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ノンビリ

one flame⑨

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 今日は久しぶりに杏ちゃんから買い物に誘われたので、3人で門真のショッピングモールに来ている。

「で、何が欲しいんだ?」
「バカ兄、今日は休憩やで。そんな急がんでもええて。」
「まぁたしかにそれはそうか。」

杏ちゃんが少し前を歩いていて、私たちがその後ろから着いていく感じ。歩いていく先にあるのはスポーツ用品店だ。

「とりあえず冬用のジャージ買いたい。いい?」
「いいよ。」
「俺もいいけど、もう持ってるんちゃうんか?」
「あれは中学んときのやつやから心機一転新しいのが欲しいの。」

そう言って杏ちゃんはレディースのジャージのコーナーに歩いていく。こういうところに来るのは私は初めてだ。キョロキョロと周りを見ていると久志が話しかけてきた。

「見たいものあったら見てきていいぞ。杏の面倒は見とくから。」
「ううん。ただ、こういうところ来んの初めてやから面白いだけ。」
「そゆことね。なら、あの店あったらびっくりするやろな。」
「どの店?」
「水着のメーカー直販店。」

水着のショップなら行ったことがあるけど、多分久志の言うことだから競泳用水着の直販店ってことだろう。そんなに違うのかな。

「バカ兄、桜さん!選ぶの手伝って~!」

杏ちゃんが何やら呼んでいる。両手には何着ものジャージが抱えられていて、そこの中から選ぶ感じだ。

 久志と手を繋いだまま、杏ちゃんのほうに向かう。結局買ったのは黒いパーカーつきのジャージだった。

 また3人でモール内を歩く。

「あ、俺も見たいもんあるから見ていいか?」

書店の前を通ったとき、久志がそう言った。何を買う気なのかとついて行くと、久志が手に取ったのは英語の問題集2冊だった。

「あっ、私もこれ買っとこ。」

杏ちゃんも同じように理論化学の問題集を取る。

「杏、まだいらんのちゃうん?」
「それがいるねんなぁ、理系行きたいから。」
「そんな話聞いてなかったぞ。」
「うん。言うてないもん。」

杏ちゃんの成績は良くもなく悪くもなくって感じ。理系に行っても生き残れはすると思うが。

「しんどいぞ~。経験者は語る。」
「うん。見てるだけでしんどそう。やけど、行きたいから。」

杏ちゃんは笑った。その笑顔は久志に少しだけ似ていた。

 私も数学と国語の問題集を手に取る。さらに上の学校を目指す人が使うような問題集を。

「桜も買うん?」
「私だけ買わんのはなんかちゃうやん。」

4000円ちょいの出費にはなったが、それでもいいかって感じだった。
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