陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

コタエハ

A.春⑩

　俺は後から合流しただけの存在だ。そのことは俺が1番わかっていて、だからこそ俺がこのグループに本当にズカズカ入っていけるわけが無い。

　こうやって外から見ているとよく分かる。俺はこのメンバーの中ではメンバーじゃないって。

「なあ、俺たちってこのメンバーの中に入れるのかな？」
「少なくとも私には無理やな。ひい君たちの世界に干渉なんて出来るわけない。」

「これで今、4曲やったな。ふう、さすがに疲れてきたから休憩休憩。じゃあ桜、MCよろしく。」
「は？いきなりそんなの言われても出来るわけないやん。えーっと、えーっと、えーっと…」
「はい、なんか無理そうなんで次いきます！」
「ちょっと久志！ヒドいって！」

ステージ上で繰り広げられるいつものやり取りを見て、微笑ましくなる。

「次は、この高校生活をイメージして、国学社の校舎をイメージして書いた曲です。この3年間過ごしたこの校舎には、たくさんの思い出が詰まっています。そんな俺の高校生活を思い返しながら作った曲です。それでは聞いてください。『ハイスクール』。」


ハイスクール
作詞:由良久志
作曲:富貴桜
編曲:KYUKA組


空っぽの檻の中に　閉じ込められた僕たちは
何を目指して何を夢見て　生きればいいんだろう
こんなに痛いのに　悲鳴を上げないこの胸は
何に怯えて何に恐れて　諦めてしまったんだ

新しい日々はどうだい？
美しい日々の崩壊
答えのない毎日を何気なく過ごしていれば
回り道だって構わない
盾つけないそれが実際
諦めたいから諦めた　でも夢は諦めたくない

希望　弾ける音がした
胸の中つっかえていた悲しさが
どこかへ飛んでいくような　そんな気がした
僕らは踏み出せるんだ
箱庭に閉じ込められた僕たちは
翼を手に入れたんだ　だから行こうよ
青に染められた毎日を


放った言葉の中に　また縛られた僕たちは
どこかも分からない空を目指して　飛び出せばよかったの？
こんなに辛いのに　言葉が出ないこの喉は
何が怖くて仕方がなくて　閉ざしてしまったんだ

変わらないものを知りたい
忘れない日々はいったい
どこにも無い解答をあてもなく探していれば
分からなくたって構わない
だから知りたいそれが本心
狂いのないものなんてないよ
でも夢は譲りたくない

鼓動　昂る音がした
胸の奥つっかえていた寂寥が
どこかに消えていくような　そんな世界
僕ら掴み取るんだ
教室に閉じ込められた後悔は
僕らの枷にはならない　だから自由さ


誰かが僕の名前を呼んでいる
僕はその歩みを止めることはない
キラキラ輝いているこの世界
誰も傷つかないから

ふと見上げていた空
ゆらゆらと流れていった羊雲
どうすることも出来ない　自然の摂理
僕らに秘められている
可能性神様がくれたこの力
僕らのその全てを　ここにぶつけて

希望　弾ける音がした
僕たちはもう何にも縛られない
ハイスクールデイズ　どこまでも飛べる気がした
夢に素直になれば
言葉でも表しきれないそんな未来
ホンモノの物語それは　僕らの今だ
青に染められた毎日さ