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コタエハ

俺たちは答えを知らない③

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「なあなあ、今から1曲追加していい?」

学校での準備をやったあと、いつものようにライブハウスに来ていた俺はそんなことを言った。

「今日で本番13日前やけど間に合うんか?」
「間に合う。今ならまだいける。」
「俺も2,3日以内に作り上げてくれるんならいける。」
「私もやな。」
「私もどーにかなると思う。けど、作る側はどーなん?特に桜。」

桜はキーボードを弾きながら悩む。そして小さく頷いた。

「いけるよ。なんなら今からでも作れる。久志もそーやろ?」
「やな。俺も歌詞の外郭は決めてるし、今ならみんながやりたいこと落とし込めるな。」

桜も俺も作れるし、とりあえず作ることは決まりそう。だけど、もうセトリは決めているから、どこに入れるかだ。

「とりあえず、入れるのはアンコールとかでええかな?」
「せやな。今考えてる歌詞もそっち系の曲やから、それでいこ。」
「おけ。なら詞先?曲先?」
「詞先でお願い。」

俺はメモとペンを手に取る。スマホ打ちで最近はやっていたが、初心に帰るのもあってこうする。

「なんか懐かしいね。メモで書いた曲作るの。」
「いつ以来やろ?ちゃんと作るのは一昨年以来?」
「さあ、分からんけど、結構前やな。」

テーブルで歌詞を書きながら出会った頃のことを思い出す。

 あの日、俺が歌詞を書いているのを見つかってから始まったのかもしれない。あの日から音楽を通して繋がった俺たちの関係は、今となっては恋人になった。

 そしてその時の曲はまだ完成していない。

「桜、もう一曲追加ってできたっけ?」
「私たちがトリやし、相談すればいけるんちゃう?」
「なら、もしいけたらあの曲やろうや。最初のあの曲。」

1番と2番しか出来上がっていない、俺たちが初めて作った曲。あれを完成させて披露するならこの場しかない。

「それやるんやったら、2人でやったら?そのときは私たちは観客側回っとくし。」
「いいの?」
「もちろん。」
「桜とQの曲やろ?しかも、2人が出会った頃の。」
「やったら俺たちが勝手に入ることできんわ。」

演奏するときは俺と桜の2人きりになった。

「なら、ちゃんとしたの完成させないとな。」
「そうだね。頑張ろ。久志。」
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