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コタエハ

俺たちは最後の祭り⑦

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 借人競走が終わったら昼休憩だ。俺たちは教室に戻って軽く昼食をとる。

「まさかやったな。」
「それな。俺の組と次の組、全員『好きな人』やったなんて。」

さっきの借人競走、お題を確認せずに走り始めた俺たちだったが、お題が全員『好きな人』だったので、色んなドラマが待っていた。結果から言うと4勝2敗ってところ。次の組も合わせて9勝3敗だ。

「せっかくやったらここにしてくれてもよかってんで。」
「そんなことしたら俺の命が持たへんわ。桜、自分の人気分かってるやろ?」
「なんとなくは。」
「じゃあ、あれでも頑張った方やと思っててくれ。」

いつものメンバーで揃ってスタンドで弁当を広げる。お弁当は7つ、中身は4種類。改めて見ると異様な光景だ。

「そういや、楓大丈夫やったん?」

音羽が思い出したように聞く。

「大丈夫やったで。結局、奏が支えてくれたから転けてないし。」
「あれはヤバかったな。男の俺でもキュンてしたわ。」
「カレンのそんな感情なんていらんわ。」

奏は少し嬉しそうに笑いながら、卵焼きをかじる。あそこのカップルの弁当は、楓が作ったものだとか。

「楓たいちょー!どうやらあの1連の出来事で奏のファンクラブが出来たらしいです!」
「きい隊員、その情報は確かかね?」
「はい!この耳でしっかり聞きました!」
「後で褒美をやろう。よぉし野郎ども!焼き討ちに行くぞ!」

アホな方の女子2人がなにやら騒いでいる。なんか俺も巻き込まれてる気がするが、ここは諦めておこう。

「それにしても今回の体育祭、めっちゃ盛り上がってるよな。」
「たしかに。去年よりも暑い気する。」

去年までの体育祭は行事としての体育祭みたいな感じだったが、今年のはお祭りみたいな感じだ。競技も、その細部に至るまで。

「これも全部時雨の腕がすごいからやな。」
「時雨?」
「誰それ?」
「俺も知らんなぁ。」

突如出た名前は俺の知らない名前だった。きいとカレンも同じようで、そんな3人を見てほかの4人は絶句している。

「3人とも他のクラスに興味無さすぎ。」
「生徒会長にして文系成績学年トップ、模試では東大A判定の首席ちゃんやで。」
「それに、新入生代表挨拶してたし。」
「結構有名人やねんから覚えとけよ。」

4人からそう熱弁される。そこまで有名人なら覚えといて損はないか。

 弁当を食べ終わり、時間が来るまでゆっくりしていたときだった。

「あっ、いたいた!KYUKA組のメンバーやんな?」
「ん?あれ?時雨やん。」
「ほんまや。」
「どないしたんやろ?」

今日の出来事の元凶である生徒会長がやってきた。名前は葛城時雨。H組にいる超優等生で、うちの学校トップの頭脳を持っている、天才だ。

「あのさぁ、お願いやねんけど、後夜祭で歌ってくれへん?」
『は?』
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