陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ノンビリ

one flame⑦

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「先生、いいですか?」
「ん?ちょっと待ってな。」

放課後、桜と一緒に職員室に向かい、それぞれの担任に話しかける。

「OK、もういいぞ。で、どしたんや?」
「辞退届貰おうって思って。」
「…ちゃんと考えたんか?」
「はい。親ともしっかり話してきました。」

イッキ先は机からクリアファイルを取り出し、そこから紙を1枚抜き取る。

「俺としてはな、国学社残しとくんも1つの選択やと思うねんけどな。それでも、自分の夢を追いかけたいって言うんやったら、俺は止めはせーへん。なあ、由良。そこは浪人してでも行きたいところなんか?」

浪人か。そうだな。国学社大学はほぼ決まったも同然。そんな大学を蹴って他大学に進もうとしてるんだから、そう言われるのも当然だな。

 昨日やった本番形式のテスト。それで取れた得点は合格最低点ピッタリくらい。勉強していないところや、まだ10月なところを含めても不安は少しは残る。前期のたった10枠の中に入らないといけないから厳しい戦いになるのだろう。

 それでも、

「もちろん。こんなこと言うのもなんですけど、国学社に進んでる未来が想像できないっていうか、はっきり言って行きたくないって感じなんで。」
「ふふっ。」

附属校の先生に言うにしてはめちゃくちゃ失礼なことを言ったと思うが、なんか笑われた。

「そうかそうか。いやぁ、びっくりやな。何となくそんなこと言われる気してたわ。」

見れば周りの先生たちも笑っている。イッキ先は持っていた紙を渡してきた。

「応援してるぞ。頑張れ。」

とても温かい言葉だった。それだけにやっぱり嬉しかった。

 職員室を出ると、桜が待っていた。

「貰えた?」
「そらもらえるやろ。てか、なんか話しとったけど何やったん?」
「いや、普通に覚悟みたいなもん聞かれただけ。」

言っていないが俺がこの選択をしたもう一個の理由がある。それは、たまにはこういう橋を渡るのもいいなって思うから。失敗できないって緊張感の下、やってみるのは本当に気持ちいい。桜も俺もそういう人間なんだ。

「ほな、ちょいと頑張りますか~。」
「やなー。せっかく蹴ってんし。」

桜と笑い合う。駅までの道を歩きながら。晴れた空に向かって。
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