クトゥルフ、人類誕生以来の最低男、生物界で最低の不潔な生き物、お前らなんて海底深く沈んで深海魚のチョウチンアンコウに喰われろ、ついでに宇宙の果てまで飛んでいけ、最後はそこらへんの水溜りで溺れたあげく、三歳の子供が乗った三輪車に轢かれて死んじまえ!」
あらん限りの言葉を使い、罵倒した。
ふう、疲れた。
あれ、よく見るとチェーザレしかいない。
黒い背広で、ノーネクタイの格好だ。
「今日はアベーレとベニートはいないの?」
「もう、先に故郷へ帰ったよ」
チェーザレはあたしの機関銃罵倒攻撃をあっさりとスルーして答える。
「なんで?」
「仕事がうまくいかなかったからさ。まあ、仕方が無いな。俺もあとひと仕事して帰るよ。ちょっとした噂があってな」
「ちょっとした噂って、何?」
「うーん、まあ、本当かどうかわからない噂なんだけど、いずれお前にも教えるかな。けど、実は警備隊のある関係者にも教えるつもりなんで、お前にも伝わるんじゃないかなあ」
「そうなの」
「ところで、プルム。小隊長に昇進したんだろ。おめでとう」
「え、何で知ってるの」
「官報に載ってたぞ」
ああ、そう言えば、チェーザレは情報屋。
そういう情報を集めるのが仕事だもんなあ。
それにしても、何だよ、チェーザレの奴。
いきなり祝福しやがって。
また、ひっかけるつもりか。
あたしは警戒する。
騙されないぞ。
「お前、表面的にはふざけているけど、実際は真面目だしな。あんまり仕事の事で悩むなよ」
え? な、なによ、勝手にシリアスモードにして。
戸惑うじゃないの。
「そうだ、この間、借金取りが来たぞ。お前を探しに」
「えー! こ、ここまで追いかけてきたの!」
ついに、この首都にいることがバレたのか。
ビビりまくりのあたし。
全然、貯金無いよ。
逃げないと。
しかし、チェーザレがあたしに言った。
「俺が代わりにお前の借金を払っといてやったよ」
びっくりするあたし。
「え! そんな、悪いよ。払うよって、今、持ってないけど」
「いいよ、別に」
「いや、払うから、必ず。もう少し待って、返せるくらい貯金がたまるから」
「今じゃなくていいよ。暇ができたら故郷に寄ってくれ。そん時でいいよ」
「そう、ありがとう……」
「プルム、お前は故郷の誇りだよ。頑張ってくれ、陰ながら応援してるよ」
「え?」
さらに戸惑うあたし。
「そうだ、いい事を教えてやろう。相手が怒った時、その瞬間こそ、相手に隙が出来たときだ」
「え、何だって?」
「そして、相手の一瞬をつく。分かったな。仕事でも活用できるぞ」
何のこっちゃ。
あたしは格闘技の選手じゃないぞ。
でも、泥棒とかと格闘することはあるかな。
けど、あれ、このセリフ、前にも聞いたような気がする。
「じゃあな、元気でな、プルム」
そして、なんとなく寂しげに去っていくチェーザレ。
なによ、気が抜けたじゃない。
ずんぐりとしたその背中を見送るあたし。
チェーザレはお別れの挨拶にきたのか。
おまけに、借金まで立て替えてくれた。
そのチェーザレに対して、あの機関銃罵倒攻撃。
ちょっと酷すぎたか。
どうしよう。
なんだか悪い事した。
うーん……謝ろうっと。
あたしは、今来た道を引き返した。
なかなか見つからない。
さっきのトイレも探してみる。
すると、ちょうど男が出て来た。
陰険そうな顔をしている男。
知っている顔だ。
またセルジオ元大佐に会ってしまった。
「なんだ、ドラゴンキラーじゃないか。なんで男子トイレに入るんだよ。ああ、お前は男だったのか、ギャハハ!」
ふざけんな! おっさん、嫌な奴。
相変わらず酒臭い。
あたしが、ムッとしていると、絡んでくる。
「何だよ、文句あんのか。俺が無職と思って、馬鹿にしてんのか」
あら、やっぱり軍隊クビになったんだ。
それにしても、質の悪いひとやね。
人生ヤケクソって感じ。
チェーザレを探したけど、結局、見つからなかった。
仕方がない。
いつか、故郷に帰ったら謝りに行くことにしよっと。
あれ、そう言えば、あたしバルドに何か聞こうとしていたんだけど、忘れちゃった。
何だっけ。
ナタがどうしたこうしたって?
なんで鉈についてバルドに聞かなきゃいけないんだ。
あれ、何だっけ?
ナタデコッコ?
お菓子の名前が浮かんだ。
何で、お菓子の事をバルドに聞くんじゃ。
ああ、あたしって忘れっぽいなあ。
でも、お菓子の事か。
どうでもいい話だな。
面倒くさい。
忘れよう。
忘れていいのか?
うーん、まあ、いっか!
来たなあ、チェーザレ以下セクハラバカ三人組。
よし、必殺! 機関銃罵倒攻撃開始!
