709 / 724
ノンビリ
one flame⑭
しおりを挟む
「ふぅ…ラッキー。」
「ラッキーすぎやな。」
「まさかこんな時間まで家でくつろいでるなんて。」
時間は8時を少し回ったくらい。なんでこんな時間まで家にいるのかというと、京阪電車が運転見合わせだからだ。
いつものように朝のニュースを見ながら朝の用意をしていたら、京阪電車が止まったとの一報が入ってきたのだ。
「別にチャリで行こうと思えば行けんねんけどな。」
「まあいいやん。こういうときぐらい。ってか、人身事故で遅れんのなんて今後経験できひんかもしれんねんで。」
「私はまだまだチャンスあるけどね~。あっ、きい姉来た。」
するときいもやって来て家の中は学校をサボりたい奴らの溜まり場になる。
きいにもお茶を出してから、たまに運行情報を確認しつつ数分。
「音羽から残念なお知らせ。動いたみたい。」
『あ~』
桜からのその知らせに全員が項垂れる。仕方なく出していたマグカップを片付けて、荷物を持つ。全員準備万端だ。
「行くか~」
『うぃー』
その声にも覇気がない。もう少し休んでいたい気持ちがまだ勝っているからだ。
「どうせあと2,3本は見逃すねんしええやん。合法的な遅刻や。やったやん。」
「それはそうか。」
とぼとぼと歩きながらいつもの待ち合わせ場所へ。2人とももう来ていた。
「おはよー。ラッキーやな。」
「ちょーラッキー。1時間目飛ぶんちゃう?」
「せやな。」
奏とそんな言葉を交わしてからまた歩き始める。
「1年の頃のQやったらこんな日でもちゃんと行かなあかんかったんやもんな。」
「せやな。」
前を歩く女子4人を見る。楽しそうに歩くその後ろ姿を見てても問題ない。そんな関係になれたのは紛れもなくあのときに話しかけて貰えたからだ。
「感謝してるよ。みんなには。」
「よせよ。それは卒業までとっとくものだろ?」
「いや、どーせあと1か月しかないねん。」
「それはそうやな。」
学校が終わるまであと1ヶ月。それまで伝えたいことは全部伝えていこう。そう思った。
改札までのエスカレーターを上がる、その前に少しだけホームが見えた。人しかいない。もうホームは溢れそうになっている。
「これは…」
「せやな。ラッキー。」
俺たちはまだまだ遅れられそうだ。
「ラッキーすぎやな。」
「まさかこんな時間まで家でくつろいでるなんて。」
時間は8時を少し回ったくらい。なんでこんな時間まで家にいるのかというと、京阪電車が運転見合わせだからだ。
いつものように朝のニュースを見ながら朝の用意をしていたら、京阪電車が止まったとの一報が入ってきたのだ。
「別にチャリで行こうと思えば行けんねんけどな。」
「まあいいやん。こういうときぐらい。ってか、人身事故で遅れんのなんて今後経験できひんかもしれんねんで。」
「私はまだまだチャンスあるけどね~。あっ、きい姉来た。」
するときいもやって来て家の中は学校をサボりたい奴らの溜まり場になる。
きいにもお茶を出してから、たまに運行情報を確認しつつ数分。
「音羽から残念なお知らせ。動いたみたい。」
『あ~』
桜からのその知らせに全員が項垂れる。仕方なく出していたマグカップを片付けて、荷物を持つ。全員準備万端だ。
「行くか~」
『うぃー』
その声にも覇気がない。もう少し休んでいたい気持ちがまだ勝っているからだ。
「どうせあと2,3本は見逃すねんしええやん。合法的な遅刻や。やったやん。」
「それはそうか。」
とぼとぼと歩きながらいつもの待ち合わせ場所へ。2人とももう来ていた。
「おはよー。ラッキーやな。」
「ちょーラッキー。1時間目飛ぶんちゃう?」
「せやな。」
奏とそんな言葉を交わしてからまた歩き始める。
「1年の頃のQやったらこんな日でもちゃんと行かなあかんかったんやもんな。」
「せやな。」
前を歩く女子4人を見る。楽しそうに歩くその後ろ姿を見てても問題ない。そんな関係になれたのは紛れもなくあのときに話しかけて貰えたからだ。
「感謝してるよ。みんなには。」
「よせよ。それは卒業までとっとくものだろ?」
「いや、どーせあと1か月しかないねん。」
「それはそうやな。」
学校が終わるまであと1ヶ月。それまで伝えたいことは全部伝えていこう。そう思った。
改札までのエスカレーターを上がる、その前に少しだけホームが見えた。人しかいない。もうホームは溢れそうになっている。
「これは…」
「せやな。ラッキー。」
俺たちはまだまだ遅れられそうだ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
おっぱい揉む?と聞かれたので揉んでみたらよくわからない関係になりました
星宮 嶺
青春
週間、24hジャンル別ランキング最高1位!
ボカロカップ9位ありがとうございました!
高校2年生の太郎の青春が、突然加速する!
片想いの美咲、仲の良い女友達の花子、そして謎めいた生徒会長・東雲。
3人の魅力的な女の子たちに囲まれ、太郎の心は翻弄される!
「おっぱい揉む?」という衝撃的な誘いから始まる、
ドキドキの学園生活。
果たして太郎は、運命の相手を見つけ出せるのか?
笑いあり?涙あり?胸キュン必至?の青春ラブコメ、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる