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コタエハ

俺たちは最後の祭り④

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 次の種目は奏たちの出る二人三脚だ。

「あの2人も相変わらずやな。」
「ずっとあんな感じやからな。長いこと一緒におっても距離感変わらんのが逆にすごい。」

 この二人三脚は男子と男子、女子と女子のペアのパートの後に、カップルパートがある。カップルパートには、カップルかそういう異性としか参加できないってルールがあるので、待ち時間の今はちゃんとイチャイチャしている。

 カップルパートの前には男子同士のペアで倫也が出るらしいが、まあ、せっかくやし見ておいてやろう。

 倫也は特に何もなく、目立ちもせず、普通に終わっていた。あまりにも普通すぎて、何も言えることがない。それくらい何もなかった。

 そして奏たちの順番が回ってきた。スタートの合図と同時に走り出した2人は、順調に進んでいきトップを独走している。

「流石やな。息ぴったりやん。」
「由良君と桜はあんな感じに」
「できひんな。無理無理。」

余裕そうに走る2人を見ていると、感嘆の言葉しか出てこない。

 でも、一瞬だった。少しだけ店舗がズレて楓が転けかけたのだった。

「「「あっ!」」」

俺と船戸さん、そしてついさっき帰ってきた戸津井さんがそう声を上げる。でも、そのときにはもう奏が楓を支えていた。

『うおぉ~!』

奏の腕の中にすっぽりと収まる小さな身体のきい。もう、尊すぎてやばい。あの空間だけ、流れている空気が違うし、違う色が生まれている。

 奏が何やら楓に声をかけている。立ち止まって、しっかりと立たせてから怪我がないかの確認をしているのだろう。でも、あまりにも距離が近い。別の場所から見たらキスしているようにも見えるだろう。でも、俺のところから見える、奏のTシャツについた、楓が握りしめている皺を見たら、楓が本当に悔しがっていることが分かる。

『キャー!』

歓声が黄色い声に変わる。ただでさえ顔のいい奏が、そんなムーブをしたら絵が崩壊するくらいのものだろう。いや、そうだ。

「なんであいつはあんなことを自然にできるのかね。」
「さあね。」

2人はもう一度紐を結び直して歩き始める。1歩ずつ確かに踏みしめながら歩き、ゴールテープを切った。最下位であったものの、このレースは本当に印象に残るものになった。
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