「うるさい! 話かけるな、こっち見んな、近づくな、あっち行け! どっか行け! 自転車に跳ねられて異世界に行って、男のパンツに転生しろ! この鼻くそ男、世界で一番のブ男、今世紀最大のアホ、来世紀最大のバカ、偏差値ゼロ、Zラン大学で最低の成績になった男、太陽が西から昇ると思っているバカ、世界の女性の敵ナンバーワン、低脳、変態、痴漢、のぞき魔、下着泥棒、体操着泥棒、ハイヒール泥棒、上履き泥棒、自転車のサドル泥棒、若ハゲ、キモデブ、地下アイドルストーカー、年齢イコール恋人いない歴の男、素人童貞、本棚に薄い本しかない男、エロゲを積んでたタワーが倒れて頭打って大怪我した男、ゴキブリ、カマドウマ、ダンゴムシ、セアカゴケグモ、ヒアリ、ウジ虫、ダニ、シラミ、寄生虫、梅毒スピロヘータ、サナダ虫、アニサキス、ばい菌、虫歯菌、水虫、インフルエンザ、クトゥルフ、人類誕生以来の最低男、生物界で最低の不潔な生き物、お前らなんて海底深く沈んで深海魚のチョウチンアンコウに喰われろ、ついでに宇宙の果てまで飛んでいけ、最後はそこらへんの水溜りで溺れたあげく、三歳の子供が乗った三輪車に轢かれて死んじまえ!」
あらん限りの言葉を使い、罵倒した。
ふう、疲れた。
あれ、よく見るとチェーザレしかいない。
黒い背広で、ノーネクタイの格好だ。
「今日はアベーレとベニートはいないの?」
「もう、先に故郷へ帰ったよ」
チェーザレはあたしの機関銃罵倒攻撃をあっさりとスルーして答える。
「なんで?」
「仕事がうまくいかなかったからさ。まあ、仕方が無いな。俺もあとひと仕事して帰るよ。ちょっとした噂があってな」
「ちょっとした噂って、何?」
「うーん、まあ、本当かどうかわからない噂なんだけど、いずれお前にも教えるかな。けど、実は警備隊のある関係者にも教えるつもりなんで、お前にも伝わるんじゃないかなあ」
「そうなの」
「ところで、プルム。小隊長に昇進したんだろ。おめでとう」
「え、何で知ってるの」
「官報に載ってたぞ」
ああ、そう言えば、チェーザレは情報屋。
そういう情報を集めるのが仕事だもんなあ。
それにしても、何だよ、チェーザレの奴。
いきなり祝福しやがって。
また、ひっかけるつもりか。
あたしは警戒する。
騙されないぞ。
「お前、表面的にはふざけているけど、実際は真面目だしな。あんまり仕事の事で悩むなよ」
え? な、なによ、勝手にシリアスモードにして。
戸惑うじゃないの。
「そうだ、この間、借金取りが来たぞ。お前を探しに」
「えー! こ、ここまで追いかけてきたの!」
ついに、この首都にいることがバレたのか。
ビビりまくりのあたし。
全然、貯金無いよ。
逃げないと。
しかし、チェーザレがあたしに言った。
「俺が代わりにお前の借金を払っといてやったよ」
びっくりするあたし。
「え! そんな、悪いよ。払うよって、今、持ってないけど」
「いいよ、別に」
「いや、払うから、必ず。もう少し待って、返せるくらい貯金がたまるから」
「今じゃなくていいよ。暇ができたら故郷に寄ってくれ。そん時でいいよ」
「そう、ありがとう……」
「プルム、お前は故郷の誇りだよ。頑張ってくれ、陰ながら応援してるよ」
「え?」
さらに戸惑うあたし。
「そうだ、いい事を教えてやろう。相手が怒った時、その瞬間こそ、相手に隙が出来たときだ」
「え、何だって?」
「そして、相手の一瞬をつく。分かったな。仕事でも活用できるぞ」
何のこっちゃ。
あたしは格闘技の選手じゃないぞ。
でも、泥棒とかと格闘することはあるかな。
けど、あれ、このセリフ、前にも聞いたような気がする。
「じゃあな、元気でな、プルム」
そして、なんとなく寂しげに去っていくチェーザレ。
なによ、気が抜けたじゃない。
ずんぐりとしたその背中を見送るあたし。
チェーザレはお別れの挨拶にきたのか。
おまけに、借金まで立て替えてくれた。
そのチェーザレに対して、あの機関銃罵倒攻撃。
ちょっと酷すぎたか。
どうしよう。
なんだか悪い事した。
うーん……謝ろうっと。
あたしは、今来た道を引き返した。
なかなか見つからない。
さっきのトイレも探してみる。
すると、ちょうど男が出て来た。
陰険そうな顔をしている男。
知っている顔だ。
またセルジオ元大佐に会ってしまった。
「なんだ、ドラゴンキラーじゃないか。なんで男子トイレに入るんだよ。ああ、お前は男だったのか、ギャハハ!」
ふざけんな! おっさん、嫌な奴。
相変わらず酒臭い。
あたしが、ムッとしていると、絡んでくる。
「何だよ、文句あんのか。俺が無職と思って、馬鹿にしてんのか」
あら、やっぱり軍隊クビになったんだ。
それにしても、質の悪いひとやね。
人生ヤケクソって感じ。
チェーザレを探したけど、結局、見つからなかった。
仕方がない。
いつか、故郷に帰ったら謝りに行くことにしよっと。
あれ、そう言えば、あたしバルドに何か聞こうとしていたんだけど、忘れちゃった。
何だっけ。
ナタがどうしたこうしたって?
なんで鉈についてバルドに聞かなきゃいけないんだ。
あれ、何だっけ?
ナタデコッコ?
お菓子の名前が浮かんだ。
何で、お菓子の事をバルドに聞くんじゃ。
ああ、あたしって忘れっぽいなあ。
でも、お菓子の事か。
どうでもいい話だな。
面倒くさい。
忘れよう。
忘れていいのか?
うーん、まあ、いっか!
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