陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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コタエハ

A.春②

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 パート1は特に何事もなく終了した。うちのクラスにいる世界3位のダンサー(?)が会場をとんでもなく沸かせただけで。

 そして用意も順調に進んだ。バンドのリハもあるからって氷の運搬は任せたけど、カップとかの確保は上手くいった。

「よーっす。みんな早いなあ。」
「久志、そっち上手いこといったん?」
「いけたで。あとは確保してるのが確定してるやつやから俺の出番は終わりやな。」
「ならいい感じやな。」

バンドスペースの前に集合した俺たちは、軽く準備をしながら、俺たちの前のバンドを見る。俺たちの前にやっているのは、倫也たちのバンドだ。

「「倫也ぁぁぁ!」」

まだリハーサルだというのに、奏と楓は限界オタクみたいに叫び狂っている。あいつもあいつらで気持ちを落ち着けるとかないのか。ないみたいだ。

 倫也たちが6曲分のリハを終わらせると、次は俺の番だ。

「このバンドって完全オリ曲やったっけ?どーする?音だけ出るかやるだけにする?」
「あーっと、Q。どーする?」
「じゃあ部分部分だけやるか。ちょっと入りがムズいとこだけ。」
「あとあれもやった方がええやろ。PAさんにやってもらわなあかんところ。」

あくまで今は見せないことにして、どうしてもやらないといけないところだけやることに。そうすると限られてくるのはほんの数カ所で、その手前のところからやっていく。

『ありがとうございました。』
「ええよええよ。てか、レベル高いな。曲作ってんのは?」
「僕と、」
「私です。久志が作詞で私が作曲してます。アレンジは自分たちで。それぞれのパートの土台は私が作ってるんですけど、そこから微妙に変えていってます。」

PAさんに聞かれてそう答える。事実、自分たち渾身の曲たちだ。それが評価されるのは普通に嬉しい。

「ライブハウスとか出てみーひんの?出れるんちゃう?」
「出れたら出たいんですけどね。なんせ高3なんで。」
「あー、そういうこと。それなら大学入ってからでも。」
「それはきついと思います。僕は遠くなる予定なんで。」
「そういうことか。惜しい人材やな。」

片付けを済ませて、それぞれ荷物を持ち、立ち上がる。

「それじゃ、明日もよろしくお願いします。」
「みんなのライブはおっちゃんに任せて楽しみや。」

 仕事は全部クラスメイトに任せることにして、家路についた。

「トーク誰がやる?」
「Qやろ。」
「久志。」
「Qしかない。」
「逆に誰がおるん?」
「お前ら、くそっ。全部俺に任せやがって。」
「でも、全部上手くいくようにできるやろ?」
「できるなあ。」

頭の中に思い描いていたもの。それを再生することにした。
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