陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ノンビリ

one flame㊱

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『おー!』
「何がそんなに凄いねん。」

ソースの入ったタッパーを開けると、周りにいた奴らが感嘆の声を出す。

「いや、マジで料理できんねんなって。そんなキャラには見えんかったから。」
「普通に女子の私よりも上手いのやばいわ。」
「お前ら悉く辛辣やな。」

隣に立っていた聡と戸津井さんがそんなことを言う。2人とも俺の料理は見たことあるやろ。

 机の上に並んだ具材たちと、それぞれが持ってきている2枚のパン。その厚さは人によって違う。もちろん俺は4枚切りだ。

「この箱から整理券取ってくださーい!」

聡は用意がよく、レジ袋に入れた番号を書いた紙を全員に回していく。俺の番号は…16か。最初でもなく最後でもない。絶妙に面白くないところ。

「何番やったん?」
「16。船戸さんは?」
「4番目の素数。かつ、グロタンディーク素数の一の位。」
「うわっ、理系解答にも程があるて。俺は分かるけどさ。高校で習わんことやでそれ。」

 全員に整理券を配りきってから挟む作業が始まった。整理券の順番に具材を取りに行き、挟んだら戻ってくる。ちなみに聡は36番を引いたらしくて、悔しそうに自分の机を台パンしていた。

「あっ、次私の番や。」
「ん。行ってら。」

船戸さんがパンを持って、具材が並んでいる机に歩いていく。こういうのってセンスよな。うんうん。

「絶対失礼なこと思ってるやろ。」
「ならそのサンドイッチに聞いてみーさ。な?」
「うるさい。」

戸津井さんは1番を引いたのだが、持ち前のセンスのなさで、イマイチな出来のサンドイッチが出来上がった。

「恨むなら自分のセンスのなさを恨みな。」
「傷口に塩塗るん大好きやな。」
「人の不幸は蜜の味って言うやろ。そーゆうもんよ。」

喋っていると作り終えた船戸さんが帰ってきた。

「まだ結構具材余ってるわ。どーせこれからの集団で削れるんやろうけど。」
「そーなん?よかったわ。なんぼか目星つけてるやつあるからさ。」
「ほーん。それは楽しみや。」
「私よりも酷いの作れ。私よりも酷いの作れ。」

念仏を唱え始めた戸津井さんの隣に立つ船戸さんの手元には、これまた美しいサンドイッチが。

「へぇ~、そんな感じにしたんや。めっちゃ綺麗やん。」
「センスはあるからね。どこぞのくるみとは違って。」
「うるさい。2人とも私の事いじるん大好きやな。」
「「そりゃあもちろん。」」

船戸さんが挟んだのはハムとチーズとレタス。そして紫キャベツとか野菜類と家を出る前にチャチャッと作ったオーロラソースだ。

「美味そ。」
「あーんしたげよっか?」
「それはいいわ。あっ、俺の番。」

次は俺の番になり、ちゃんと目星をつけていたように油淋鶏風のサンドイッチを作る。美味そうにできた。

 ちなみに最後に余ったもので聡が「右左どっち」したようで、ダークマターが出来上がっていた。
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