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マナツノ

夏祭り①

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 勉強ばっかでは息が詰まる。そんな毎日を過ごしていたら本当にどうにかなってしまいそうだ。

「休憩だァ~!」
「珍しくQがテンション高い。どういうことだ?桜、なんか知らんか?」
「知らん。朝からあんな感じ。」

久志は今日は朝からテンションが高くて、いつもとはまた違った久志になっている。

 今日から2日間、私たちは小豆島に行く。勉強ばかりの夏休みはあまりにもつまらないとなった私たちがちょっと前から考えてきた計画だ。1日目は祭り。2日目は聖地巡礼を予定している。

「まあ最近は勉強ばっかやったし、今日明日はホンマに休憩なんやろ。」

実際に誰も勉強道具を持ってこないことを示し合わせている。本当に休憩の2日間だ。

 京橋で集合した私たちはJRに乗る。音羽は黒いTシャツとベージュのガウチョパンツ、楓はアニメに出てきそうな白いワンピースのお嬢様コーデ、きいは白いオープンショルダーのTシャツにデニムのミニスカ、そして私はミントグリーンのトップスに黒いパンツ。女子のコーデはざっとこんなもん。でも、男子は違った。

「なんというか、あの3人兄弟みたいやな。」
「それはそう。」
「誰も見栄張らんし、背伸びもせぇーへん。」
「せっかくの女子との外出やのに自然体ってちょっとムカつくけどね。」

久志は白いワンポイントTシャツにネイビーのハーフパンツ。新宮くんは黒いTシャツにグリーンのハーフパンツ。奏はミントブルーのTシャツに白いハーフパンツ。全員めちゃくちゃラフな格好だ。

 そんな3人の背中を眺めながら、女子4人で歩く。前も前で楽しそうに話しているのを見て、少しだけ胸がモヤモヤした。

「どしたんよ。浮かない顔して。」
「久志も変わったなって。」
「それ言うなら桜もよ。前より柔らかい印象なった。」
「そう?あんま言われんけど。」
「ひい君と話してる感じがずっと続いてるって感じなった。」
「きいまで!?私、久志と話してる時も同じようにしてきたんやけど。」
『どの口が言う?』

改札を通って、梅田方面のホームに上がる。すぐに快速が来た。

「みんな忘れもんないな?」
『はーい!』
「もう戻られへんからな。今のうちやで。」
『ないでーす!』

電車に乗る前に奏がそんな確認をしてくる。なんかあったとて、神戸で少し時間があるはずだからそこで買い足せばいいだけ。

 そうして私たちの息抜き旅が始まった。
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