陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

コタエハ

俺たちは答えを知らない④

「どこまで進んだ？」
「看板周りはほぼほぼ出来上がったからあとは看板だけ。」

今日もクラスのほうの準備に残る。バンドの練習もあるから、昨日の準備は途中で抜けた。今日は練習がないので全部残れる。

　ゆーちゃんに昨日どこまで進んだか聞いてから、うちのクラスで売るのはジュース。だけど名前はかき氷をする用に考えていた「－40℃の世界」だ。うちのクラスの担任が南極に行ったことがある人だからこの名前になった。どこかの誰かさんのクラスがかき氷を勝ち取ったから。

「作詞家くんがじゃんけんで勝ったんはしゃーないやん。売り上げで勝と。」
「そうしよ。うちのクラスならもっと売れたって証明しよ。」

久志たちのクラスは理系らしく「1K」という名前にするみたい。℃に変換すると－272℃。向こうの方が低いのだ。ここだけは負けたところ。

「まあ、キンキンに冷やしたジュース売ったらええだけやん。」
「まあね。」

先生に残ることを報告しに行った音羽が帰ってきて、今日の作業が始まる。今日は看板に貼り付けるペンギンを作るのだ。

　黒い紙をデザインカッターで切り抜き、ペンギンの模様を作る。そしてダンボールもペンギンの形に切り抜いて白い紙を貼り付け、そこに切り取った黒い紙を貼るだけ。その単純作業のはずなのに、

「めちゃくちゃめんどくさい。」
「諦めよ。これが一番綺麗になるんやから。」

ダンボールを切る作業は男子たちに任せて、私たちはペンギンの模様を作っている。ちまちました作業の連続でめちゃくちゃめんどくさい。

「さくちゃん、外郭だけハサミで切っていい？」
「いいよ。私が許す。」
「くれぐれもミスらないようにしてよ。」

作るのは4匹。大きいのが2匹、小さいのが2匹。そして残っているのが私とゆーちゃんと音羽。あとこの女子だらけの集まりに入れられている古屋ち。で、ダンボールを切っているのが田倉くん、松江くんに八巻くん、そして西脇くん。残っているメンバーがほぼほぼ去年と同じ。

　古屋ちだけあだ名があるのは、ゆーちゃんと仲良くなったからだ。

「こここんな感じでいい？」
「早っ！古屋ち私のもやって！」
「無理。俺休憩する。」

いつかの誰かさんたちを見ているような感じだ。本当にこの文化祭でくっつかないか。くっつくならくっつくでこの感じを拝み続けれるからいいものだ。

「音羽はどっち派？」
「ゆずまさやな。」
「解釈一致やな。」

古屋ちの名前は将義。私たちのカップリング論争が始まりそうだ。