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マナツノ

決めたこと

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 延長授業の2週間もあと2日になった今日は終業式だ。私のクラスでは三者懇談がもう始まっていて、今日の昼から私の番になっている。それに合わせてお母さんもこっちに来てくれるみたいで、大阪に帰ってきてからお母さんと大阪で一緒にいるっていうのがなかったから、新鮮だ。

「久志も今日やったっけ?」
「せやで。母ちゃんは帰って来れへんけど、去年もそうやったから担任は分かってるやろ。」
「じゃあ親に確認してもらわなあかん書類って今までどうしてたん?」
「確認だけとって杏に名前書いてもらっとった。」

今までの確認を取らないといけない書類、修学旅行のやつとか、校外学習のやつ、そして選択教科のやつとかは全部杏ちゃんが代筆しているようで、バレないものだなと思う。

 駅前のカフェで時間を潰しながら、お母さんが来るのを待つ。ここで待っていることは言ってるし、この近くに住んでいたからこの場所は分かるはずだ。

 フラッペを飲みながら久志と待つ。私のほうが少しだけ早い時間に懇談があって、それから久志という順番。一応連続っていう形になっているから、それくらいの時間なら待つと決めている。

「そういえば、桜の第1志望ってどこなん?」

久志は突然そんなことを聞いてきた。

 そういえば、私の最終的な進路は言ってなかった気がする。

「私はこのまま上あがって心理学進む。」
「そーなんや。」

久志は少し残念そうに言う。これで大学の4年間、久志は院まで進むつもりだから6年間は離れて暮らすことになるのだ。

「私さスクールカウンセラーなりたいねん。あんなことあってさ、私みたいに悩みすぎる人おっても、その痛みがちょっと和らいでくれたら、私はそれでいいから。」
「桜らしくて安心したわ。」

ちょっと寂しそうにしながらも、久志は笑いかける。

 そのとき自動ドアが開いて、少し汗をかいているお母さんが入ってきた。

「あっ、桜ごめんごめん!久しぶりすぎてちょっと迷った。」
「間に合ってるから別にええって。久しぶり。」
「お久しぶりです、杠葉さん。」
「久志くんも久しぶり。ちゃんとゴム付けてる?」
「お母さん、ここ公共の場所。」

若干アウトな発言をお母さんはする。けど、こうやって懇談に合わせて来てくれるところあたり、優しい。

「お母さん、久志のお母さんが今日来ーへんみたいやから、そっちも行ってくれん?」
「そういうのOKなん?」
「いいんちゃう?久志もいいよね?」
「まあ、杠葉さんがいいのなら。」

お母さんに久志の分の懇談も頼んでみる。一応学校の先生も私たちのことは知ってるだろうし、問題ないだろう。

「じゃあ行くわ。久志くんもそれでいい?」
「よろしくお願いします。」

私のお母さんと久志が仲良くしてくれてるようで良かった。
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