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ノンビリ

one flame⑬

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 次の日、私たちは眼鏡を買いに近くのスーパーに来ていた。

「あー、やっぱりか。左だけめっちゃ悪い。」
「私は両方悪なってるかな。久志よりはマシっぽいけど。」

眼科から出てきた私たちは、紹介状みたいなものを手に歩く。久志は左と右のバランスが悪くて、左は私よりも悪かった。先生には「平面に見えてるやろ」って。「たしかに」と頷いていたが、それならもっと早く行っとけば良かったのにって思ったのはここだけの話。私は両眼が同じくらいの悪さで、眼鏡としては度数は弱めでいいようだ。

「とりま買お。届いてからやから1週間ちょいかかるやろうけど。」
「せやな。」

そう言いながら眼鏡屋さんの前に立ち止まる。目の前には珍しい人物がいた。

「よーっす。その感じ、デートやな。」
「柚さんも眼鏡?」
「もち。この頃ちょーっとだけ目悪なってきたから。コンタクトでもいいねんけど、お財布的にね。」

そう言ってゆーちゃんは近くにあった丸いフレームの眼鏡を持ち上げる。

「これで少しは知的に見えるかな?」
「それ言ってる時点でゆーちゃんはアホやで。」
「ひっどー!ってか、これめっちゃさくちゃんに似合いそう。」

ピンクゴールドのフレームの丸メガネ。耳のところは黒くなっていて、全体的に細い感じ。

 ゆーちゃんは私にその眼鏡をかけると、1歩2歩と離れる。

「ん~、私の見立て通り。さくちゃんはこういうのが似合うね。」
「そう?」

私たちがそんな話をしているからか、久志は気を使って自分の眼鏡を選んでいる。そんな久志の肩をトントンと叩いた。

「ねえ、久志はどう思う?」
「ん?おお。めっちゃ似合ってる。」
「………」

もうちょっと反応が欲しくて黙ってみる。

「可愛い。」
「そ。じゃあこれ買お。久志のも選んであげるね。」
「ありがと。」

そんなやり取りをしている私たちをゆーちゃんは遠くから見ていた。

「お熱いこって。」
「ゆーちゃんはネタ系がいいのかー。そうかそうか。それなら先に言ってくれたら良かったのになー。」
「ごめんごめん!謝るから!頼むから普通の選んで!」
「嘘やって。おそろとかにしてみる?ゆーちゃんも似合ってたで。」
「そう?じゃあせめて色違いにしよ。」

ゆーちゃんはシャンパンゴールドのフレームを手に取った。そしてかけてみる。

「私はこっちかな。色好きやし。」
「ん。似合ってる。」
「ってことは、」
「やね。」

私たち2人のフレームは決まった。ということはそういうことだ。

「久志~!」
「作詞家くーん!」
「「私たちが選んであげる!」」
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